2020〜2021年最新ドライバー15機種の特性を計測&試打で分析
2020-2021 NEW DRIVER CATALOG[1/2]
最新ドライバーの性格分析のために、計測はクラブ分析のプロに、試打はプロと2人のアマチュアゴルファーが担当。クラブとゴルファーの相性がはっきりと分かれた。
GOLF TODAY本誌 No.583 82〜85,94〜96ページより
クラブ分析のプロが軸周りMOI(慣性モーメント)と重心角で最新ドライバーを5つのタイプに分類
クラブ分析のプロ
杉山公平(ドクター スギ)
大手クラブメーカーで27年間クラブ開発に携わる。現在は大手ゴルフ量販、二木ゴルフで取り扱うすべてのクラブの分析を行うクラブ分析のプロ。
プロ・シングル・シニアの3人が試打で5つの項目を評価
飛 び
球のつかまり
スイートエリアの広さ
弾道の高さ
打 感
計測結果と試打評価に相性の違いが表れた
試打と計測は別々に行い、試打者には計測結果を伝えずに評価してもらい、計測時には試打評価を伝えずにドライバー15機種の分類を行ってもらった。
試打終了後に、テスター各自に気に入ったドライバーを選んでもらったところ、計測で分類したタイプの傾向はテスターそれぞれに異なっており、いいクラブは人それぞれということを改めて確認できた。
プロ
高橋良明(たかはし・よしあき)
1983年生まれ、37歳、東京都出身。2013年プロ入会。サザンヤードCC所属、ツアーにチャレンジする傍ら、ゴルフメディアでの試打テスターも務め、毎年ニューモデルを打ち続けているベテランテスター。
アマチュア
畠山真一さん(はたけやま しんいち)
49歳、ゴルフ歴12年、身長180㎝、体重72㎏。年間ラウンド数90回、平均スコア77。ヘッドスピード44m/s。2020年にクラチャンを獲得したシングルプレーヤー。
アマチュア
久保裕起さん(くぼ ゆうき)
67歳、ゴルフ歴44年。身長165㎝、体重63㎏。ゴルフ歴44年、年間ラウンド数60回、平均スコア85。ヘッドスピード42m/s。まだまだ飛ばすシニアゴルファー。
[データ分析結果]軸周りMOIと重心角の組み合わせで5つのタイプに分かれる
下のチャートは、重心角を横軸に、軸周りMOIを縦軸として計測したヘッドを分類したものです。重心角で球のつかまりやすさ、軸周りMOIでヘッドの返しやすさが変化しますから、スイング中のヘッドターンの度合いと、どれくらいの球のつかまりが欲しいかによって、その人に合うタイプが分かります。
5つのタイプ別に相性がいいのはこんな人
Aタイプ
球がつかまって曲がりも少ない超オートマチックなタイプ
ヘッドの直進性が高く、ミスヒットにも強い。インパクトのフェース向き通りにオートマチックに飛ばせる。フェースローテーションが少なくストレートボールを打ちたいゴルファー向き。
Bタイプ
ヘッドの直進性でミスヒットにも強いタイプ
ヘッドの直進性を生かして、ストレートボールを打ちやすいタイプ。Aタイプに比べてフェースローテーションも少し使える。Aタイプよりもリストワークが大きい人向き。
Cタイプ
球のつかまり重視のスライスしにくいタイプ
重心角とフェースローテーションの使いやすさのバランスで、球のつかまりが最もよくなるタイプ。クラブを代えて球のつかまりを増やしたい人向き。
Dタイプ
球のつかまり控えめのフックしにくいタイプ
適度な操作性を持ちながら、球のつかまりが控えめなタイプ。つかまり過ぎを避けながら自分で球をつかまえて打ちたい人向き。
Eタイプ
自分でヘッドを操作して球筋をコントロールしやすいタイプ
球筋をコントロールしやすいタイプ。ヘッドを積極的にターンさせて、フェースの向きをコントロールしながら打ちやすいタイプ。球筋をコントロールしたい人や、手を返して球をつかまえたい人向き。
ニューモデルのトレンド
最新ドライバーはオートマチック化がさらに進行
ここ数年、ドライバーは重心角と軸周り慣性MOIの両方が拡大し続けています。ヘッドの直進性が高く、球のつかまりもよくなるため、よりオートマチックにやさしく打てる特性と言えますが、直進性が高い反面テークバックでフェースを開いてしまうと、スクエアに戻すことが難しくなります。これを補完するために、重心角が大きいけれど軸周りMOIはあまり大きくしないものも見受けられます。
大きな流れとしては、よりオートマチックな方向を向いているので、最新のドライバーの良さを生かすためには、あまりファースローテーションを使わないということがコツになります。
A~Eあなたに合うタイプの見分け方
データ分析でドライバーのタイプをA~Eの5つに分類しましたが、その中から自分に合うタイプを見つけるコツを紹介します。
フェースの開閉はここで分かる
フェースの開閉と軸廻りMOIの相性は反比例する
フェースの開閉が多い人が軸廻りMOIが大きいドライバーを使うと、開いたフェースを戻すことが難しく、インパクトのフェース向きが不安定となって方向がバラつきます。フェースの開閉が多ければ、軸廻りMOIは小さいもの、開閉が少ない人は軸廻りMOIが大きいものがマッチします。フェースの開閉の大小でチャートの上下いずれかを判断して、あとは球のつかまりで左右を選べばOKです。
最新ドライバーの傾向と対策
最新ドライバー15機種の試打を終えた高橋プロに最新ドライバーを選ぶ際のポイントを聞いた。
最新ドライバーの傾向
[共通しているのは]全体的にロースピンになっている
モデルによって打ち出しの高さは変わりますが、最新ドライバーに共通しているのは「低スピン」になっていること。スピンがかかり過ぎると飛ばなくなってしまうので、飛距離を出すためには無駄なスピンの防止が必要。ただし、打ち出し角が足りないと「ドロップ」して、やはり飛ばなくなるので注意が必要です。
[モデルによって違うのは]球のつかまりとクラブの重量、シャフトのしなり
軸周りMOIと重心角と打ち方との相性で球のつかまりが大きく変わります。また、クラブの総重量も大きく変わります。モデルによって純正シャフトで300g前後から270g台までの差があります。シャフトのしなり感、しなりの量もモデルによって大きく違っています。
最新ドライバーの対策
できるだけ数値をチェック!
ロースピン対策は簡単です、ドライバーを選ぶ時まず10.5°から試打すること。10.5°で上がり過ぎる時は9.5°も試せばOKです。できればスピン量と打ち出し角を計測できるところで数値を確認しながら選ぶとよりよいでしょう。クラブの重量や長さはカタログスペックで分かりますからチェックしましょう。また、最近はシャフトのバリエーションも増えています。弾道やミート率が変わることがありますから、シャフト違いも試打しましょう。
試打テスターのお気に入りはコレだ
試打終了後に、それぞれのテスターに気に入ったモデルを3つ挙げてもらった。すると3人3様で全く違うモデルだった。それぞれを見てみるとAからEまでの5つのタイプとの相性がハッキリと出ていた。
高橋プロが選んだのは
▶スリクソン ZX5
▶RS F
▶ツアーB X の3本
つかまり過ぎを嫌うプロだけに、基本的にはつかまり控えめのDタイプをチョイス。唯一CタイプのツアーBXは、今回試打した中で最も軸周りMOIが小さいモデルなので、操作性の高さで「思った通りの球が打ちやすかった」というのが選択理由。
シングルプレーヤーの畠山さんのチョイスは
▶スリクソン ZX7
▶マーベリックMAXファスト
▶RS の3本
Dタイプ、Eタイプ、Cタイプから1本ずつのチョイスだが、スリクソンとマーベリックは共に球のつかまりが控えめで、操作性もあるタイプ。RSは少しつかまるタイプながら、「飛距離が出そう」ということでの選択ということだ。
フェードからスライスが持ち球の久保さんのセレクトは
▶G425 SFT
▶インプレスUD+2
▶ビッグバーサB21 の3本
G425 SFTとインプレスUD+2はBタイプの中でも重心角が大きくオートマチックに球がつかまるタイプ。ビッグバーサは球のつかまり重視のCタイプからのチョイスとなっている。
撮影協力/サザンヤードCC(茨城県)