PING G425クロスオーバー試打評価|高橋良明が本気レビュー
ロングアイアンの距離をどんなクラブでカバーするかはクラブセッティングで一番の悩みどころです。ここ最近、選択肢の増えてきたアイアン型のユーティリティは見た目もかっこよくアマチュアにとっても気になる存在ですが、果たしてその使い勝手はどうなのか。今回はPING(ピン)の『G425クロスオーバー』を「試打のスペシャリスト」高橋良明がレビューします。
[目次]
PING G425クロスオーバーの総合評価
PING G425クロスオーバー
飛距離性能 | ★★★★☆(4/5) |
---|---|
操作性 | ★★★★☆(4/5) |
打球感 | ★★★☆☆(3/5) |
上がりやすさ | ★★★★☆(4/5) |
総合評価 | ★★★★☆(4/5) |
PING G425クロスオーバーの特徴
『G425クロスオーバー』の外観はほぼアイアンです。そしてメッキ仕上げが前作のシルバーからブラックに変わったため見た目がさらにシャープになりました。
とはいっても中身はステンレスのボディとマレージング鋼のフェースを複合した中空構造なので、アイアンよりもミスヒットに強く、高初速、高弾道でキャリーが出ます。また、ヘッドがアイアン並みにコンパクトなのでハイブリッド(ウッド型ユーティリティ)と比べて操作しやすいのも特徴です。
その名の通りアイアンの長所とハイブリッドの長所をクロスオーバー(掛け合わせ)させたクラブといえます。
- 極薄マレージングフェースが高初速・ビッグキャリーを実現
- 徹底した重量周辺配分設計によりさらにミスヒットに強い
- ヘッドがコンパクト、アイアンのイメージでかまえられる
特徴1. 極薄マレージングフェースが高初速・ビッグキャリーを実現
『G425クロスオーバー』のフェースに使われている素材は航空・宇宙用に開発されたマレージングC300という特殊鋼です。
一般的な鉄やステンレスよりも引っ張り強度が高く、フェースを薄く作ることができるので、クラブの反発性能をアップさせると同時により大きな余剰重量を生み出すことができます。
『G425クロスオーバー』はマレージングC300を鍛造することで前作よりもフェース厚さを7%薄肉化。その結果、高初速・強弾道の大きなキャリーを実現しています。
特徴2. 徹底した重量周辺配分設計によりさらにミスヒットに強い
『G425クロスオーバー』はアイアン形状ですが、ヘッド内部はアイアン型ユーティリティの『G425ハイブリッド』と同じく中空構造になっています。
中空ヘッドは、構造上重量が周辺部に配分されるので慣性モーメント(以下、MOI)が高くなりますが、『G425クロスオーバー』はトゥとネックにウエイトを装着するなど重量周辺配分を徹底。
前作よりも約4%高いMOIを実現しさらにスイートスポットが広がっています。また、重心が深い分、インパクトロフトが大きくなるのも中空ヘッドのメリットで、ロフト角が同等のロングアイアンよりも高い球が打ちやすくなっています。
特徴3. ヘッドがコンパクト、アイアンのイメージでかまえられる
バックフェースの上部をわざわざ削り出したり、ライ角調整を可能にしたりするなど『G425クロスオーバー』はアイアンの形状と機能にこだわった作りになっています。また、疎水性が高く雨の日も安定したスピンがかかるハイドロパールステルス仕上げを採用。
マットブラックな色調がコンパクトなボディをさらに引き締めています。かまえたときアイアン同様にラインを出しやすく操作できるイメージですが、ソール幅が広く適度なグースもあるので安心感もあります。中空ヘッドの弱点である打球音も内部に配置されたサウンドリブにより改善されています。
PING G425クロスオーバーのスペック
番手は5Wの替わりになる18度と3I、4Iの距離をカバーする20度、22.5度。
40グラム台のカーボンから100グラム台のスチールまで選べるシャフトの種類が多いので、アスリートからアベレージまで幅広いゴルファーにフィットします。
メーカー | ピンゴルフジャパン(PING) |
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製品名 | G425クロスオーバー アイアン型ユーティリティ |
ヘッド素材 | ボディ:17-4ステンレス、フェース:FORGEDマレージング鋼C300 |
番手/ロフト角 | #2/18度 #3/20度 #4/22.5度 |
シャフト | ■カーボン ALTA J CB SLATE(R、SR、S、X)、ALTA DISTANZA BLACK 40(R)、PING TOUR173-85(R、S、X)、TENSEI CK Pro Orange(80S) ■スチール AWT2.0LITE(R、SR、S)、N.S.PRO950GH neo(R、S)、N.S.PRO MODUS3 TOUR105(R、S、X)、N.S.PRO MODUS3 HYBRID(S) |
長さ(#2) | 40.38インチ(カーボンシャフト標準クラブ長) |
税込価格 | カーボンシャフト(TENSEI以外の標準シャフト):39,600円 カーボンシャフト(TENSEI):48,400円 スチールシャフト(MODUS3 HYBRID以外の標準シャフト):35,200円 スチールシャフト(MODUS3 HYBRID):48,400円 |
公式サイト | ピンゴルフジャパン公式サイト |
PING G425クロスオーバーを試打レビュー
アイアンとハイブリッドのいいところ取りをした『G425クロスオーバー』の使い勝手はどうか?
振り心地、弾道、飛距離、アイアンやハイブリッドとの相違点、どんなゴルファーに適しているのかを高橋良明が明らかにします。
- 強弾道でキャリーが安定するから遠くのターゲットをねらえる
- アイアンよりも弾道が高く、ショートウッドより球を抑えやすい
- 高い球も低い球も打ちやすく、飛距離のロスが少ない
強弾道でキャリーが安定するから遠くのターゲットをねらえる
球が強く距離はまあまあ出る『G425クロスオーバー』ですが、同じカテゴリーの中でずば抜けて飛ぶというわけではありません。飛距離はちょうどハイブリッドとアイアンの中間といったところでしょう。
一発の飛びというよりはミスヒットに強くて安定したキャリーが出せるクラブで、ターゲットをねらうという用途を考えれば使いやすいと思います。
弾き感はあるので、その分打感は硬めです。飛距離を求めるとしかたのないところでしょうが、見かけからアイアンのような打感を期待した人は違和感を覚えるかもしれません。
スイートエリアが広く上下左右に打点がずれてもまあまあ弾いてくれますが、ヘッドの先の方に重量感があってトゥ側に外したとき当たり負けしにくいところはロングアイアンや小ぶりなフェアウェイウッドにない強みです。
アイアンよりも弾道が高く、ショートウッドより球を抑えやすい
アイアン型ユーティリティとしては『G425クロスオーバー』は球がよく上がります。パワーのある人やダウンブローに打てる人ならスピンを入れてさらに高さを出せます。
さすがにショートウッドよりは低いけれど、ふつうのロングアイアンよりは明らかに球が高く、両方の中間くらいの弾道で飛んでいきます。
ロングアイアンと比べると『G425クロスオーバー』は楽にキャリーが出せて、高いところから落とせるのでグリーンをねらいやすいクラブといえます。
また、『G425クロスオーバー』は、ショートウッドやハイブリッドを使うと球が上がりすぎて距離をロスしてしまうような人にもおすすめできます。
高い球も低い球も打ちやすく、飛距離のロスが少ない
フックとスライスを自由自在に打ち分けるところまではいきませんが、ある程度の操作性はあります。つかまりが適度なのでフック系よりもスライス系で飛ばすボールが打ちやすくなっています。
『G425クロスオーバー』の長所は、左右よりも高低の打ち分けがとてもしやすいところです。
フェースの下の方に当てて上げてボールを上げるときもただ上に上がってしまうのではなく、初速が出て遠くの方にぽーんと高く飛び出てくれるし、低く抑えて打ち出すときもドロップする感じはしません。高い球でも低い球でもやさしく安定して飛ばせるクラブです。
PING G425クロスオーバーがおすすめの人
ウッドよりもアイアンが得意だけれど、ロングアイアンで球を上げるのがしんどくなってきた人や当たり負けして真っ直ぐ飛ばなくなってきた人が『G425クロスオーバー』を使えば、打ち出し角不足やミスヒットをカバーしてくれるので安定して飛ばせるようになります。
シャフトの選択肢が多いのでスペックさえ合わせればアベレージゴルファーでも使えますが、このクラブの本来の性能を十分引き出すにはある程度のパワーが必要です。ロングアイアンをそこそこ打てる人が使えば、自分で球筋をコントロールしながら、いままでよりも楽に飛ばしてねらっていけるようになるでしょう。
また、低くて強い球が打ちやすいクラブなので、狭いホールのティショットでラインを出しながら打っていくといった使い方にもぴったりです。
PING G425クロスオーバーの評価
『G425クロスオーバー』をかまえたときの第一印象は中空ヘッドらしくないすっきりした見た目です。グースも『G410クロスオーバー』より少なくなったので、アイアンから替えるときの違和感もなさそうです。仕上げがシルバーからマットブラックになったので、フェース面とのコントラストがはっきりしてターゲットに合わせやすくなりました。
ボールを打って一番印象に残ったのは、球の強さと飛距離もさることながら、球の上がりやすさとミスヒットに対する強さです。高い弾道でキャリーが出て、前後左右のブレも小さいので積極的にグリーンをねらっていけます。左右高低の打ち分けもしやすく、すごくやさしいアイアンの感覚で使えるクラブです。
テスター/高橋良明(たかはし・よしあき)
1983年生まれ、東京都出身。2013年プロ入会。サザンヤードCC所属。ツアーに挑戦するかたわら、ゴルフ専門誌やウェブメディアでテスターを務める。毎年出る新製品をほぼ打ち尽くす試打のスペシャリスト。
取材協力/サザンヤードカントリークラブ