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松山英樹はXVをマスターズで使用!スリクソン NEW Z-STAR 開発秘話|攻めろ!頂きを目指して

2021/02/05 ゴルフサプリ 編集部

松山英樹もマスターズで使用したスリクソン NEW Z-STAR

2021年2月5日に発売されたスリクソン NEW Z-STAR。「鍛え上げられた飛びとスピン」、世界のトッププロたちが認めるボールはどのようにして生まれたのか。技術者たちのインタビューとともにお届けするスリクソン NEW Z-STAR開発秘話。
※ゴルフトゥデイ本誌No.585 特別付録より

Episode.01|飛距離で挑む、頂きへの道

ゴルフボールの開発は日進月歩。そして競合ブランドとの開発競争も常に熾烈を極めている。その中で、スリクソンのZ-STARシリーズはどこを自らのストロングポイントとして開発されているのか? 開発エンジニアを直撃した。

単なる“スピン系”は作らない 世界のトッププロだって、もっと飛ばしたいからだ

ゴルフボールには、トッププロや競技ゴルファーの使用を前提とした“スピン系”と、エンジョイアマチュアの使用を念頭においた“ディスタンス系”がある。スリクソンZ-STARシリーズは当然前者の“スピン系”となるわけだが、最もこだわっているのはなんとロングショット時の“飛距離”なのだという。その真意を開発担当の神野一也氏はこう話す。

「私は初代Z-STAR(2009年誕生)の時からずっと開発に携わってきましたが、モデルチェンジのたびにいかに最大飛距離を伸ばしていけるか。そこに大きな力点をおいて開発を進めてきました。もちろん、プロ使用球ですからグリーン周りでのスピンコントロールやフィーリングを軽視することはできません。そこは当たり前として、いかに飛ばしていけるのか?を考え続けてきたのです」

ロングショットでの飛距離アップとショートゲームでのスピンコントロールは、いわば二律背反の関係にあるように思えるが、神野氏は“そうとも言えるのですが、やり方によっては一挙両得で飛びもスピンも向上させていくことが可能なのです”と胸を張る。

スリクソン Z-STAR・Z-STAR XVには、その一挙両得の仕掛けが施されているという。飛距離が出るボールだからこそ、スピンが入り、打感もソフトになる!? そんなことが本当にできるのだろうか?

兵庫県丹波市にある「住友ゴム工業ゴルフ科学センター」とゴルフボールの生産工場。2021年からはゴルフボールの開発チームがここに拠点を移し、現地現物主義をモットーに研究・開発を加速させている。

飛ぶウレタンカバーボールの原点!
2005 SRIXON Z-UR

ウレタンカバー採用のツアーボールながら“大きな飛距離”を目指したZ-S T A Rの前身ブランド。この時代から“スリクソンは飛ぶ!”という評価は確かに高かった。

Episode.02|極薄ウレタンカバーが“飛距離を”を生み出す理由

飛んで、止まるはゴルファー永遠の夢。しかし、エンジニアにとってそれは二律背反の高すぎるハードル、のはずだった。Z-STARボールで飛距離追求を続けて10年が過ぎ、見えてきたものがある。それが「独自の極薄ウレタンカバーなら、もっとソフトにスピンも上げることができる!」ということだった。

神野一也(写真右)/住友ゴム工業 スポーツ事業本部 商品開発部 ゴルフボール技術グループ 主査

スピンのためのウレタンカバーは、飛距離にとってはブレーキになる

スリクソンZ-STARの開発チームがその前身である「Z-UR」の頃からこだわっていた“飛距離アップの秘策“が、ウレタンカバーの薄肉化である。

「いわゆるソリッドコアのゴルフボールは、初速性能や低スピン化に影響するコアや中間レイヤーと、ショートゲームでのバックスピンやフィーリングに寄与するカバーに分かれています。歴代のスリクソンボールが0·5ミリ前後の極薄ウレタンカバーにこだわってきたのは、このカバーが厚いほどインパクトでのエネルギーロスが大きくなってしまうからです。つまり、肉厚カバーではエンジンであるコア、中間レイヤーにパワーを伝え切ることができないわけです」(神野氏)

通常のウレタンカバーボールのカバー厚は、だいたい0·8ミリ程度だという。これはショートゲームでのバックスピンを増大させるには適した厚さ。しかし、ロングショットでの初速性能を考えると、マイナス要因と言わざるを得ないのだという。ここに多くのエンジニアがぶち当たる二律背反の壁があるのだ。

「軟らかい厚カバーではエネルギーロスが非常に大きくなるため、実は分厚いウレタンカバーほど硬くなっているのが一般的です。しかし、Z-STARのように0·5ミリ前後まで薄いカバーにしていくと、逆にカバー自体を軟らかくしていくことさえ可能になるのです」(神野氏)

詳しくは以下のエピソード3で紹介するが、それこそが高初速薄カバーに隠された飛びとバックスピン、一挙両得の核心だ。10年以上にわたって研究を続けてきた薄肉ウレタン技術が、ゴルフボール開発の常識を覆そうとしているのだ。

透けるほど“極薄”になったZ-STAR伝統のウレタンカバー
05年の「Z-UR」は0.5ミリ厚、09年発売の初代Z-STARシリーズも同様に0.5ミリのウレタンカバーが採用されていた。その後、初代のZ-STAR XV(石川遼などが使用)では最薄の0.3ミリまで薄肉化し、飛距離性能の高さを大きくアピールした。写真は最新のNEW Z-STARXVのカバー。厚みは0.5ミリだが、ディンプルが深めに改良されているため、最薄部はさらに薄くなっている。

スリクソン Z-STAR 高初速 & ロースピンのメカニズム

カバーを薄肉化すると、コアの反発性能を最大に引き出せる
ウレタンカバーの下には最も硬いアイオノマーミッド層(黄色の層)、その下に中心ほどソフトになる大径コアがある。ダンロップは独自のデジタルシミュレーション技術によって、外剛内柔の硬度設計を施しボールの変形~復元の時間を最適にコントロールすることで、高初速化とロングショットでの低スピン化が実現できることを発見。スリクソンZ-STARシリーズもこの構造により、大きな飛距離を生み出している。

Episode.03|飛ぶからこそ、ハイスピンにもできる

飛ばしのエンジンとなるコアの出力を最大化するためにスリクソンZ-STARがこだわってきた、薄肉ウレタンカバー技術はその6代目モデルからさらに大きな革新を遂げている。それが次世代Spin Skinコーティング with SeRMの開発成功だ。

極薄ウレタンカバーなら、もっと軟らかくハイスピンにできる!

ショートゲームでのスピン性能を考え、ウレタンカバーの厚みをキープすればロングゲームでの初速性能に影響が出る。その逆にロングゲームでの初速効率を考え、極薄ウレタンカバーとすればショートゲームでのフィーリングが損なわれてしまう。そこにゴルフボール開発の難しさがあった。しかし、今、スリクソンZ-STARは0·5 ~ 0·6ミリの薄さをキープしながら、ショートゲームでのソフトフィーリングを高めることに成功している。

「極薄ウレタンカバーのZ-UR、初代Z-STAR XVの0·3ミリ極薄カバーの印象が強いからか、スリクソンボールのフィーリングは“飛ぶけど硬い”と思われているゴルファーが少なくないかもしれません。しかし、今のZ-STAR
XVは当時とはまったく違います。独自のコーティング技術“SpinSkin”の確立によってモデルチェンジごとにソフトフィーリングとアプローチでのスピン性能を向上。とくに前モデルからはSeRMという振動吸収性に優れた特殊材料でコーティングすることで一段と軟らかく、フェースへの食いつきもよくなっています」(神野氏)

今回取材のためスリクソンZ-STARシリーズの製造現場を見学したが、いわゆるクリア塗装と呼ばれる最終に近い工程でSeRMを配合した仕上げコーティングが行われていた。

「ゴルファーの皆様から“飛ぶけど、硬い”と言われた初代のZ-STAR XVと最新のZ-STAR XVではソフトな打感だけでなく、アプローチでのバックスピン性能も大きく進化しています。カバーの軟らかさが増したことでサンドウェッジでのスピン量は1000回転/分以上増えているんですよ」(神野氏)

カバーが薄いからこそ、カバー自体を軟らかくしていくことが可能となった。そして、それが飛距離性能をキープしながら、分厚いカバーと同等、それ以上のスピン性能とフィーリングを兼ね備えるというスリクソンZ-STARボールのストロングポイントとなった。

初代Z-STAR XV とNEW Z-STAR XVのアプローチデータ比較

2010年に発売された初代Z-STAR XVと比べると最新のZ-STAR XVは打感がソフトになっただけではなく、バックスピン量が1000回転/分以上増加していることがわかった。これによりインパクト直後の打ち出し角も低くなり、“低く出してギュギュっと止まる”という上級者好みのアプローチがしやすくなっていることが証明された。(住友ゴム工業ゴルフ科学センター調べ)

兵庫県丹波市にあるスリクソンゴルフボールの生産工 場。そのペイント工程で高分子材料SeRMを配合したコーティングがされていた。透明かつ微細な霧で吹きつけていくため肉眼やレンズではその実態をとらえることはできなかった。

ソフトな打感とアプローチでの高いスピン性能を追求したNEW Z-STARでは、前モデルと比べ100回転/分以上のアプローチスピン増※を達成(ヘッドスピード16m/s、キャリー約20ヤードでの比較)。8番アイアン(ヘッドスピード38m/s)でも約200rpmのバックスピン増※が確認されている。※データは、住友ゴム工業ゴルフ科学センター調べ

最終塗装工程に“激スピン”の秘密あり

  • 美しい発色のプレミアムパッションイエローにも、もちろんSeRM配合の最新コーティングがされている。

  • 国内工場で精密に作られているスリクソンZ-STARシリーズ。一個のボールが出来上がるまでに100を超える品質チェックポイント がある。

スリクソン Z-STARシリーズ|ハイスピンのメカニズム

6代目から高分子材料SeRMをクリアペイントに配合!
高分子材料SeRMを配合したことで、コーティング材自体をソフト化することに成功。振動吸収性が高められたことでフィーリングがよりよくなっただけでなく、摩擦係数も大幅にアップし、ショートゲームでのスピン性能が劇的に向上した。 復元性の高い材料のため、ラウンド中に傷が付きにくいという利点も。さらに今回の7代目では、インパクト時のフェースとボールの滑りを抑制した新配合により、更なる心地よい打球感と優れたスピン性能を実現している。

Episode.04|抗力と闘い、揚力を味方に

ゴルフボールを遠くに飛ばしていくためには、いかに効率よく打ち出すかも大事だが、どのような放物線を描いて落下させていくのか、そのイメージが大切だ。落ち際のひと伸びを決めるのはゴルフボールの羽根と呼ばれる、ディンプルである。

理想の弾道を“安定”して実現する、進化した338スピードディンプル

スリクソン Z-STARボールの開発の中で、最も改良・進化を遂げてきたのがそのディンプルパターンだという。足掛け12年、7代にわたるモデルチェンジの中で5度のディンプルパターン変更が為されている。

「ディンプル開発のポイントは大きく分けて2つ。飛び出しから最高点までの空気抵抗(抗力)をいかに下げるか。そして、最高点からは逆に浮力(揚力)を利用して落下角度を緩やかにしていきたい。そうすることでキャリーを大きく伸ばすことができるからです」(神野氏)

スリクソン Z-STARシリーズの開発では、一貫して抗力の軽減と揚力のアップに力点をおいてディンプルパターンの改良が加えられてきた結果、初代Z-STARと7代目となるNEW Z-STARでは、ディンプルだけで4~5ヤードの飛距離アップに成功している、と神野氏は言った。

「抗力を下げていくためにはボール表面を隙間なくディンプルで埋めていきたいわけですが、我々はなるべく同じ大きさのディンプルで占有率を高めたいと常に考えています。ディンプル間の隙間を小さいディンプルで埋めるのもひとつの方法ですが、安定したフライトを考えるならば同じ大きさのディンプルを配置し、あらゆる方向からでも同じ効果を発揮させる
のがベストだと考えているのです」(神野氏)

均一な飛びは最大飛距離にもつながるが、向い風などの悪条件下での安定性にも大きく関わってくる。NEW Z-STARシリーズでは、約4%各ディンプルを深く設計したという。これによりさらに風の中での安定性が増した。

Z-STARシリーズはこれまでに5回のディンプルパターン変更を行い、そのたびに抗力軽減と揚力アップという理想に近づいている。
【Z-STARディンプルパターンの変遷】
① 初代、2代目 324シームレスディンプル
② 3代 344シームレスディンプル
③ 4代 324スピードディンプル
④ 5代、6代 強弾道338スピードディンプル
⑤ 7代 強弾道338スピードディンプル(深さ改良)
※各3桁の数字はディンプルの数を示す
※5〜7代目はディンプルの配列は同様、7代目(最新)
では深さの設計が大きく進化しています

スリクソン Z-STAR キャリーを伸ばすメカニズム

落下角度を緩やかにすれば、もっとキャリーを伸ばせる
ボールの推進力がある打ち出し直後は“抗力”を抑えることで最高点までの距離を伸ばすことができる。最高点からは推進力がないため急速に落下し始めるが、ディンプルパターンを工夫し、浮力(揚力)をもたせることで落下角度を緩やかにすることができる。グライダーのように緩やかにランディングさせることでキャリーを伸ばすことができるのだ。

Episode.05|貫かれる、ベストギアを生み出す原理原則

モデルチェンジ、改良、進化……。性能を変えることでゴルフゲームをより楽しいものにするのがエンジニアの使命である。しかし“変える”ためには知らなければいけないことがある。それが“変えてはならないもの”の正体だ。打球音? フィーリング? 見えないものの中にこそ、トッププレーヤーのこだわりがある。

感覚的なフィードバックを数値化して理解する “評価能力”

ゴルファーはそれぞれ、好みのゴルフボールを選り分けるセンサー(基準)のようなものを持っていると思うが、デビュー以来スリクソンZ-STAR XVを使い続ける松山英樹にも、独特のボール選びの基準があるという。

「松山プロはとにかくパターのフィーリングを大事にされます。通常のストロークではもちろんですが、パターのフェースでボールをリフティングしたりして“感触”を確かめているんです。そして、その結果がよくなければ次のステップには進まない。つまり、ショットしてもらえない厳しさがあるのです」(神野氏)

松山がパッティングやリフティングで確かめているのは、果たして何なのだろうか? 開発チームで“性能評価”を担当している瀧原広規氏は、こう説明する。

「松山プロがチェックしているのはフィーリングの中のひとつの要素である“打球音”であると考えています。そこで、とにかく我々はなんとかこの“好みの音”の正体を突き止めようとあらゆる分析を重ねてきました。詳しくは言えませんがそれは振動(音)を解析することで見えてきます。いくつかの振動(音)がブレンドしたものが打球感や打球音として表現されるのです。その調和のポイントはある程度、解明できていると考えてい
ます」(瀧原氏)

その証拠に、5代目からはパターより先にテストが進まないということはほぼなくなった。松山がもっとも大事にしている“急所”を開発陣が押さえたということだ。ダンロップでは『ゼクシオ』などのクラブ開発でも、タイヤの開発で培った振動解析技術を応用したサウンドチューニングが行われているが、ボール開発においてもそれは積極的に活用されている。

人が心地よく使える道具であれ。心地よさの正体を突き止め、数字で示せ。ダンロップのエンジニアすべてに貫かれる、大ヒットギアを生み出す“原理原則”だ。

新型コロナウイルスの影響で変則スケジュールとなった2020年のPGAツアー。一時帰国した松山英樹は「住友ゴム工業ゴルフ科学センター」を訪れ、NEW Z-STAR XVのテストに臨んだ。
プロ入り以来、ずっとZ-STAR XVを使い続ける松山英樹。NEW Z-STAR XVは高反発ファストレイヤー大径2層コアでエネルギー効率がさらに高まった。アイアン、アプローチスピン性能も進化したSeRMコーティングでアップ。

Episode.Future|攻めろ!それぞれの頂きを目指して

松山英樹は「パターのフィールが合わなければ、先に進めない」といった。星野陸也は「自分で球筋を作っていきたい。だからもう少しスピンを増やしてほしい」と切望した。キャメロン・チャンプは「ドライバーのスピンがさらに抑えられているからいいね!」と喜んだ。稲森佑貴は「NEW Z-STARのバックスピン性能のおかげで日本オープンに勝てた」と語った。

トッププレーヤーがゴルフボールに求める性能は、様々だ。だからこそ、スリクソン Z-STARには選択肢がある。それぞれの好み、プレースタイル、理想とするショットのイメージ。自信を持って攻めた一打の先にある、それぞれの頂き。

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