ゴルフのチーピンとは|原因と直し方【ドライバー・アイアン別】
ゴルフのチーピンはスライスとならんで、多くのアマチュアゴルファーが悩まされるミスのひとつです。チーピンはボールの勢いが強いため、OBなどの大きなトラブルになりやすい傾向が。そのため、いかにしてチーピンを出さずにラウンドするかがスコアをまとめる鍵になります。
そこでこの記事ではチーピンのあれこれをみなさんに紹介します。ぜひ参考にしてください。
チーピンとは【ゴルフ用語解説】
ゴルフのチーピンとはボールが大きく左へ曲がるミスショットの総称です。
真っすぐ、もしくは右へ打ち出されたあと、大きく左へ曲がる弾道をチーピンと呼ぶ人もいれば、左へ打ち出され、そこからさらに左へ曲がる弾道をチーピンと呼ぶ人もいます。
また引っかけやダックフックと呼んだほうが相応しいショットをチーピンと呼ぶ人もいます。要するにチーピンには、特別な定義はありません。
- チーピンとフックやシャンクの違い
- 「チーピン」の由来は麻雀牌の七筒(チーピン)?
チーピンとフックやシャンクの違い
前述したように、チーピンは大きく左へ曲がるミスショットのことです。
フックは単純に左へ曲がっていく弾道のことをさすので、チーピンもフックに含まれます。
シャンクは主にアイアンやウェッジでショットをする際に起こるミス。ゴルフクラブのネック付近(ヘッドとシャフトのつなぎめ周辺)にボールがあたり、極端に右へボールが飛び出すミスショットのことです。
一般的にボールをつかまえることができる中・上級者は真っすぐ、もしくは右へ打ち出されたボールが途中から急激に左へ曲がるチーピンが多いものです。
ボールをつかまえることができない初級者レベルの人や100切りが目標のスライサーは、インパクトでフェースが閉じすぎてボールが左へ打ち出され、そこから大きく左へ曲がるチーピンが多いものです。
「チーピン」の由来は麻雀牌の七筒(チーピン)?
チーピンは麻雀牌のひとつの「七筒(チーピン)」の図柄からきている、というのが通説です。七筒の3つの黒い点が、極端に左へ曲がる弾道と似ていることに由来するようです。
たいていの中・上級者はボールをつかまえることができます。このレベルの人が何かのきっかけでボールをつかまえ過ぎた場合、チーピンは起こります。
初級者レベルのスライサーが左へボールを飛ばすのは、ほとんどが引っかけによるものです。
チーピンは球筋によって大きく2タイプ
明確な定義がなく、あやふやな部分があるためチーピンは一般的に2つの球筋があるといわれています。そこでこの2つの球筋についてお話しします。
チーピンに悩んでいるあなたは、どちらの球筋でしょう?思い浮かべてみてください。
- 最初から大きく左側に曲がっていく
- 最初は真っ直ぐ、もしくはやや右方向に打ち出し、途中から大きく左に曲がっていく
最初から大きく左側に曲がっていく
ひとつ目は左へ打ち出されたボールが、その後、さらに左へと曲がっていくタイプです。
この球筋は比較的ハイハンデのスライサーに多く見られます。スライサーは基本的にスイング軌道がアウトサイド・イン。そしてインパクト時のフェースが開いています。
フェースが開いて右へ飛ぶのを嫌がって、インパクトで過度にフェースを閉じるとボールが左へと打ち出されます。その際に、クラブ軌道がインサイド・アウトになると左へと曲がる球筋になります。
最初は真っ直ぐ、もしくはやや右方向に打ち出し、途中から大きく左に曲がっていく
ふたつ目は真っすぐか、やや右へ打ち出されたボールが、その後、大きく左へ曲がっていくタイプです。
昔はこの球筋をチーピンと呼ぶのが一般的でした。このタイプのチーピンは上級者でボールをつかまえることができる人に多く見られます。
スイングのテンポやタイミングがズレたり、体の動きに狂いが生じたときに、思いのほかボールがつかまってしまい起こります。任意にドローボールを打とうとして、つかまりすぎた場合にも多々起こります。
ゴルフでチーピンが出る主な原因
ここではなぜチーピンが出るのか、その原因を紹介します。弾道計測機器が一般的になったいま、チーピンを含めて、ボールが曲がる原因は解明されています。そのためまずは曲がる原因を知っておくことが、ゴルフ上達のためには不可欠です。
- チーピンの原因は新飛球法則で誰でも理解できる
- チーピンはフェース向きとクラブ軌道が原因
- 曲がる原因とスイングの仕方は別と考える
チーピンの原因は新飛球法則で誰でも理解できる
左へ打ち出されたボールがさらに左へ曲がるチーピンは、インパクトでフェースはクローズ(左向き)、クラブ軌道はインサイド・アウトのときに起こります。
真っすぐ打ち出されたボールが左へ曲がるチーピンは、インパクトでフェースがスクエア(目標方向)、クラブ軌道はインサイド・アウトのときに起こります。
右へ打ち出されたボールが左へ曲がるチーピンは、インパクトでフェースがオープン(右向き)、クラブ軌道はインサイド・アウトのときに起こります。
このように新飛球法則を知っていればチーピンの原因がわかるため対処しやすくなります。
チーピンはフェース向きとクラブ軌道が原因
新飛球法則によってボールが曲がる理由は解明されました。ボールが曲がるのはインパクト時のフェース向きとその際のクラブ軌道によるものです(気象条件やギア効果などは除く。詳細は『Dプレーン』で調べてみてください)。
したがってゴルファーはまずこのことを知っておきましょう。新飛球法則以前のように「インパクトで急激にフェースが返ったから」とか「極端なインサイド・アウトのスイング軌道だから」といったことにとらわれていると、間違ったスイングを身につけてしまいます。
曲がる原因とスイングの仕方は別と考える
新飛球法則以前は「インパクトでフェースを返しすぎ」「ダウンスイングでクラブが寝て下りすぎ」「ストロンググリップだから」など、チーピンの原因はこのようにいわれていました。
しかし、曲がる原因がわかったいま、これらは「どうしてインパクトでフェースが左を向いたのか」「どうして極端なインサイド・アウトのクラブ軌道になったのか」といったことの理由といえます。
そのため、チーピンの原因、ボールが曲がる原因とは分けて考えるべき。ここを混同すると、いつまでたってもチーピンから抜け出せません。
ゴルフのチーピンの直し方【見直しポイント】
ここではチーピンの直し方のポイントを紹介します。一番大切なのは、インパクト時のフェース向きとその際のクラブ軌道。ここに気をつけて練習をすれば、比較的簡単にチーピンから抜け出せるでしょう。
- フェース向きとクラブ軌道を強く意識する
- 手首をコネずに、いつも通りにスイングする
- スクエアグリップで握る
- カット軌道をイメージしてスイングする
フェース向きとクラブ軌道を強く意識する
チーピンを直すポイント1は、「フェース向きとクラブ軌道を意識する」です。
前述したように新飛球法則によってボールが曲がる原因がわかったいまは、インパクト時のフェース向きとその際のクラブ軌道を、とにかく意識してスイングすることが何よりも大切です。
チーピンではなく、真っすぐに飛ばしたいなら、ターゲットに対してフェースはスクエア、クラブ軌道はインサイド・イン。これを強く意識して練習しましょう。意識したからといって、すぐにできるわけではありませんが、意識しないと、いつまで経ってもできません。
手首をコネずに、いつも通りにスイングする
チーピンを直すポイント2は、「オープンフェースでインパクトする」です。これは左へ打ち出されたボールが、さらに左へ曲がる人におすすめです。
このタイプの多くはハイハンデのスライサー。たいていは初級者や100切りが目標といったアマチュアです。
右へ行くのを嫌がって、ムリにボールをつかまえにいった結果、インパクトでフェースが閉じてチーピンに…というケースです。インパクトで手首や腕をコネたりせず、いつも通りにスイングすればオープンフェースでインパクトできるでしょう。
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手首をコネずにインパクトするように注意
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スクエアグリップで握る
スクエアグリップならフェースが閉じすぎない
チーピンを直すポイント3は、「スクエアグリップで握る」です。これもポイント2同様、ハイハンデのスライサーや100切りレベルのアマチュア向けになります。
基本的にこのレベルはボールを右に飛ばします。これを防ごうと、多くの人がストロンググリップで握っています。このグリップでボールをつかまえにいくと、フェースが極端に閉じたインパクトになりチーピンに…。
つかまえにいくなら、左の拳がふたつほど見えるスクエアグリップにしましょう。これならフェースがかぶるほど閉じず、チーピンには効果的です
カット軌道をイメージしてスイングする
ダウンスイングではクラブを立てることが大切
チーピンを直すポイント4は、「カット軌道をイメージしてスイングする」です。
チーピンはインパクト時のフェースの向きに対して、クラブ軌道が極端なインサイド・アウトになると起こります。したがって、チーピンが出たときはいつもよりややカット軌道でスイングするように心がけましょう。
こうすると極端なインサイド・アウト軌道がゆるやかになり、大きく曲がりません。ダウンスイングでクラブを寝かさず、立てて下ろすようにすると、簡単にカット軌道でスイングできます。
チーピンを解消するおすすめ練習方法
チーピンと呼ばれる球筋はいくつかありますが、初級者や100切りを目指すレベルの人は、出球が左ということが多いものです。そこでここからは、そんなレベルの人に向けたチーピンを解消する練習方法を紹介します。
- 左手で右肩を押さえてハーフスイング
- 三角形をキープしてハーフスイング
- 斜めに目印を置いてハーフスイング
左手で右肩を押さえてハーフスイング
右肩を押さえれば前に出ない感覚がつかめる
左へ打ち出してしまうハンデキャップの多いアマチュアは、インパクトでフェースが左を向いています。
左を向く原因はいくつかありますが、なかでもダウンスイングで右肩が前に出てしまう人がとても多いものです。そんな人は右手にクラブを持ち、左手は右肩を押さえて、ハーフスイングでボールを打つ練習をしましょう。
この練習をすると右肩が前に出ない感覚をつかめるようになります。ボールが真っすぐ飛ぶようになったら、ふだん通りにクラブを持ち、右肩に注意しながらハーフスイングでボールを打ちましょう。
三角形をキープしてハーフスイング
三角形をキープすればコネる動きがセーブできる
右肩が前に出るとインパクトでフェースは左を向くわけですが、インパクトの際、右腕が左腕の上に来るように手首をコネてしまうと、やはりフェースは左を向きます。
そんな人は両肩とグリップで作られた三角形をキープしたままフォローを出す練習をしましょう。
スイングの大きさはハーフスイングでOKです。三角形をキープできればコネる動きがセーブできるため、フェースは左を向きにくくなります。ハーフスイングに慣れたら、スリークォーターにして、同じ意識でボールを打ちましょう。
斜めに目印を置いてハーフスイング
アウトサイド・イン軌道に目印を置く
極端なインサイド・アウトのスイングもチーピンを招きます。そしてこのタイプは、ダウンスイングでクラブが寝て下りてくることがほとんどです。
こんな人は足元にタオルなどの目印を斜めに置いて、その目印にそってスイングする練習をしましょう。スイングの大きさはハーフスイングでOK。インサイド・アウトとは真逆のアウトサイド・インに目印を置くので、クラブを立てて下ろす感覚が簡単につかめます。つかめてきたら、スリークォーターで練習し、徐々にスイングを大きくしましょう。
ドライバーだけチーピンが出る原因と直し方
ここではドライバーのチーピンの原因と直し方のポイントを紹介します。ドライバーは飛距離が出るクラブなので、チーピンに見舞われると大きなダメージを受けることになります。そうならないためのポイントをお話ししましょう。
- ドライバーでチーピンが出る原因
- ドライバーのチーピンの直し方
ドライバーでチーピンが出る原因
ドライバーでチーピンが出る原因はインパクトでフェースはクローズ(左向き)、その際のクラブ軌道がインサイド・アウトのときに起こります。そしてフェースの向きとクラブ軌道の差が大きければ大きいほどボールは曲がります。
以前は「ストロンググリップで握ってインパクトで手が急激に返ったから」「ダウンスイングで右肩が前に出たから」「インパクトで手首をコネたから」などがチーピンの原因と言われていましたが、そうではありません。
曲がるのはフェース向きとクラブ軌道によるものなので間違えないようにしましょう。ここを間違えると正しいスイングが身につきません。
ドライバーのチーピンの直し方
ドライバーのチーピンを直すポイントはフェースの向きを意識して、スクエアにインパクトするように心がけることです。
インサイド・アウトのクラブ軌道の修正は、スイング全体に関係してくるためなかなか直らず、また時間も必要です。それに比べてフェースの向きの修正は比較的簡単にできます。
左向きのフェースをできるだけスクエアにするには、インパクト付近で手首をコネないことがポイントです。もしストロンググリップで握っているなら、スクエアグリップにチェンジするのもおすすめです。ス
クエアなら、フェースのローテーションがストロングより少ないため、フェースが左を向きにくくなります。
アイアンだけチーピンが出る原因と直し方
ここではアイアンのチーピンの原因と直し方のポイントを紹介します。アイアンはターゲットを狙うクラブなので、チーピンに見舞われると難しいライからのアプローチが残ったりして、なかなかスコアをまとめられません。そうならないためのポイントをお話ししましょう。
- アイアンでチーピンが出る原因
- アイアンのチーピンの直し方
アイアンでチーピンが出る原因
アイアンでチーピンが出る原因はインパクトでフェースはクローズ(左向き)、その際のクラブ軌道がインサイド・アウトのときに起こります。そしてフェースの向きとクラブ軌道の差が大きければ大きいほどボールは曲がります。
以前は「ダウンスイングで右肩が突っ込んだから」「インパクトで手首を急激に返したから」「ボールをつかまえる意識が強すぎるから」「手首をコネたスイングだから」などがチーピンの原因と言われていましたが、そうではありません。
曲がるのはフェース向きとクラブ軌道によるものなので間違えないようにしましょう。ここを間違えると正しいスイングが身につきません。
アイアンのチーピンの直し方
アイアンのチーピンを直すポイントも、ドライバーと同じです。フェースの向きを意識して、スクエアにインパクトするように心がけることです。
手首をコネたり、アームローテーションが大きいせいでフェースが左を向くインパクトになっているなら、手や腕の動きをセーブして、カラダの回転を主体にしてスイングしてみましょう。こうすればフェースが左を向きにくくなります。
インサイド・アウトのクラブ軌道が強いタイプは、たいていダウンスイングでクラブが寝て下りてきます。これを修正するにはクラブを立てて下ろす意識をもつこと。立って下りてくれば、極端なインサイド・アウトの軌道にはなりません。
【Q&A】ゴルフのチーピンについて多い質問
以下では、ゴルフのチーピンについて多い質問・疑問に回答します。
- チーピンと「ひっかけ」の違いは?
- チーピンは柔らかいシャフトだと出やすい?
- ストロンググリップだとチーピンが出やすい?
Q. チーピンと「ひっかけ」の違いは?
チーピンは打ち出されたボールが、その後、左へと大きく曲がる弾道のことです。
引っかけは左へ打ち出されたボールが、そのまま真っすぐに飛んで行く弾道のことです。
前記したようにチーピンはインパクト時のフェース向きがクローズで、その際のクラブ軌道がインサイド・アウトです。引っかけはフェースが左向きでインパクトし、その際のクラブ軌道がフェース向きと同じ場合に起こります。
Q. チーピンは柔らかいシャフトだと出やすい?
柔らかいシャフトだからといって、チーピンが出やすいということはありません。
その人のスイングに対して、インパクトでフェースがクローズになりやすかったり、フェースの向きに対してクラブ軌道がインサイド・アウトになりやすいシャフトなら、チーピンを招くことはあるかもしれません。要するにシャフトの柔らかさのせいではなく、スイングとの相性です。
Q. ストロンググリップだとチーピンが出やすい?
ストロンググリップだからといって、チーピンが出やすいわけではありません。
ただ、ストロンググリップで比較的大きなアームローテーションを行ったり、手首をコネたりすると、フェースが急激に左を向くため、そのことによってチーピンを招くことはあり得ます。
心当たりがあるようなら、スクエアグリップやウィークグリップを試してみて、チーピンが出るかどうかをチェックしてみましょう。スクエアのほうが出ないなら、スクエアに変えましょう。
チーピンが出る人はスイング軌道とフェースの向きを見直してみよう
チーピンはフック系なのでボールが強くOBになりやすい弾道です。そのため多くのゴルファーが嫌っていますが、インパクト時のフェース向きと、その際のクラブ軌道に注意すればミスを防ぐことができるでしょう。いまは弾道計測器によってボールが曲がる仕組みが解明されているので、その仕組みを頭に入れて、スイングに取り組むことをおすすめします。
■解説者プロフィール
宮川岳也(みやかわ たけや)
ゴルフ雑誌編集記者を経て、フリーランスのゴルフライターに。USGTFティーチングプロ資格を有し、現在はゴルフライター活動とレッスン活動の二刀流。