キャロウェイ EPIC MAX LSドライバーの試打評価レビュー
試打のスペシャリスト・高橋良明の本気レビュー
最大のボール初速を実現するため、AI(人工知能)が設計した革新的なフレームとフェースを採用した3代目『EPIC(エピック)』ドライバーシリーズ。
「SPEED(スピード)」「MAX(マックス)」「MAX LS(マックスエルエス)」の3モデルのうちもっともアスリート向けの『EPIC MAX LS(マックスエルエス)ドライバー』の力強い飛びを「試打のスペシャリスト」高橋良明が実証します。
[目次]
キャロウェイ EPIC MAX LSドライバーの総合評価
キャロウェイ EPIC MAX LSドライバー
飛距離性能 | ★★★★★(5/5) |
---|---|
直進性 | ★★★★☆(4/5) |
つかまりやすさ | ★★☆☆☆(2/5) |
上がりやすさ | ★★☆☆☆(2/5) |
総合評価 | ★★★☆☆(3/5) |
キャロウェイ EPIC MAX LSドライバーの特徴
かつてないボール初速を追求することが『EPIC』シリーズの共通のテーマですが、各モデルはターゲットを明確にして、それぞれのゴルファーにとって最大の飛距離を実現できるように作り込みがなされています。
その中心をプロや上級者に定めた『EPIC MAX LSドライバー』は、人並み以上に速いスイングスピードやボール初速を実際の飛距離に結びつけられるように低スピンを追求。
また、つかまりすぎを嫌がるプロや上級者に合わせてフェードバイアス設計を採用しています。その一方で、飛距離のアドバンテージを生かかすため、アベレージモデル並みの高慣性モーメントで曲がりにくいクラブとなっています。
- 速いスイングスピードを生かせる『スピードフレーム』
- 「FLASHフェースSS21」で初速とスピン量が安定
- アベレージモデル並みの高慣性モーメント設計
特徴1. 速いスイングスピードを生かせる『スピードフレーム』
AIが設計した「ジェイルブレイクAIスピードフレーム」がクラウンとソールをがっちりと固定し、垂直・水平両方向のボディの変形を抑制。
フレームのない一般的なクラブと比較してクラウンのたわみ量は約20%減少し、その分インパクトの力がフェースに集中。フェースのたわみ量が増えることでボール初速が大幅にアップしています。
どの打点でも高い初速を実現する「FLASH(フラッシュ)フェースSS21」との相乗効果により、速いスイングスピードを無駄なく飛距離につなげることができます。
特徴2. 「FLASHフェースSS21」で初速とスピン量が安定
スイングスピードの速いプロや上級者の打点データを基にAIが最適な形状を導き出した『EPIC MAX LSドライバー』専用の「FLASHフェースSS21」を採用。
弾道をコントロールするために打点を上下左右にずらして打ったり、ミスヒットで芯を外した場合でも、安定して高いボール初速が得られます。
また、慣性モーメントが高いことも手伝って、フェースのどこに当たってもスピン量が過度に増えないため吹け上がりによる飛距離ロスも少なくなっています。
特徴3. アベレージモデル並みの高慣性モーメント設計
軽量なトライアクシャル・カーボンをクラウンだけでなくソールのトゥ側にも使用することで生まれた余剰重量を使って、球がつかまりすぎずスピンが増えない位置に重心を設定。
ヘッド後方に装着したペリメーター・ウエイトの効果で『EPIC MAX LSドライバー』はアベレージモデルの『MAVRIK MAX(マーベリックマックス)ドライバー』並みの高慣性モーメントを実現。
プロ・上級者向けモデルとしては、芯を外したときの飛距離ロスと方向のブレが少ないやさしいドライバーになっています。
キャロウェイ EPIC MAX LSドライバーのスペック
標準ライ角は57度。3モデルの中ではもっともフラットでつかまり過ぎない設定です。オリジナルシャフトの「TENSEI(テンセイ) 55」は兄弟モデルの中でもっとも重くしっかり振れます。
ストックのカスタムシャフトは国産3メーカーの2021年モデルから選択できます。
メーカー | キャロウェイゴルフ |
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製品名 | EPIC MAX LS ドライバー |
ヘッド素材 | ボディ:8-1-1チタン、クラウン&ソール:トライアクシャル・カーボン、フェース:FS2Sチタン鍛造 |
ヘッド体積 | 460㎤ |
番手/ロフト角 | 9.0、10.5度 |
ライ角 | 57.0度 |
シャフト | TENSEI 55 for Callaway(SR、S) Tour AD HD-6(S)、Speeder 661 EVOLUTION VII(S)、Diamana TB 60(S) |
長さ | 45.75インチ(TENSEI 55 for Callaway) |
重量/バランス | 約303g/D3(TENSEI 55 for Callaway、S) |
価格 | TENSEI 55 for Callaway:77,000円+税 Tour AD HD-6、Speeder 661 EVOLUTION VII、Diamana TB 60:94000円+税 |
公式サイト | キャロウェイゴルフ公式サイト |
キャロウェイ EPIC MAX LSドライバーを試打レビュー
プロや上級者が使うことを想定して設計された『EPIC MAX LSドライバー』はどれだけ飛んで、どんなゴルファーが使いこなせるのか。
レディスからプロモデルまであらゆるジャンルのクラブを打ちこなす高橋良明が吟味します。
- 『EPIC』3兄弟の中でもっとも初速が出てスピンは少ない
- アベレージモデル並みの直進性だが、球筋の操作もできる
- 上がりすぎない強弾道は風の影響を受けにくくランも出る
『EPIC』3兄弟の中でもっとも初速が出てスピンは少ない
『EPIC MAX LSドライバー』は兄弟モデルの『EPIC SPEEDドライバー』と比べても初速が速く、スピンはアスリート向けの前作『EPIC FLASH SUB ZERO(サブゼロ)』よりも一段階減って、低めの強い弾道でほぼ一直線に飛んでいきます。
とくに芯よりも上のトゥ寄りに当てたときのボール初速がものすごく、打ち出しも上がるので驚くほど飛びます。
ただし、とにかくスピンが少ないので、かなりしっかり振るか、アッパー気味に振って打ち出し角を上げていかないと球がおじぎして飛ばなくなります。フェースの下側に当たると打ち出しが低くなりスピンも減るので球が強烈にドロップして、ゴロみたいな球も出ます。
アベレージモデル並みの直進性だが、球筋の操作もできる
投影面積が『EPIC SPEEDドライバー』よりも大きく、形状はひと昔前の『バーナー』のような三角形。いかにも慣性モーメントが高そうに見える『EPIC MAX LSドライバー』ですが、実際にトゥやヒールに当てたときにもフェースがブレにくく、球が曲がりません。直進性は『EPIC SPEEDドライバー』を上回り、アベレージ向けの『EPIC MAX ドライバー』に迫ります。
操作はある程度できます。フェースの返りがゆるやかなのでフェード系の球は打ちやすくなっています。逆にドローを打つのはかなりのヘッドスピードがなければ難しいでしょう。人並み程度のヘッドスピードだとスピンが減り過ぎて縦のチーピンになってしまいます。
上がりすぎない強弾道は風の影響を受けにくくランも出る
『EPIC MAX LSドライバー』の打ち出し角は3モデルの中では一番低いですが、ウエイトが後ろにあって重心が深いので打点が安定してフェースの上側に当てられる人ならある程度の球の高さは出せます。
高弾道ではありませんがパワーのある人にとってはちょうどいい高さで飛んでくれて、抑えた球が打ちやすいので風にも強くランも稼げます。
パワーヒッター以外でも、すくい打ちで球が上に行って前に飛ばない人にはちょうどいいかもしれません。逆にドライバーもダウンブローで打っている人は、ヘッドを上から入れてもスピンが増えないので、そのまま低空飛行になってしまう可能性があります。
キャロウェイ EPIC MAX LSドライバーがおすすめの人
『EPIC MAX LSドライバー』のポテンシャルを引き出せるのは、パワーがあって打点のコントロールもできる上級者です。
スピン量が増えないので思い切り叩きたい人にも向いています。ランもすごく出るのでトータルで驚くほど飛ぶでしょう。
レギュラー世代のプロやアマチュア競技ゴルファーなら問題なく打てますが、シニア世代にはパワーでちょっと厳しいかもしれません。
ぼくのヘッドスピード(46m/s)だとフェードや真っすぐは打てても、ドローになるとスピンが減り過ぎて飛ばなくなります。また、慣性モーメントが高くフェースが開閉しにくいのでフェースをシャットに使ういまどきのスイングにはマッチします。球筋を操作するなら『EPIC SPEEDドライバー』の方が向いています。
『EPIC MAX LSドライバー』はシンプルに真っすぐ飛ばしていくためのクラブです。
キャロウェイ EPIC MAX LSドライバーの評価
飛んで曲がらないとはまさに『EPIC MAX LSドライバー』のためにある言葉です。とにかく飛び出しの速さと、スピンの少なさには驚かされます。
直進性もすごく高く、ヘッドスピードのあるロングヒッターが吹け上がりや曲がりによる飛距離ロスをなくして、さらに飛ばせるドライバーです。
球が上がりにくく、フェースの返りも抑えられているので、パワーのない人にとってはかなり難しい。標準シャフトは軽いので、ふつうに真っ直ぐ飛ばすことはできますが、球をつかまえるなど何かしようとしたときにハードさを感じます。
それにしてもすごいドライバーがでてきたというのが正直な感想です。
テスター/高橋良明(たかはし・よしあき)
1983年生まれ、東京都出身。2013年プロ入会。サザンヤードCC所属。ツアーに挑戦するかたわら、ゴルフ専門誌やウェブメディアでテスターを務める。毎年出る新製品をほぼ打ち尽くす試打のスペシャリスト。
協力/サザンヤードカントリークラブ
撮影/相田克己