第3世代複合構造ドライバーさらなる進化の予感|ギアモノ語り
話題の新作開発ストーリー秘話
ドライバーの進化が止まらない。主要メーカー2020年モデルドライバーの63%がカーボンコンポジットと呼ばれる複合構造となっている。さらに、その中にはより進化した複合構造を持ったモデルが同時多発的に出現していた!
TR DUOから17年複合構造ヘッドは第3世代複合に突入!
適者生存の法則はクラブの進化にもあてはまる!
クラウンをカーボンに置き換えた複合構造は、2003年に発売されたプロギア「TR‐DUO」が起源と言える。クラウンの軽量化は、低重心、深重心、慣性モーメントの拡大を可能とするすぐれた設計手法だったが、当時は「音が悪い」などの評価で主流になるとは予想できなかった。しかし、現在では複合ヘッドが主流となっている。クラブの性能向上に適した設計が生き残り繁栄したと言えるだろう。
[第1世代]2003年
プロギア TR-DUO
構造は革新的だったが、ヘッドサイズは340㎤と370㎤だった。
2003年はまだ高反発が主流だった。この年に発売されたTR-DUOも高反発だったが、ボール初速だけではなく複合構造で、打ち出し角とスピン量の最適化を図っていた。
ボール初速の向上に囚われていた当時に、飛びの3要素に着眼した先見性を評価したい。
この間はフルチタンによるヘッドサイズの大型化が優先された
その後、高反発が規制されたことを背景に、複合構造の進化よりも、ヘッドサイズ拡大による慣性モーメントの拡大に開発の主眼が置かれた。
[第2世代]2014年
460㎤ヘッドでカーボンクラウンの複合構造を持ったヘッドが誕生。
キャロウェイ ビッグバーサ
460㎤複合構造にスライディングウェイトを搭載。複合構造復権を導いた。
最新モデルと比較しても、まったく遜色のない構造。
今ではカーボンコンポジットが当たり前
カーボンを取り去るとクラブヘッドとは思えない形状!
クラウン部分だけではなく、さらにカーボン使用率を高めた複合構造で性能の向上を図ったヘッドが同時多発的に出現。
主要メーカー2020モデルドライバーの2003年に発売ボール出し角63%が複合構造
第1世代以前にもこんなクラブがあった
1983年トブンダー(マルマンゴルフ)
カーボン本体にチタンフェースを複合した革新的構造だったが、カーボンの加工技術が未発達だったため、性能の革新までには至らなかった。
※マルマンゴルフは現マジェスティ ゴルフ
そもそも、複合って何がいいの?
慣性モーメントの拡大 | 深重心 | 大重心角を同時に達成
重心深度を深くするとヘッドの慣性モーメントを拡大しやすいが、フェース面上のスイートスポットが高くなるのでバックスピンが増えやすくなる。そこで同時に低重心化する必要が生まれるが、これらを同時に達成するためには複合構造が必要となる。
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\もっと遠くへ! もっとやさしく/第3世代複合はゴルファーの夢をかなえる構造なんだ!
H型、P型、さらに新しいフレームが生み出されるか!?
第3世代複合の特徴は、チタンは細いフレーム状にしてカーボンに置き換えていることだが、チタン部分の形状を見るとフェースと後方にチタンを残したH型とヘッドの中央部分に穴をあけたP型の2タイプに分けられる。両者ともヘッドの中央部は軽量に、重量は外周部に配置するために有利な形状だが、どちらに軍配が上がるかは現状では不明だ。
今後、さらに違ったフレーム構造が開発されるかもしれないが、いずれにしても、現在より高性能なクラブになるはず。どんな性能が得られるか楽しみだ。
コブラ|強弾道と直進性の2タイプをラインナップ
第3世代複合の設計自由度の拡大を利用して、同じ構造を用いながら重心設計を変えることで2つの異なる性格のモデルを実現している。
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スピードゾーン|複合構造による低&深重心とウェイトシステムで、低スピン・強弾道を狙ったモデル。
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スピードゾーン エクストリーム|慣性モーメントの拡大でヘッドの直進性とミスヒットに対する寛容性を高めたモデル。
グローブライド|ルール限界の慣性モーメントを達成
ヘッドの中央部はカーボンで軽く、フェース側とヘッド後方に重量を振り分ける構造でルール上限の慣性モーメントを達成しながら、ソールにも重量を振り分け、低重心も同時に達成している。
オノフAKA RD5900
第3世代の礎を築いた2つのモデル
クラウンに加えてソールの一部もカーボンを複合。進化型第2世代とでもいうべき構造はTR20の前身とも言える。
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キャロウェイ GBBエピック
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テーラーメイド M1
本間ゴルフ|ヘッドの中央部に穴をあけたP型構造
他の3メーカーとは異なる構造だが、重量をヘッドの外周に振り分けるという意図をそのまま形にした構造。慣性モーメントを拡大しやすい形に見える。
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TR20 440
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TR20 460
プロギア|大慣性モーメント&大重心角で超オートマチックに飛ばす
第3世代複合構造で、ルール上限に迫る5750g・㎠の慣性モーメントと35.5度という大重心を持たせた設計。ヘッドがオートマチックにボールをつかまえ、ミスヒットしても曲がらずに飛ぶ!?
eggエクストリーム
第3世代複合ドライバーの打ち味は?
小誌4月号ドライバー特集ですでに第3世代ドライバーを試打した 高橋プロにその打ち味を聞いた。
高橋良明
(たかはし よしあき)
2013年プロ入会。サザンヤードCC所属、ツアーにチャレンジする傍ら、ゴルフメディアでの試打テスターも務め、毎年ニューモデルを打ち続けているベテランテスター。
一言で、第3世代複合といっても、モデルによって打ち味は変わります。ただし、共通して言えるのは、今までよりもレベルアップしているという点。直進性を重視したモデルは本当に曲がらない。従来品の中で曲がらないと思ったモデルより、さらに曲がらない。球の強さを重視したモデルは、多少打点がブレてもスピン量と打ち出し角の差が少なくなります。今までのものより、性能が一段上がっていることが感じられます。
GOLF TODAY本誌 No.576 145〜149ページより