タイトリスト TSi3 ドライバーを高橋良明が試打評価レビュー
タイトリストの『TSiシリーズ』は、圧倒的なスピードと安定した飛びを追求する「タイトリストスピードプロジェクト」から生まれた2世代目のモデルになります。今回は4つのタイプの中から、とくに弾道にこだわるプレーヤー向けの『TSi3ドライバー』をピックアップ。飛びやフィーリングに焦点を当て「試打のスペシャリスト」高橋良明が試打レポートをお届けします。
[目次]
タイトリスト TSi3 ドライバー総合評価
タイトリスト TSi3 ドライバー
飛距離性能 | ★★★★☆(4/5) |
---|---|
直進性 | ★★★☆☆(3/5) |
つかまりやすさ | ★★★☆☆(3/5) |
上がりやすさ | ★★★☆☆(3/5) |
総合評価 | ★★★☆☆(3/5) |
タイトリスト TSi3 ドライバーの特徴
構えやすい顔、力強い打球感、高い操作性、強い弾道などツアープロが求めてきたフィーリングを磨きつつ、飛びを大幅に進化させたのが『TSi3ドライバー』です。
反発性能に優れた「ATI425チタン」フェース、全方向に慣性モーメント(MOI)が最適化されたヘッド、打点と重心を一致させる「Sure Fit® CGトラック」の相乗効果によりフェースの広いエリアで高いボールスピードを実現。
さらに高い空力性能によりヘッドスピードがアップし、タイトリスト史上最強の飛距離性能を獲得。
『TSi3ドライバー』は思い通りの強弾道で飛ばせるドライバーです。
- 「ATI425チタン」フェースが広い高初速エリアを実現
- 「マルチMOI設計」により打点をずらしても球が安定
- ヘッドの性能を引き出す「Sure Fit® CGトラック」
特徴1.「ATI425チタン」フェースが広い高初速エリアを実現
フィーリングを重視するプレーヤーのために『TSi3ドライバー』のヘッドはフルチタン製。
そしてフェースには、ゴルフ業界で初めて「ATI425チタン」が採用されています。航空宇宙産業用に開発されたこの素材は一般的なチタン合金よりも強靱で、フェースの反発力を上げると同時に高初速エリアの拡大を実現。
フェース面の広いエリアにおいて高いボールスピードが得られ、快心の一撃だけでなくオフセンターヒットでも平均して飛ばせるため、2打目からのスコアメイクが楽になります。
特徴2.「マルチMOI設計」により打点をずらしても球が安定
トゥ・ヒール方向の慣性モーメント(MOI)の大きなヘッドは左右の方向のブレを小さくできます。一方、上下の打点で弾道の高さをコントロールするプロや上級者にとっては上下方向のMOIも重要です。
『TSi3ドライバー』ではトゥ・ヒール方向だけでなく、上下、斜め、あらゆる方向のMOIを最適化する「マルチMOI設計」を採用。
意図したショットでもミスショットでも、ボール初速、打ち出し角、スピン量を安定させ、イメージした通りの弾道で飛ばせるようにしています。
特徴3.ヘッドの性能を引き出す「Sure Fit® CGトラック」
『TSiドライバー』シリーズ4モデルのうち『TSi3ドライバー』だけに搭載されているのが弾道調節機能「Sure Fit® CGトラック」です。
ウエイトのポジションの表記が一般的なD(DRAW)とF(FADE)ではなく、T1/T2(TOE)とH1/H2(HEEL)になっているのは、弾道を変化させるだけでなく、トゥまたはヒール側に重心を移動させて打点に近づける使い方を想定しているからです。
「Sure Fit® CGトラック」を使って重心と自分の打点を一致させることで、ボールに伝わるエネルギーが最大、ヘッドのブレは最小になり、『TSi3ドライバー』のヘッドのパフォーマンスを最大限に発揮させることができます。
タイトリスト TSi3 ドライバーのスペック
タイトリストのオリジナルシャフトとして、高弾道で飛ばせる40g台の軽量シャフト『TSP110 50』と最適なスピン量と高い打ち出し角で飛ばせる50g台の『TSP322 55』。
プレミアムシャフトとしてアスリートゴルファーの定番モデル『ツアーAD DI』がラインナップされている。
メーカー | アクシネットジャパン |
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製品名 | タイトリスト TSi3 ドライバー |
ヘッド素材 | ボディ:チタン、フェース:ATI425チタン |
ヘッド体積 | 460㎤ |
番手/ロフト角 | 8.0、9.0、10.0度 |
ライ角 | 58.5度 |
シャフト | TSP110 50(SR、S、Tour S)、TSP322 55(SR、S、Tour S) Tour AD DI-5(S)、Tour AD DI-6(S) |
長さ | 45.5インチ(TSP110 50、TSP322 55)、45インチ(Tour AD DI) |
重量/バランス | 301g/D2(TSP110 50、S)、313g/D3(TSP322 55)、311g/D1.5(Tour AD DI-5)、 319g/D2.5(Tour AD DI-6) |
価格 | TSP110 50、TSP322 55:82,500円(税込) Tour AD DI:93,500円(税込) |
公式サイト | タイトリスト公式サイト |
タイトリスト TSi3 ドライバーを試打レビュー
新しいフェース素材と数々のテクノロジーによって『TSi3ドライバー』はどう進化し、タイトリストの伝統とどのように融合しているのか。高橋良明が飛びとフィーリングについて検証します。
- スクエアに構えやすい顔、打感は弾きと食いつきが両立
- 左右どちらにも曲げやすく、抑えた球も打ちやすい
- 初速アップでさらに強く前に飛ぶボールが打てる
スクエアに構えやすい顔、打感は弾きと食いつきが両立
世の中に飛ぶクラブはたくさんありますが、タイトリストほど顔のきれいなクラブは多くないでしょう。『TSi3ドライバー』にもタイトリストの伝統的な形状が受け継がれています。
全体の輪郭がとても美しく、後ろ側はきれいな丸みがあるのにトップラインは超スクエアに見えて、目標に対してセットアップするときも迷うことがありません。
『TSi2ドライバー』は丸顔で少しつかまる感じですが、『TSi3ドライバー』は洋梨型でつかまりが抑えられているイメージ。左に行く不安が小さいのでフェードヒッターにもドローヒッターにも構えやすい顔です。
打感は前作までとかなり変わりました。『TS3ドライバー』よりも弾きが強くなってボール初速も間違いなく上がっています。でもインパクトでボールがつぶれる感じはしっかり残っているので安心して叩けます。
左右どちらにも曲げやすく、抑えた球も打ちやすい
フェースの素材が変わったからなのか、表面のレーザーミーリングが効いているのか、それともヘッドの重さがあるからなのか、理由はわかりませんが、初速が出ているのにボールとフェースが少し長くくっついている感じがあります。
また、手元の操作に対してフェース面がけっこう敏感に反応してくれるので、球を左右に曲げたり打点を低くして高さを抑えたりするのはかんたんです。どんなクラブと比べても『TSi3ドライバー』の操作性は優れています。
ただし、逆の見方をすれば打点やフェースの向きが安定しない人は球が散らばってしまう可能性が高いともいえます。
初速アップでさらに強く前に飛ぶボールが打てる
『TSi3ドライバー』でボールを打ったときの第一印象は球が飛び出していくときの勢いの強さです。ボール初速は前作の『TS3ドライバー』明らかに上がっているので間違いなく飛ぶようになっています。
ヘッドが少しシャローになって、純正シャフトも割としなりやすいのでボールが以前よりは上がりやすくなっています。ただし、スピン量は相変わらず抑えられているので弾道は『TSi2ドライバー』よりも低め、高さで飛ばすというよりは前に強く飛ばす感じです。
平均的なヘッドスピードがあれば打てないことはありませんが、『TSi3ドライバー』の初速性能を生かし切って飛距離を出すにはある程度はパワーがあった方がいいでしょう。
タイトリスト TSi3 ドライバーがおすすめの人
『TSi3ドライバー』とくにおすすめしたいのはタイトリストファンの人です。
飛距離性能はかなり進化していて、しかもフィーリングや操作性のよさはそのままなので、前作の『TS3ドライバー』やそれ以前のモデルを使っている人は絶対に試すべきです。飛距離に対する不満はかなり解消されるでしょう。つかまりは抑えめなので球を左に行かせたくない人にとっては安心できるクラブです。
顔や打感で選ぶのも当然ありですが、スピン量が少なくて球がやや上がりにくいので、性能をきちんと使い切るにはヘッドスピードは最低でも43m/sは欲しいところです。
『TSi3ドライバー』の比較対象になるのは『TSi2ドライバー』だと思います。
飛距離を求めると低スピン・高打ち出しの似た球質になりやすく、以前に比べると2モデルの違いは小さくなっていますが、『TSi3ドライバー』は弾道が少し低めなので、自分のイメージに合う弾道を選ぶといいでしょう。
タイトリスト TSi3 ドライバーの評価
一言でいえば、フィーリングや操作性など昔からのタイトリストのよさはそのままに、飛距離性能を大幅に進化させたのが『TSi3ドライバー』です。
スイートエリアが広いので、ボール初速が上がったことは誰でも実感できます。いいかえれば誰でも飛ぶようになるということです。
また、打点が変わっても上下左右の打ち出し方向とスピンが安定しているのも特徴で、ただ飛ぶだけでなくフェアウェイのねらった場所にコントロールしやすいドライバーです。
また、『TSi3ドライバー』はウエイトを動かして弾道を調整できるので自分の球筋にこだわりのあるに人は『TSi3ドライバー』をおすすめします。
テスター/高橋良明(たかはし・よしあき)
1983年生まれ、東京都出身。2013年プロ入会。サザンヤードCC所属。ツアーに挑戦するかたわら、ゴルフ専門誌やウェブメディアでテスターを務める。毎年出る新製品をほぼ打ち尽くす試打のスペシャリスト。
協力/サザンヤードカントリークラブ