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本格シーズン到来!この春はリ・グリップからスタート!

上手な人ほどグリップに気を遣います。

2020/05/10 ゴルフサプリ編集部

マイクラブのグリップ、いつ交換した?交換した時期を覚えていないなら要注意。クラブを購入して一度も交換せず、今年で3シーズン目ならそろそろ交換時期だ。とくに今年こそは上達したいと意気込んでいるならグリップの点検・交換は本格的なシーズンに入る前にきっちりと済ませておきたい。

解説
関浩太郎
(せき・こうたろう)
実家がゴルフショップで小学生の頃から自分でグリップ交換を行っていた。新製品が出るとすべて試すほどのグリップ通。レッスンプロ兼クラブフィッターとして大勢のアマチュアを上達に導いている。「SEKI GOLF CLUB目黒」主宰。

真っすぐ飛ばすためには3つの『接点』が大事 1手のヒラ×グリップ 2足の裏×地面 3フェース面×ボール
  • 滑りやすいグリップでスイングするのは、氷の上を歩くのと同じ。まだ滑っていないアドレスの段階から余計な力が入り、腰が引けたようなスイングになりやすい。

  • 写真のように明らかに摩耗していたり、硬化しているものは危険なので直ちに交換!

グリップの劣化はダフリやヒッカケなどミスショットの原因にもなる。

本格シーズン到来!この春はリ・グリップからスタート!

まだ使えると思ったときが替え時

グリップは使っているうちに少しずつ摩耗していくので交換時期の判断は難しいものです。また、グリップのゴムはまったく使わなくてもだんだん硬くなっていきます。そもそも滑らないために作られているグリップが滑るようでは意味がなく、スイングにも悪い影響があります。グリップに限ってもったいない精神を発揮するのはよくありません。「まだ使える」は「もう替え時」と考えて早め早めの交換を心がけましょう。

オススメは定期交換。年に1回決まった時期に交換すると決めておけば交換時期を逃すことがありません。特に今の時期に交換を済ませておけば新しいグリップで気持ちよくシーズンを迎えることができます。

完全に溝がなくなったり表面が硬くなったりしたグリップを、放置しているのはもってのほか。クラブを飛ばしてしまう危険もあるので、いますぐ交換してください。

グリップを新品に交換したらどれだけ飛んで曲がらなくなる?

使い古しのグリップのままで打ってみた|飛ばない&球が左右に散らばる

ドライバーのグリップは表面が硬化。アイアンはかなりすり減っている。

1W ヘッドが走らず、球筋は大荒れ

振っているつもりでもヘッドスピードが上がらず距離が出ない。弾道は左に飛び出すフックか右にすっぽ抜ける球のどちらか。

9I 当たり負けして方向が定まらない

地面に当たってフェースが開いたりかぶったりするので、打ち出し方向がドライバーショットよりも安定しない。

新品グリップに交換しただけで|飛距離がぐんと伸びて球筋が揃った

両方とも新品の「パルマックスツアーウェーブ」に交換。

1W 飛距離が大幅にアップし球筋が揃った

上半身の力が抜けてヘッドを走らせることができる。球が自然につかまるので持ち球のドローが安定して打てる。

9I ほぼストレートな球筋で高さも安定

フェースコントロールがしやすく入射角が安定するので、狙ったところにボールが集まる。弾道の高さもきれいに揃う。

グリップが滑ると 手打ちになりやすい

ゴルフで一番怖いのはグリップがすっぽ抜けてクラブを飛ばしてしまうことです。ですからグリップを握ったりワッグルしたりしたときに滑りそうな予感がしただけでもう思い切って振れなくなります。グリップは抜けないようにエンド側が太くなっていますが、それでも抜けないように誰でも本能的に強く握ってしまいます。

強く握ると腕にも力が入ってテークバックで腰が回らなくなります。ダウンスイングからフォロースルーでも、体の回転が止まり手打ちになります。また、握りすぎるとバックスイングでコッキングが入らなくなり、余計にアーリーリリースになります。その結果、ダフリやヒッカケなどのミスが出やすくなります。当然ながら腰の回転を使わずに腕の力だけで振ることになり、クラブのスピードが上がらず本来の飛距離は出せません。

①テークバックでもフォローでも、腰が回らず手打ちになる。②強く握ることでテークバックで腰が引け、コッキングができなくなる。

交換時期の目安はどれくらい?

また、古いグリップはゴムの弾力がなくなっているのでミスヒットしたときに手がしびれます。手首やヒジに伝わる衝撃も大きくなるので、ケガの予防のためにも早めのグリップ交換がオススメ。

交換時期の見極めはクルマのタイヤと同じと考えましょう。平均的にはあまり減っていなくても、パターンがどこか一箇所でもなくなってきたら要交換。練習量の多い人は2、3ヶ月で交換する必要があるかもしれませんし、ほとんど使わないクラブでもゴムは2年くらいで硬くなるので交換しましょう。

年代物の「X・18ドライバー」と「コンダクターアイアン」は編集部「のみ助」の私物。
接着剤が固まる前にグリップの向きやねじれを修正。表面のパターンを見ると真っすぐ入っているかどうかわかりやすい。

今シーズンこそ心機一転、気持ちよく回れるようにセルフグリップ交換にチャレンジしてみよう!

やってみると意外と簡単! 慣れたら1本5分で作業完了

シャフト交換には専用の道具が必要になりますが、グリップなら家庭にあるものやホームセンターなどで簡単に手に入る最小限の材料だけで交換できます。

手順もやさしく、特に器用でなくても丁寧に作業すれば誰でもできるし、もし失敗してもグリップが1本無駄になるだけで何回でもやり直しがききます。費用もほぼグリップ代だけで済むので最初の一本からぜひ挑戦してみてください。自分で手をかけたクラブにはとても愛着がわきますよ。

グリップ交換に必要な物

●新しいグリップ
●カッターナイフ(専用グリップカッターがあればなおよい)
●両面テープ(20ミリ幅)
●溶剤(ガソリン、ホワイトガソリン、灯油、シンナー、パーツクリーナー等)
●細長い瓶(口の大きさがグリップの太さより大きいもの。溶剤の受けに使う)
●ヘアドライヤー
●キッチンペーパーかティッシュペーパー

  • カッターナイフで古いグリップに切れ目を入れる。手をケガしないように手前から向こうへ刃を動かすこと。

  • シャフトも傷つけないように慣れるまでは浅め浅めに刃を入れる。ある程度切れ目が入ったら手でバリバリ引き剥がす。

  • シャフトに固着した古い両面テープはドライヤーで温めると簡単に剥がせる。溶剤でシャフトをクリーンアップ。

  • 両面テープを2センチくらい余らせて、シャフトのグリップエンド側かららせん状に巻き付けていく。

  • テープとテープの間隔が空かないように巻く。テープの右端(上側)を引っ張りながら巻くのがコツ。

  • 隙間や重なりがあるとグリップの表面が凸凹になる。

  • どこまで両面テープを巻くかは新しいグリップと合わせて確認。巻き終わったらテープの台紙を剥がす。

  • 余らせたテープの端を折り返してバット側の開口部を塞ぐ。シャフト内部に水分、砂、ほこりなどが入るのを防ぐためだ。

  • 溶剤を新しいグリップの中にたっぷり注ぎ、グリップエンドの穴を指で塞ぎながらグリップ内部に行き渡らせる。

  • グリップの中の溶剤は両面テープを巻いた部分が浸るようにして捨てる。

  • ここからは少し急いで。溶剤が乾き始める前にグリップをシャフトへ差し込む。

  • クラブを逆さまにして、シャフトがグリップエンドまで確実に入るように押し込む。

シャフトやグリップに付いた溶剤や汚れを拭き取って完成。手を触れないように放置する。溶剤が気化してグリップが固定されるまでの時間は春夏なら3時間、秋冬なら4時間くらい(ガソリンの場合)。半日待てばボールが打てる!

もうひと手間かけて打ちたい球筋を作る

昔は下巻きテープを普通に巻く人がいないくらいに皆さんグリップの入れ方にこだわっていましたね。当時はグリップやシャフトの種類が少なく、ヘッドの調整機能もなかったのでチューンナップの方法が他にあまりなかったからです。

でも、最近はグリップやシャフトも選べるようになり、ヘッドでウェイトや角度の調整もできるので、グリップで小細工する必要がなくなり普通にらせんの一重巻きで入れる人がほとんどです。ただ、こだわるのは悪いことではありません。せっかく自分でグリップ交換する機会に、結果がどうなるかいろいろ試してみてもいいと思います。

試してみよう!お手軽グリップチューン

下巻き二重でグリップを太く

両面テープを2重に巻くことでグリップを太くできます。右手だけ太くして手の返りすぎを抑えたり、左手を太くしてヘッドを走らせたりすることも可能。もちろん3重4重巻きもありですが、途中で失敗すると最初から巻き直しになるのでかなり高等なテクニックです。

カウンターバランス&バックライン強調

両面テープを巻く前に細めの鉛テープをシャフトの裏側にタテに貼ります。カウンターバランス効果でクラブの振り抜きがよくなって右方向のミスを減らせます。同時にバックラインが強調されるので方向性も出しやすくなります。

カウンターバランス効果最大

グリップ下のシャフトに鉛テープを巻いている人がよくいますが、鉛テープをグリップエンドに貼ることで同じ重さでもカウンターバランス効果を最大にできます。クラブ重量が増えすぎないことがメリットです。

手の脂は グリップの大敵! こまめに洗おう

油脂を落とすには食器洗い洗剤が最適。パターンの中に入り込んだ汚れをかき出すようにたわしでゴシゴシ洗おう。

グリップの性能を長持ちさせるためには日頃のメンテナンスが大切です。交換して間もないグリップも表面に手指の皮脂が付着するとかなり滑りやすくなります。グリップ力をキープするには2~3ラウンドを目安にして洗うようにしましょう。また、グリップがきれいでもグローブが汚れていたら同じこと。グローブも2~3ラウンド使ったら洗濯しましょう。したがってアマチュアには全天候型の合成皮革がオススメ。本革グローブは、5~6回で使い捨てるのを想定して作られています。

  • グリップエンドの空気抜き用の穴から水が入らないようにクラブを逆さにして洗うこと。

  • 最後に洗剤をよくすすぎ、タオルで水分を拭き取って乾かす。

※手を切ったりケガをしないように、十分に気をつけて作業をして下さい。

それでは、どれを選ぶ? せっかく交換するならスイング&球筋がよくなるグリップを選ぼう!

グリップの形が 球筋に影響する

グリップの断面がまん丸のラウンドタイプはフェース面を開いたり閉じたりしてインテンショナルな操作がしやすいのが特徴です。

そのため、競技アマやプロに愛用者が多くいますが、昨今のヘッドやシャフトは上級者でもひたすら真っすぐ飛ばすように開発の方向性が変わってきています。それにともなって愛用者が増えてきているのがバックラインを強調したモデルや、少し太めのミッドサイズです。

バックラインのあるグリップのメリットは、スイング中にフェースの向きを感じやすいこと。また、ミスヒットしたときにフェースが開いたり閉じたりするのを抑えやすくなります。ボールの直進安定性が高くなり、とくにスライサーには効果があります。

ミッドサイズは右手側が太い寸胴型です。利き手で強く握りすぎるのを抑えるための形状でリリースのタイミングを遅らせる効果が期待できます。右手を返しにくくなるので特にフッカーにオススメです。

同一素材で、形状の異なるグリップを比べてみた|細めはスライサー、太めはフッカー向きバックラインがあると当たり負けしにくい

ツアープロの使用率が高い「MCCシリーズ」には普通サイズでラウンド形状の「MCC」、バックラインを強調した「MCCアライン」、右手部分が下巻き4枚分太い「MCCプラス4」、右手が太くバックライン有の「MCCプラス4アライン」がある。

フェースの向きを感じやすく、球筋のコントロールもしやすい。

フェースを返しやすい。球がつかまりやすく、スライスが出にくい。

フェースを返しづらい。球が右方向に飛びやすく、フックは出にくい。

同一形状で、ラバーとコード入りを比べてみた

「Xホールドシリーズ」のラバー、コード、ハーフコードで打ち比べ。

Xホールド ラバー|振り抜きのいいラバー

フィーリングがとてもやわらかい上に、打感もしっかりフィードバックされる。余計な力が入りにくいのでスイングスピードが上がる。

Xホールド ハーフ コード|ハーフコードはオールインワン

左手部分がしっかりしているのでフェースコントロール感が増し、方向性がアップ。右手はスナップを使えてヘッドを加速できる。

Xホールド コード|コードは方向性がよくなる

握った感じがしっかりしているので、握力がものすごく強い人向き。ねじれが少ないので繊細なコントロールができる。

主流はラバーだがハーフコードの人気も上昇中!

ぼくがゴルフを始めた30年前はグリップといえばコード入りでしたが、いまはラバーが主流になっています。昔のラバーグリップはやわらすぎてすぐに摩耗してしまいましたが、最近のものはねじれが小さく耐摩耗性も向上しています。ラバーのメリットは、より弱い力で握れること。ヘッドが走って飛距離が伸びます。

コードは握力の強い人や超上級者で、シャフトのねじれやボールのヒットポイントをより繊細に感じてコントロールしたい人向け。男子プロではいまだにコードを使っている選手がたくさんいます。コードの特徴はゴムに混ぜられた木綿の糸が、水分を吸って手のヒラに引っかかるところ。手汗をたくさんかく人や雨の日もがんがんプレーする人にも最適です。冬はラバーで夏だけコードを使うというのもありですね。

左手部分だけコードの入っている“ハーフコードタイプ”も増えてきました。左手はがっちりしっかり握って、右手はゆるく握れるいわばコードとラバーのいいところどりのグリップです。左手でしっかりフェースコントロールしながら、右手でクラブを走らせることができるので、方向性も距離もアップします。

グリップサイズの読み方

M60よりもM58の方が 太く仕上がる

同じモデルのM58とM60をシャフトに装着していない状態で比較しても太さは変わりません。グリップのサイズの数字が表しているのは内側の直径であり、M58は0.58インチ、M60なら0.6インチということになります。外径が同じで内径に差があるのはゴムの厚さが違うからです。つまり、内径の小さいものほどゴムが厚く、同じバット径のシャフトに装着した場合には太く仕上がります。サイズはM60がふつう、M58は太め、M62は細め。それより細い女性用として肉薄のL60やL58があります。また外径が太くなるミッドサイズやジャンボサイズもあります。

また、メーカーによって数字の後に、ラウンドタイプを表す記号「R」やバックラインを表す記号「X」が付いていたりします。(例:M60R、M60X)

グリップ交換したら握り方もチェックしよう!

フィンガーグリップがオススメ

手首を完全にロックしてしまうと球がつかまらないし飛ばなくなるので、手首を自由に動かしやすいフィンガーグリップをオススメします。

左手は指の第3関節にグリップを合わせる。

右手は中指と薬指の2本をカギのように曲げる。

曲げた2本の指でグリップを引っかけるように合わせる。

手とグリップが密着した理想の握り方が完成。

左手は中指、薬指、小指の3本でぎゅっと握る。

手のヒラで握ると手首を使いにくくなる。

手とグリップに隙間ができるとより強い握力が必要になる。

左手は強く、右手はゆるくが基本

グリップを握る力加減は決して左右同じではありません。左手は常にマックス。右手は切り返すときに少し緩めておかないとタメが作れません。ダウンスイングで右手に少し力を入れますが、インパクトからフォローにかけてゆるめていかないとヘッドが走りません。

GOLF TODAY本誌 No.575 158〜165、169ページより