キャロウェイ APEXアイアンの試打評価|高橋良明が本気レビュー
顔、打感、やさしさ、飛距離、そして正確性。どれもアイアンには欠かせない要素であり、これらをちょうどよくバランスさせることが大事です。『APEX(エイペックス)アイアン』はAI(人工知能)の助けを借りてアイアンの理想にどこまで近づけたのか。「試打のスペシャリスト」高橋良明が検証します。
[目次]
キャロウェイ APEXアイアン総合評価
飛距離性能 | ★★★☆☆(3/5) |
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打球感 | ★★★★☆(4/5) |
操作性 | ★★★★☆(4/5) |
上がりやすさ | ★★★★☆(4/5) |
総合評価 | ★★★★☆(4/5) |
キャロウェイ APEXアイアンの特徴
『APEXアイアン』シリーズはキャロウェイのフラッグシップ。2021年モデルにはAIが設計した「FLASH(フラッシュ)フェースカップ」と従来モデルを大幅に上回る重量の「タングステン・エナジー・コア」が初めて搭載され、より高いボール初速と最適なスピン性能を両立させています。
スタンダードモデルの『APEXアイアン』は、ただ飛距離を求めるのではなく、構えやすさ、心地よい打感、つかまりのよさ、高い打ち出し、適正なスピン量を実現し、ちょうどいい高さで飛ばせる軟鉄鍛造キャビティアイアンになっています。
- つかまりやすく安心感のあるちょうどいいグースネック
- 「FLASHフェースカップ」が番手ごとのスピン量を最適化
- 「タングステン・エナジー・コア」搭載で当たり負けに強い
特徴1.つかまりやすく安心感のあるちょうどいいグースネック
「APEX」シリーズの3モデルの中でスタンダードな位置づけの『APEXアイアン』はオーソドックスなキャビティモデル。
歴代モデルから受け継がれてきた形状はすっきりしていて構えやすく、ややオフセットされたネックや厚めのトップラインはしっかりとボールをつかまえてくれる印象です。
また、飛び系アイアンにしてはロフトが立ちすぎていないのも特色です。フェース面が大きく見えるため球を包み込んでやさしく拾ってくれるような安心感があります。
特徴2.「FLASHフェースカップ」が番手ごとのスピン量を最適化
『APEXアイアン』はPWを除く全番手にAIが設計した「FLASHフェースカップ」を初めて採用した軟鉄鍛造アイアンで、従来モデルを上回るボール初速と広い高初速エリアにより、必要以上にロフトを立てることなく高く大きな飛びを実現しています。
また、このフェースは各番手のスピン量が最適になるように設計されているため、ロングアイアンは強弾道で飛ばしやすく、ショートアイアンはしっかりとスピンが入ってグリーンで止められるようになっています。
特徴3.「タングステン・エナジー・コア」搭載で当たり負けに強い
『APEXアイアン』にはトゥ、ヒール、センターバックの3箇所に「タングステン・エナジー・コア」が配置されています。
タングステンの合計重量は前作を大幅に上回り、高い慣性モーメントと深い重心位置を実現。見た目がシャープな軟鉄鍛造アイアンにもかかわらずミスヒットに強く、ロングアイアンでも球が上がりやすくなっています。
また、オフセンターヒットでもフェースが当たり負けしにくいため、インパクト時のエネルギーロスが小さく、「FLASHフェースカップ」の反発力との相乗効果により、より安定した飛距離が得られます。
キャロウェイ APEXアイアンのスペック
ロフト角は『APEX PROアイアン』よりもほぼ1番手ずつ立てられ、弾きのいい「FLASHフェースカップ」とあいまってちょうどいい飛びを実現しています。標準シャフトはタイプと重量の違う軽量スチールが3タイプ用意されています。
メーカー | キャロウェイゴルフ |
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製品名 | APEX アイアン(2021) |
ヘッド素材 | ボディ:軟鉄+ウレタン・マイクロスフィア+タングステン・インナーウエイト+スクリューウエイト フェース:17-4ステンレス |
番手/ロフト角 | 4I/21度 5I/23.5度 6I/26.5度 7I/30.5度 8I/34.5度 9I/38.5度 PW/43度 |
シャフト | スチール:N.S.PRO MODUS3 TOUR105(S)、N.S.PRO 950GH neo(S)、N.S.PRO Zeros 8(S) |
長さ(#7) | 37インチ |
重量/バランス(#7) | 約426g/D2(N.S.PRO MODUS3 TOUR105)、約423g/D1(N.S.PRO 950GH neo)、約413g/D0(N.S.PRO Zeros 8) |
価格 | 6本セット(#5〜9、PW):142,560円(税込)から |
公式サイト | キャロウェイゴルフ公式サイト |
キャロウェイ APEXアイアンを試打レビュー
ボール初速を上げる「FLASHフェース」とやさしさを向上させる「タングステン・エナジー・コア」、さらに心地よい打感を実現する「ウレタン・マイクロスフィア」を搭載した『APEXアイアン』の実力をプロゴルファー高橋良明が試打レポートします。
- ボールの食いつきがよく、ソールの抜け感も気持ちいい
- 初速とスピンが安定しているから距離のバラつきが小さい
- 球が上がりやすく、高さと距離感のバランスがちょうどいい
ボールの食いつきがよく、ソールの抜け感も気持ちいい
『APEXアイアン』の見た目は王道のアスリートアイアンです。
ブレードは薄くもないしぼってりした感じもありません。トップラインの厚みもほどほどで、ネックのオフセットもつかまりすぎず逃げすぎずのちょうどよさ。
また、ロフトが立ちすぎていないいのでフェースがよく見えるところもいいですね。身構えなくていいアイアンはいつも通りのスイングができるのでかえって結果が出やすくなります。
打感は秀逸です。ボールがフェースにくっついている時間が長く感じられ、初速が出ているのにどこかにすっ飛んでいってしまいそうな感じがないので安心して振り切ることができます。
ソール幅は広くありませんがバンスの効きがちょうどよく、刺さることも跳ねられることもなく芝の上をきれいに滑っていく感じが気持ちいいですね。
初速とスピンが安定しているから距離のバラつきが小さい
最近の飛び系アイアンは飛距離が出るのはいいけれど、球が強すぎて使いづらいこともよくあります。その点、『APEXアイアン』はロフトがそんなに立っていないので番手通りに球の高さが出ます。
初速やスピン量のバラつきが少ないので縦の距離が合いやすいところも長所です。ラフから打つときにもフライヤーが計算しやすくピンに突っ込んでいくことができます。
驚いたのがこの見た目にしてはミスヒットに強いことです。ちょっと芯を外したかなっていうショットが意外と真っすぐ飛んでくれます。
球を曲げたり抑えたりするのは『APEX PROアイアン』の方が得意ですが、自分の打ちたい高さと飛距離が出せるという点で、『APEXアイアン』の操作性もかなり高いといっていいでしょう。
球が上がりやすく、高さと距離感のバランスがちょうどいい
「FLASHフェース」は弾きがよくて出球の速さもありますが、『EPIC』のドライバーのようにやたらと前に飛ぶわけではなく、飛距離と高さのバランスがちょうどいいアイアンです。
ソールの滑りもよくて、ふつうに打てば歯先がボールの下にきれいに入ってかんたんに球が浮きます。スピンもきちんと入るので、球が高く上がって飛んでくれます。
いまどきの飛び系アイアンの中では飛距離は平均的で、もっとロフトの立ったアイアンのように2番手も飛ぶことはありません。しかし、『APEXアイアン』は自分の欲しい飛距離をかんたん確実に打てるアイアンであることは間違いありません。
キャロウェイ APEXアイアンがおすすめの人
見た目はかなりアスリートアイアン風ですが、少しくらい打点を外しても意外なくらい真っすぐ飛んでくれて距離のブレも小さいので、全くの初心者以外、初中級者からバリバリのアスリートまでかなり幅広いゴルファーが使えるアイアンです。
打感もかなりいいのでこれまで軟鉄鍛造アイアンを使ってきた人にもおすすめできます。
一番おすすめしたいのは100切りを達成してこれから90切りを目指す人。もうちょっと楽に飛ばしたければ『APEX DCBアイアン』など他の選択肢もありますが、スコアメイクを考えるようになったら『APEXアイアン』のように飛距離はそれなりでも高さが出てスピンの入りやすいクラブを選んで欲しいです。
『APEXアイアン』ならけっこう操作しやすくていろいろな球を打てるので技術を磨くにもちょうどいいと思います。
キャロウェイ APEXアイアンの評価
『APEXアイアン』はひとことでいえば本格的なアスリートモデルの顔を持つかなりやさしいアイアンです。
見た目がすっきりとしていて構えやすいところ、タングステンの効果でミスヒットに強いところ、1番手くらい距離が出るところ、番手なりの球の高さが出るところ、すべてがやさしさにつながっています。
それに加えて、ステンレスのカップフェースであるにもかかわらず軟鉄鍛造らしいフェースに球がのるフィーリングも中上級者がやさしさを感じる要素です。
テスター/高橋良明(たかはし・よしあき)
1983年生まれ、東京都出身。2013年プロ入会。サザンヤードCC所属。ツアーに挑戦するかたわら、ゴルフ専門誌やウェブメディアでテスターを務める。毎年出る新製品をほぼ打ち尽くす試打のスペシャリスト。
協力/サザンヤードカントリークラブ