渡邉彩香のフェードで飛ばすスイング大改造【テークバック・フォロー】
昨年のシード落ちから劇的な復活優勝|祝! アース・モンダミンカップ優勝
5年振りの復活優勝を飾った渡邉彩香。「昨年まではドライバーが右にも左にも曲がる状態だった」と語る渡邉は、大胆なスイング改造によってスランプを脱出。今回は渡邉彩香本人だけでなく、1年前から指導する中島コーチも取材。その指導にはフェードで飛ばすヒントがつまっていた!
渡邉彩香
わたなべ・あやか
1993年9月19日生まれ。静岡県熱海市出身。14年にツアー初優勝、15年には年間2勝をマークし、日本のトップ選手に成長。その後はスランプに苦しみ、昨年は賞金シードを落としたが、今年は5年振りの優勝で完全復活。大東建託所属。
中島規雅
なかじま・のりまさ
1975年1月29日生まれ。江連忠ゴルフアカデミーを経て、ツアープロコーチとして独立。現在はインドアゴルフスクールビーグル(神奈川県・横浜市)などでもレッスン活動を行っている。実兄もツアープロコーチ。
3 テークバック|アップライトに外に上げればシャフトはクロスしない
2020
ハーフウェイバックでは シャフトのラインがほぼストレート。右ヒジをほと んど曲げていないので アップライトに上がる。
2019
昨年は右ヒジを曲げながらテークバックしていたので、ヘッドがインサイド方向に動いていた。
テークバックで右ワキが空くのはOK!
調子が良かった頃はテークバックもアップライトに上げていたと思うのですが、ボールをつかまえようとしてからはインサイドにクラブが上がっていたみたいです。テークバックについては中島コーチから「フェードを打つなら、とにかくアップライトに上げる」ということを言われて徹底しました。特にアドレスから動き出した直後にヘッドがインサイド方向に動かないように注意しています。昨年は右ワキを締めながらヘッドを上げていたのでインサイドに動いていたのですが、右ワキが空いても良いので外に上げようとしたら昔のようなアップライト軌道に戻ったと思います。
ヘッドをインサイドに引いてしまうと手首が体の背中側に動くので、トップではシャフトがクロスしやすかったです。アップライトにヘッドを上げるとスイングが大きくなっても、クロスしなくなりました。
中島コーチの助言|アップライトならトップが深くてもクロスしない
「アップライトに外側に上げれば、大振りしてもシャフトがクロスしません。トップでもヘッドが両腕の幅におさまっている」(中島)
テークバックでフェースを開くと手首が背中側に動く
「テークバックしながら手首でフェースを開く人ほど、手首が背中側に動いてしまうのでトップでシャフトがクロスしやすい」(中島)
4 フォロー|フェースターンを抑えたフォローに!
2020|体を中心に回ってフォローが高い!
2019|低いフォローでフェースが急激にターン
インパクト前後の フェースは調整できない!
スイングを見てもらう前に、私からコーチに伝えたのは「インパクト前後のフェース面については調整できません」ということです。ボールに当たる瞬間はゼロコンマ何秒の世界なので「開く」「閉じる」を調整するのは無理です。だからインパクト前後に関してはなるべくフェースの向きを意識しないようにスイングしています。ただし、フォローではフェースを返しすぎないようにしています。感覚的な表現で言うと、インパクトからフォローは球を逃がして切る感じです。昔からフェードで打っていたときはとにかく切って、逃がしていたのでフェースを返そうとする意識がありませんでした。
でも、昨年はフェースターンが大きくて、低いフォローになっていました。そこも中島コーチに指摘されて、フェースターンを抑えると強いフェードが打てるようになりました。
中島コーチの助言|ボールは無理につかまえない!
「体の動きに合わせてゆるやかにフェースターンすれば、フォローでも両腕の間にヘッドがおさまる理想の形になります」(中島)
手首を返すと体が回らず、低いフォローに!
「インサイド方向にヘッドを返そうとするとチーピンが出るか、カット軌道になりすぎてスライスのミスになりやすいです」(中島)
連続写真で比較|少し右重心になり、軸ブレしない理想のアウトサイド・インに!
アドレスからフェードをイメージ!トップも高い
最も良くなったのはアドレスです。今年は左肩が少し上がって、頭がわずかに右側にあるのでアドレスからフェードを打つ雰囲気が出ています。トップも昨年とは違いますね。今年はアウトサイドに上げるから、腕が伸びて高いトップになっています。昨年はインサイドに上げるから、腕が曲がってヘッドが垂れています。垂れたヘッドを強引に戻すのでバランスが悪くなっていました。今年はインパクト前後でも頭が残ったまま体が回転しているので、本来のパワーフェードが打てるようになったと思います。
2020|アドレスで少し左肩を上げて、フェードをイメージしている
インパクト前後でも頭の位置がほとんど動いていないので、ビハインド・ザ・ボールの姿勢になり、ヘッドが力強く加速している。
2019|頭が左右に動いて、バランスの悪いフォローになっていた
トップ、切り返し、ハーフウェイダウンでも腕が曲がっているので、やや窮屈なスイングになり、フォローでもバランスを崩していた。
中島コーチの解説|1年前はアドレスで45度も左を向いていた試合もあった!
「昨年は曲がり幅が大きすぎていたので、アドレスでは目標よりも45度くらい左を向きながらティショットを打っていた試合もありました」(中島)
取材協力/函南ゴルフ倶楽部 インドアゴルフスクールビーグル
GOLF TODAY本誌 No.579 20〜25ページより
●昨年のシード落ちから劇的な復活優勝|渡邉彩香を復活させたフェードで飛ばす4つの大改造
(1/2):1 リリース / 2 頭の位置
(2/2):3 テークバック / 4 フォロー / 連続写真