コブラ KING RAD SPEEDドライバーの試打評価レビュー
試打のスペシャリスト・高橋良明の本気レビュー
ブライソン・デシャンボーが「マスターズトーナメント」で使用して話題となったコブラのニュードライバー。日本に上陸したばかりの『KING RAD SPEED』(以下RAD SPEED)シリーズを「試打のスペシャリスト」高橋良明がレポートします。3回シリーズの第1回目は3兄弟のうちもっとも重心の低い『RAD SPEEDドライバー』です。
[目次]
コブラ KING RAD SPEEDドライバーの総合評価
飛距離性能 | ★★★★☆(4/5) |
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直進性 | ★★★★☆(4/5) |
つかまりやすさ | ★★★☆☆(3/5) |
上がりやすさ | ★★☆☆☆(2/5) |
総合評価 | ★★★☆☆(3/5) |
コブラ KING RAD SPEEDドライバーの特徴
『RAD SPEED』シリーズはチタン製のT字型シャーシと薄いカーボンパーツの複合構造を採用。そこで得られた大きな余剰重量を重心から離れた低い箇所に配置することで、モデルごとの理想的な弾道を追求しています。
3兄弟のうちもっともヘッドスピードの速いゴルファー向けの『RAD SPEEDドライバー』はソール前方(フェース寄り)に合計24グラムものウエイトが集中的に配置された浅低重心設計により極低スピンと高初速を実現。
また、最後方に取り付けられた合計10グラムのウエイトはより安定した打ち出しとスピン量をもたらしています。
- 極低重心を可能にした「T-BARスピードシャーシ」
- 全面で初速が上がる「CNCミルド新インフィニティフェース」
- 「ラジアルウエイティング」で高初速・超低スピンを実現
特徴1. 極低重心を可能にした「T-BARスピードシャーシ」
『RAD SPEEDドライバー』はヘッド表面積の約50%にカーボンパーツを使用した複合構造となっています。
メインパーツには比重の軽い811チタンを採用し、骨格をT字型にすることで、ハードヒッターのインパクトの衝撃にも耐えうる強度を確保しながら従来製品より7グラムもの軽量化を実現しました。
また、クラウンからソールにかけてチタンの骨格を覆う「THIN-PLYカーボンラップクラウン」も前作より約30%軽くなり、極限の低重心設計が可能となりました。
特徴2. 全面で初速が上がる「CNCミルド新インフィニティフェース」
フェース表面の独特のミーリングパターンからも分かる通り『RAD SPEEDドライバー』のフェースは全面がCNCミルド加工されています。
その結果、どの打点においてもボール初速がアップしているほか、従来の手研磨に比べてバルジとロールを設計通りに再現されるため、打ち出し角とスピン量が適正化され安定した飛距離と直進安定性が得られます。
また、速いヘッドスピードでも球が滑りにくくしっかりつかまった強いボールを打つことができます。
特徴3. 「ラジアルウエイティング」で高初速・超低スピンを実現
ヘッドの重心から遠くて低い場所にウエイトを配置して効果を高める「ラジアルウエイティング」を採用。『RAD SPEEDドライバー』はソール前方に16グラムの固定ウエイトと8グラムのムーバブル(可動式)ウエイトを搭載することで、より速いボールスピードと超低スピンの強弾道を実現しています。
また、ソール後方に搭載された8グラムの固定ウエイトと2グラムのムーバブルウエイトには慣性モーメントを高くしミスを軽減する効果があります。
コブラ KING RAD SPEEDドライバーのスペック
ロフト角は±1.5度の範囲で調整可能。前方の8グラムと後方の2グラムのウエイトを交換してスピン量と打ち出し角も調整できる。標準装着シャフトはコブラオリジナルの『Speeder EVOLUTION』。また、「アーコスセンサー」が標準装備される。
メーカー | コブラゴルフ |
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製品名 | KING RADSPEED ドライバー |
ヘッド素材 | ボディ:811チタン鋳造+カーボンファイバーラッピング フェース:611チタン鍛造CNCミルド |
ヘッド体積 | 460㎤ |
番手/ロフト角 | 9、10.5度 |
ライ角 | 57.5度(9度)、58.5度(10.5度) |
シャフト | Speeder EVOLUTION for RADSPEED(R、SR、S) Tour AD for RADSPEED(SR、S) Speeder 661 EVOLUTION VII(S)、Tour AD HD-6(S)、Diamana TB 60(S) |
長さ | 45.5インチ(センサーあり)、45.25インチ(センサーなし) |
重量/バランス | 316g/D0(S) |
価格 | Speeder EVOLUTION for RADSPEED:71,500円 |
公式サイト | コブラゴルフ公式サイト |
コブラ KING RAD SPEEDドライバーを試打レビュー
ボディの大幅な軽量化で生まれたフリーウエイトの大半をソール前方、残りを後方に配置した『RAD SPEEDドライバー』。その効果はどれくらい飛距離に現れているのか高橋良明が打って確かめてみた。
- 振れば振るほど初速が上がって前にボールが飛ぶ
- 球離れがいい割に右に滑らないから真っすぐ飛ばせる
- 顔がとてもきれいで真っすぐ構えやすく安心できる
振れば振るほど初速が上がって前にボールが飛ぶ
『RAD SPEEDドライバー』はとにかく初速がものすごく速いです。飛び出しから明らかに速くて、弾道の頂点に届くまでの時間もあっという間に感じます。スピン量も少なく、自分が振れば振るほど、力を与えたら与えただけ球が上の方に逃げずに前へ前へ飛んでくれるので、とくにハードヒッターならどんどん振りたくなるに違いありません。
ただし、いろいろなスピードで振ってみましたが、ヘッドスピード40m/sくらいの人はスピンが入らないためキャリーが出ません。しかし、45m/sくらいある人が使えばめちゃくちゃに飛ばせるドライバーです。デシャンボーがこのドライバーを選んだのも納得できます。
球離れがいい割に右に滑らないから真っすぐ飛ばせる
初速の出るドライバーは球がどちらに飛び出すかわからない不安がつきものですが、『RAD SPEEDドライバー』はどれだけ振っても球が滑って右に行く感じはしません。
スピン量が減り過ぎると球をコントロールできなくなりますが、『RAD SPEEDドライバー』の場合はちょうどいい少なさで安定しているイメージです。
バシーンと叩きにいったときでもある程度スピンが入ってくれるので、スライダーみたいに右にすっと切れていく球が出ないし、もともと左にも行きにくいので左右どちらかOBのあるようなホールでも安心して振ることができます。
顔がとてもきれいで真っすぐ構えやすく安心できる
『RAD SPEEDドライバー』は構えたときの見た目がかなりきれいです。ヘッドのすわりがよく、さっとアドレスしてフェースをスクエアに向けることができます。
ロフトによってライ角が変えてあり、ライ角がフラットな9度は左に飛ぶ不安がありません。少しアップライトな10.5度なら球がつかまる感じもあります。
それでも不安な人はネックでロフトとライ角を調整することができるので、ほとんどの人がしっくりくる顔にフィッティングできるはずです。フェースの弾きがいい分、打感は硬めですが、構えやすい顔のお陰で安心感はかなりあります。
コブラ KING RAD SPEEDドライバーがおすすめの人
『RAD SPEEDドライバー』『RAD SPEED XBドライバー』『RAD SPEED XDドライバー』の3兄弟は、ネーミングから考えると『RAD SPEEDドライバー』がもっともベーシックなモデルと勘違いしてしまいそうです。しかし、実際はまったく逆で『RAD SPEEDドライバー』は完全にアスリートやハードヒッター向けに作られています。
平均的な40m/s前後のヘッドスピードだと球が上がらずスピンも入らないのでドロップしてまったく飛びません。性能を発揮させるためには最低でも45m/sくらいのヘッドスピード必要で、速ければ速いほどパワーを飛距離に変えてくれるドライバーです。
また、アスリートモデルにしては意外と寛容性もあるので、パワーはあるけれど球が曲がって前に飛ばないといった若い人にもおすすめできます。
コブラ KING RAD SPEEDドライバーの評価
『RAD SPEEDドライバー』の性能はソールの前と後ろに搭載されたウエイトがよく表しています。
前方のウエイトが一番重いのは重心が浅くて低く設定されているということです。それが驚くべき初速の速さとスピンの少なさにつながっています。
また、後方にもウエイトがあるので左右と縦の慣性モーメントもそこそこ高くなっています。そのお陰で芯を外したとき左右にも上下にもヘッドがブレにくく安定した弾道で飛ばせるドライバーに仕上がっています。
テスター/高橋良明(たかはし・よしあき)
1983年生まれ、東京都出身。2013年プロ入会。サザンヤードCC所属。ツアーに挑戦するかたわら、ゴルフ専門誌やウェブメディアでテスターを務める。毎年出る新製品をほぼ打ち尽くす試打のスペシャリスト。