タイトリスト TSi2 ドライバーを高橋良明が試打評価レビュー
圧倒的なスピードと圧倒的な安定感を目指す「タイトリストスピードプロジェクト」から、初代『TS』に続く2世代目のドライバー『TSiシリーズ』が登場しました。4つのモデルの中から、今回はよりストレートな弾道で飛ばしたいプレーヤー向けの『TSi2ドライバー』をピックアップ。その飛びとやさしさに焦点を当てながら「試打のスペシャリスト」高橋良明が試打レポートをお届けします。
[目次]
タイトリスト TSi2 ドライバー総合評価
タイトリスト TSi2 ドライバー
飛距離性能 | ★★★★☆(4/5) |
---|---|
直進性 | ★★★★☆(4/5) |
つかまりやすさ | ★★★★☆(4/5) |
上がりやすさ | ★★★☆☆(3/5) |
総合評価 | ★★★★☆(4/5) |
タイトリスト TSi2 ドライバーの特徴
タイトリストが培ってきたフィーリングのよさと最新テクノロジーによる飛距離性能を融合させたのが『TSi2ドライバー』です。
反発性能に優れた「ATI425チタン」フェースがフェースの広い範囲で高いボールスピードを実現。上下左右に大きな慣性モーメント(MOI)は打点がブレたときにも高初速と方向性をキープしてくれるのでミスをしても真っすぐ飛ばせます。また、空気抵抗を低減するエアロダイナミクスシェイプにより誰でも振りやすくヘッドスピードが上がります。
ストレートな強弾道でよりやさしく飛ばせるのが『TSi2ドライバー』です。
- オフセンターでも初速が出る「ATI425チタン」フェース
- 上下左右の打点ブレに強い「マルチMOI設計」を採用
- 優れた空力デザインによりヘッドスピードを最大化
特徴1.オフセンターでも初速が出る「ATI425チタン」フェース
『TSi2ドライバー』でボールスピードを上げるためにもっとも貢献しているのはフェースに採用された「ATI425チタン」です。
この素材は航空宇宙産業用に開発されたもので、ゴルフクラブで使われている一般的なチタン合金よりも強靱で、フェースの反発力を上げると同時に高初速エリアを大きく広げることができました。
このため芯を外したときのボール初速が従来モデルよりもアップし、よりやさしく飛ばせるドライバーになっています。
特徴2.上下左右の打点ブレに強い「マルチMOI設計」を採用
「このクラブはMOIが大きい」「MOIが5000g・㎠以上ある」などヘッドのMOIについて言及する場合、トゥ・ヒール方向の数値を表していることがほとんどです。
トゥ・ヒール方向のMOIが大きいヘッドほど左右の打点のブレに強いのは確かですが、球の高さや飛距離を安定させるためには上下方向のMOIも重要。
『TSi2ドライバー』では、すべての方向のMOIを適正化する「マルチMOI設計」を採用。打点が上下左右どちらにブレても、安定したボール初速、打ち出し角、スピン量で飛ばせるようになっています。
特徴3.優れた空力デザインによりヘッドスピードを最大化
寛容性を求めてヘッドを大きくするほど空気抵抗が増えてクラブが振りにくくなります。
『TSi2ドライバー』では、クラウンとソールの空気の流れを最適化するエアロダイナミクスデザインにより、インパクト付近におけるクラブスピードを最大化。ブレないやさしさと大きな飛距離を両立させています。
また、エアロダイナミクスを追及しながらも、フィーリング面では一切妥協せず、タイトリストらしい構えやすさと心地よい打感を実現しています。
タイトリスト TSi2 ドライバーのスペック
オリジナルシャフトは40g台の軽さながらしっかり感のある『TSP110 50』と適度な重さでヘッドが暴れにくい『TSP322 55』の2種類。プレミアムシャフトとしてアスリートゴルファーに人気の『ツアーAD DI』が用意されている。
メーカー | アクシネットジャパン |
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製品名 | タイトリスト TSi2 ドライバー |
ヘッド素材 | ボディ:チタン、フェース:ATI425チタン |
ヘッド体積 | 460㎤ |
番手/ロフト角 | 9.0、10.0、11.0度 |
ライ角 | 58.5度 |
シャフト | TSP110 50(SR、S、Tour S)、TSP322 55(SR、S、Tour S) Tour AD DI-5(S)、Tour AD DI-6(S) |
長さ | 45.5インチ(TSP110 50、TSP322 55)、45インチ(Tour AD DI) |
重量/バランス | 301g/D2(TSP110 50、S)、312g/D3(TSP322 55)、311g/D1.5(Tour AD DI-5)、319g/D2.5(Tour AD DI-6) |
価格 | TSP110 50、TSP322 55:82,500円(税込) Tour AD DI:93,500円(税込) |
公式サイト | タイトリスト公式サイト |
タイトリスト TSi2 ドライバーを試打レビュー
新しいフェース素材へのチャレンジと数々のテクノロジーは『TSi2ドライバー』をどこまで進化させたのか。また、従来のタイトリストの特色はどこまで引き継がれているのか。高橋良明が飛びとやさしさを検証します。
- 安心感のあるきれいな丸顔、打感は弾きの強さがアップ
- 歴代タイトリストで最高レベルの直進安定性
- フェース全面でボール初速が上がり平均飛距離がアップ
安心感のあるきれいな丸顔、打感は弾きの強さがアップ
いまどき珍しいくらいのきれいな顔です。タイトリストの伝統が引き継がれ、丸い後ろの部分とスクエアなトップラインのつながりが自然で違和感なくすっと構えることができます。丸型の『TSi2ドライバー』は、洋梨型の『TSi3ドライバー』と比べるとつかまり顔で安心感があります。
一方、打感は前作とまったく違います。弾く感じが強く初速は間違いなく上がっていますが、音は高め。基本的に食いつきのいいタイトリストのドライバーとしては打感が硬い印象です。
しかし、見方を変えれば打感と飛距離と一致しているということ。慣れればこの打感が心地よく感じてくるのでしょう。
歴代タイトリストで最高レベルの直進安定性
タイトリストの歴代モデルの中でも『TSi2ドライバー』の直進性は最高レベルといっていいでしょう。球のつかまり具合がちょうどよく、ボールが右にも左にも行きにくくなっています。
ヘッドの慣性モーメントも適度に大きく、芯を外して打っても方向がブレにくく、多少左右に打ち出したとしてもボールが常にセンターに戻ってきてくれます。右にすっぽ抜けるロースライスのようなボールは確実に出にくくなっています。
また、打ち出し角が高く、ボールが上がりやすくなっているのでその分左右の曲がりも抑えられていると思います。
フェース全面でボール初速が上がり平均飛距離がアップ
『TSi2ドライバー』のボール初速は『TS2ドライバー』と比べて明らかに上がっています。同じ素材で作られている『TSi3ドライバー』よりも弾きは強いです。
前作まではフェースの下の部分に当たると球が弱くて飛ばないイメージでしたが、『TSi2ドライバー』は前に行く球が出るようになりました。スイートエリアが広くなった印象で、ヒールやトゥに当たったときの初速も上がっています。また、フェースの上の方がたわむ感じで、打ち出し角が以前より高くなりました。
高弾道・低スピンのストレートボールで飛ばしやすいドライバーに仕上がっています。
タイトリスト TSi2 ドライバーがおすすめの人
『TSi2ドライバー』の初速性能は前作よりももう一段階上がっています。
一番におすすめしたいのはずばり『TS2ドライバー』を使っている人。悔しい思いをするかもしれませんが、打てばタイトリストの本気を感じることができます。
また、慣性モーメントが大きく、昔のタイトリストよりずいぶんやさしくなっているので、興味はあっても手を出せないでいた人も今回のモデルは試す価値があります。
ヘッドスピードが40m/sくらいあって、ミート率がある程度安定している中級者なら十分使いこなせます。ただ、タイトリストの中でつかまりがいいといっても、スライスさせないためのクラブではないので、スライサーには向いていません。
『TS3ドライバー』や『917D3』などいままで「3」シリーズを使っていた人にもおすすめです。
無理をしなくても球が上がって飛ぶので、その分スコアメイクに集中することができます。
タイトリスト TSi2 ドライバーの評価
『TSi2ドライバー』は、顔、打感、操作性、強弾道などタイトリストの伝統を残しながら、新しいテクノロジーによって飛距離性能と直進安定性を大幅にアップさせたドライバーです。
フェースのセンターだけでなく周辺部でもボール初速が上がっているので、多少ミスヒットしても平均的に飛ばすことができます。
また、大型ヘッドの割に戻りがよく、新しい純正シャフトも全体でしなってくれるので誰にでも振りやすくなっています。
多くのアマチュアにとって憧れの存在だったタイトリストの敷居がかなり低くなりました。
テスター/高橋良明(たかはし・よしあき)
1983年生まれ、東京都出身。2013年プロ入会。サザンヤードCC所属。ツアーに挑戦するかたわら、ゴルフ専門誌やウェブメディアでテスターを務める。毎年出る新製品をほぼ打ち尽くす試打のスペシャリスト。
協力/サザンヤードカントリークラブ