バンカーショットの打ち方の基本とおすすめ練習方法
この記事ではバンカーショットの基本的な打ち方と上手に打つためのコツ、そしてふだんの練習方法などについてお話しします。
初心者や初級者はもちろんですが、バンカーショットを苦手としているアベレージゴルファーは多いもの。100切りのためには、バンカーから1発で脱出できるテクニックを身につける必要があります。
この記事を参考にして苦手意識を克服し、目標スコアクリアを目指してください。
バンカーショットとは?
ゴルフのバンカーショットとは、ゴルフコース内にある「砂地=バンカー」から打つショットのことです。
一般的にバンカーはフェアウェイの端などにある「フェアウェイバンカー」とグリーンの周辺にある「ガードバンカー」に分けられます。
砂地から打つため、芝から打つときと比べて、少しだけ「コツ」が必要になり、そのせいで苦手としている人が多い傾向があります。
ポイント
- バンカーショットが難しい理由
- バンカーショットで使用するクラブ
- バンカーでのルールについて
バンカーショットが難しい理由
バンカーショット、ティショット、セカンドショット、アプローチショット、パッティング…etc。どのショットも難しいと言えば難しく、それほどでもないと言えば、それほどでもありません。要するにプレーヤーの感じ方次第。
ただ「バンカーショットは難しい」と思っていたり、そう感じているアベレージゴルファーが多いのは事実。たいていの人が苦手としているように感じます。
その理由はバンカーショットの練習をしていないせい。練習できる環境が少ないため、ある意味仕方がないのかもしれません。でも、練習すれば難しさは他のショットと変わりません。
バンカーショットはボールを上げないと脱出できないから難しい…こんなふうに思っている人もいますが、左足下がりのライから池越えでグリーンを狙うアプローチショットもボールを上げる必要があるので、難易度は変わりません。
バンカーショットで使用するクラブ
バンカーショットを打つ際に使用するクラブはどれでもOKです。あなたが使いたいクラブで打てばなんの問題もありませんし、ルールに抵触することもありません。
ただ、一般的にガードバンカーはバンカーの縁が芝の面より高くなっていることが多いため、脱出するにはボールを上空に上げる必要があります。
ボールを上げやすいのはロフト角が多い(大きい)クラブで、ロフト角が多いクラブの代表がサンドウェッジやロブウェッジになります。そのためたいていの人は、バンカーショットを打つときにはサンドウェッジを使います。
また、サンドウェッジにはバンカーショットをやさしく打つための工夫が施してあり、それもあってバンカーショットを打つときにはこのクラブを使用する人が多いのです。
バンカーでのルールについて
バンカーショットは芝の上から打つときと、少し違うことがあります。そのためここでは、バンカーショットを打つときに最低限覚えておいてほしい決まり事(ルール)を紹介します。
- クラブをソールできません
- 素振りをするときにヘッドが砂に触れてはいけません
- バックスイングするときにヘッドが砂に触れてはいけません
上記の3つが芝から打つときと大きく変わる部分です。これに抵触すると2打プラスになるので注意しましょう。
次に、バンカーショットが大の苦手で脱出できる自信がない人は以下に紹介する救済を受けましょう。
- 1打プラスして、バンカーに入る直前に打った所に戻って打ちなおしましょう
- 2打プラスして、ボールをバンカーから出して打ちなおしましょう
この他、細かい決まり事がありますが、ここでは割愛します。詳しく知りたいときはルールブックで確認してください。
バンカーショットでボールを出せない原因
この項ではバンカーショットがうまくいかず、バンカーからボールが出ない理由などを紹介します。バンカーショットでボールが出にくい仕組みを知ると、何を練習したら良いのか、少しわかると思うので参考にしてください。
ポイント
- バンカーからボールが飛び出す原理
- バンカーからボールを出せない主な原因
バンカーからボールが飛び出す原理
「原理」を辞書等で調べると、「ある現象や事象が起こる根本的な理由や法則」などと書かれていて、これに則るとバンカーからボールが飛び出す「原理」は厳密には分かりません。
そのためここでは、一般的・普遍的に言われているバンカーからボールが飛び出す仕組み的なことをお話しします。
バンカーショットはボールを直接打たず、ボールの手前にヘッドを入れて、砂ごと打つのがポピュラーな打ち方です。
芝から打つときと同様に、ボールを直接打って出るときもありますが、砂ごと打ったほうがヘッドがボールの下に入りやすくなり、その結果ボールが上がって、簡単に脱出できるので、このような打ち方がポピュラーになったようです。
バンカーからボールを出せない主な原因
バンカーからボールを出せない要因は以下の2つです。
- ダフり過ぎる
一般的・普遍的にバンカーショットはボールの少し手前にヘッドを入れるとされます。少し手前というのは、だいたいボール1個分程度が目安です。
絶対ではありませんが、ボール2個とか3個手前、もしくはそれ以上手前にヘッドが入るとダフり過ぎるため、ボールに力が伝わらず脱出できないことが増えてしまいます。また、クラブを鋭角に下ろし過ぎると、ダフり過ぎにつながることもあります。 - トップする
ヘッドがボールの手前に入った後に弾かれてしまうとたいていトップします。また直接ボールに当たるとボールが上がらず、やはりトップ気味になることが増える傾向があります。
上記以外でよく見られるのが、スイングの大きさ(振り幅)が小さく、ヘッドの入り方は良いのに、ボールに脱出するだけの力が伝わらず、結果として出ないということが多々あるように思います。
バンカーショットの打ち方の基本
この項ではバンカーショットの基本と言える打ち方を紹介します。紹介するものは、どれも一般的・普遍的なものなので、「知ってる」という人もいるでしょう。初心者で「知らない」という人は参考にしてください。
ポイント
- ボールの位置は左足寄りにしてみましょう
- フェースの向きを少し開きましょう
- 少しだけオープンスタンスにしましょう
- まずはコックを使ってスイングしてみましょう
- イン・トゥ・インのスイング軌道で振ってみましょう
- 砂ごとインパクトするようにしましょう
ボールの位置は左足寄りにしてみましょう
バンカーショットを打つ際のボール位置は左足寄りというのが、もっとも一般的・普遍的です。
左足寄りに置く理由は、ダフって打ちたいから。バンカーショットはヘッドをボールの手前に入れる=ダフって打つのがポピュラーなので、ここに置く訳です。そのため、初心者や初級者はとりあえずここに置いて練習しましょう。
とはいえ、ダフって打つ=エクスプロージョンショットが打てさえすれば、ボール位置を気にする必要はありません。スタンス中央に置いても、右足寄りに置いても、問題はありません。
フェースの向きを少し開きましょう
バンカーショットを打つ際はフェースを少し開くのが、もっとも一般的・普遍的です。フェースを開く主な理由は、ソールにあるバウンスの効果を発揮しやすくするためとボールを上げるためです。
フェースを開く度合いですが、ボールの高さをより上げたいならたくさん開き、それほどでもないなら開き具合は少なくてもOKです。
トーナメントプロや指導者のなかには、フェースを開く必要はないと考える人もいます。開かなくてもボールは上がるので、必ず開く必要はありませんが、初心者や初級者はとりあえず開いて打つ練習をしましょう。
少しだけオープンスタンスにしましょう
バンカーショットを打つ際はターゲットライン(飛球線・目標線)に対して少しだけオープンスタンスにするのが、もっとも一般的・普遍的です。
オープンスタンスにする主な理由は、フェースを開いて右へ向けたぶん、スタンスを左に向けて、ボールの飛ぶ方向を整えるためです。
オープンスタンスの度合いですが、フェースをたくさん開いたら、オープンにする度合い=左へ向く度合いも増え、フェースの開きが少ないなら、オープンにする度合いも少なくなります。
トーナメントプロや指導者のなかには、スクエアスタンスで良いと考える人もいますが、初心者や初級者はとりあえずオープンスタンスで練習しましょう。
まずはコックを使ってスイングしてみましょう
バンカーショットを打つ際にコックを使うか、使わないかは意見が別れるところです。
使ったほうが良いという人、使わないほうが良いという人、どちらも相当数がいるので、
ちょっと乱暴な言い方ですが、あなた次第です。
ただ、初心者や初級者はまずはコックを使った打ち方を練習してみましょう。コックを使うとダウンスイングでクラブヘッドが下りてくる角度が少しキツくなり、さらにヘッドの運動量が増すため、砂を爆発させやすくなります。
その結果、ボールの脱出が容易になるかもしれません。
イン・トゥ・インのスイング軌道で振ってみましょう
バンカーショットを打つ際のスイング軌道ですが、これもコック同様、意見が別れるところです。
アウトサイド・インをすすめる人、イン・トゥ・インをすすめる人、インサイド・アウトをすすめる人…。どの軌道でもバンカーショットは打てるため、正解はありません。
とりあえず初心者や初級者はイン・トゥ・インの軌道で打つ練習をしてみましょう。その理由はイン・トゥ・イン軌道は基本的に通常のショットと同じ軌道。ふだん通りの感覚でスイングできるため、覚えやすいと思います。
砂ごとインパクトするようにしましょう
バンカーショットを打つ際はヘッドをボールの手前に入れて、砂ごとボールを打つ=インパクトするのがもっとも一般的・普遍的です。
砂ごと打つ主な理由は、ボールと砂を一緒に打ったほうが簡単にボールが上がり、バンカーから脱出できるからです。
またバンカーショットでの使用頻度が高いサンドウェッジのソールには、バウンスといってバンカー脱出に効果的な膨らみがあります。バウンスのメリットを活かすうえでも、砂ごと打ったほうが良いのです。
【状況別】バンカーショットのコツ
この項ではバンカーショットを打つ際のコツを紹介します。バンカーは砂が柔らかいこともあれば、固いこともあり、状況によって打ち方を変えたほうがうまくいきます。ぜひ参考にしてください。
ポイント
- 砂が硬いバンカーでの打ち方
- 砂が柔らかいバンカーでの打ち方
- アゴの高いバンカーでの打ち方
- 砂が薄いバンカーでの打ち方
砂が硬いバンカーでの打ち方
一般的にバンカーショットはボールの手前にヘッドを入れて、砂ごとボールを打ちます。しかし固いバンカーでこの打ち方をすると、ヘッドが砂の中に潜らず跳ね返されてしまいがち。
そのため固いバンカーから打つときは、
- フェースを開かない
- ヘッドをボールの手前に入れない=ダフらない
- アプローチショットの要領で打つ
上記の3つに注意すると、ヘッドが跳ね返されにくくなるためおすすめです。
稀なケースですが、アゴが高くて、固いバンカーに入ってしまうことがあります。初心者や初級者、バンカーが大の苦手という人でこのようなことになった場合は救済を受けて、2打プラスして、ボールをバンカーの外に出して打つのがおすすめです。
この状況は技術が高い人にとっても難しいケース。スコアを優先するなら、迷わず救済を受けましょう。
砂が柔らかいバンカーでの打ち方
一般的にバンカーショットはボールの手前にヘッドを入れて、砂ごとボールを打ちます。
砂がふわふわと柔らかいときも、基本的にこの打ち方でOKです。
- 高く上げたいならフェースを開く。上げなくてよいならスクエアでOK
- ボールの手前にヘッドを入れる
- イン・トゥ・インを意識してしっかり振り抜く
砂がふわふわと柔らかくても、通常の打ち方で何も問題ありません。特別なことをせず、いつも通りに打てば良いだけです。
気をつけることは、砂がソフトなぶん、ヘッドが深く潜りやすいため、ダフり過ぎるとボールにチカラが伝わらず、脱出できないことがあります。
初心者、初級者、バンカーが苦手な人で1発で脱出できないときは救済を受けて、2打付加し、ボールをバンカーの外に出して打ちましょう。
無理するよりも救済を受けたほうがスコアがまとまるでしょう。また進行のうえでも、それが望ましいと思います。
アゴの高いバンカーでの打ち方
一般的にバンカーショットはボールの手前にヘッドを入れて、砂ごとボールを打ちます。アゴが高いときも、基本的にこの打ち方でOKです。
- フェースが真上を向くくらいしっかり開く
- ボールの手前にヘッドを入れる
- イン・トゥ・インを意識してしっかり振り抜く
アゴが高くても、通常の打ち方で問題ありません。いつも通りに打てば良いだけです。
気をつけることは、ボールを高く上げたいので、フェースを大きく開くことです。フェースを大きく開くと、ボールは上がりやすくなりますが、そのぶん前に飛びにくくなります。それを補うためにフルスイングのイメージで大きくしっかり振りましょう。
初心者、初級者、バンカーが苦手な人で1発で脱出できないときは救済を受けて、2打付加し、ボールをバンカーの外に出して打ちましょう。
無理するよりも救済を受けたほうがスコアがまとまるでしょう。また進行のうえでも、それが望ましいと思います。
砂が薄いバンカーでの打ち方
一般的にバンカーショットはボールの手前にヘッドを入れて、砂ごとボールを打ちます。しかし砂が薄いときにこの打ち方をすると、ヘッドが砂の中に潜らず跳ね返されることが多々あります。
そのため砂が薄いバンカーから打つときは、
- フェースを開かない
- ヘッドをボールの手前に入れない=ダフらない
- アプローチショットの要領で打つ
上記の3つに注意しましょう。これなら、ヘッドが跳ね返されにくくなるためおすすめです。
アゴが高くて、砂が薄いバンカーに入ってしまうことが稀にあります。この状況は技術レベルが高い人でも難しいものです。
したがって初心者や初級者、バンカーが大の苦手という人が、このようなことになった場合は救済を受けて、2打プラスし、ボールをバンカーの外に出して打つのがおすすめです。スコアを優先するなら、迷わず救済を受けましょう。
バンカーショット練習方法【初心者向け】
この項では初心者、初級者、ハイハンデの人に向けたバンカーショットの練習法を紹介します。どの練習法も打ちっ放し練習場の打席でできるので、練習へ出かけるときに行って、腕を磨いてください。
ポイント
- ティアップしたボールを打ちましょう
- フェースを開いて打ちましょう
- タオルの上に置いたボールを打ちましょう
ティアップしたボールを打ちましょう
使用するクラブはサンドウェッジで、フェースは開いても、開かなくてもOKですが、まずは開いて練習をしてみましょう。
高めにティアップしたら、クラブのソールをマットに当てて、その後ティだけを打ち、ボールがストンっと真下に落ちるようにします。要するに、ワンタッチしてから、だるま落としをするイメージです。
この練習をすると、バウンスをボールの手前に入れる感覚を養うことができます。また、だるま落としにすることで、フェースの向きを変えずに振り抜く感覚も身につくでしょう。
フェースを開いて打ちましょう
使用するクラブはサンドウェッジで、フェースが真上を向くくらい大きく開きます。
その状態からボールの少し手前にバウンスを入れて、高いボールを打つようにします。初心者や初級者はフェースを開くことがうまくできず、そのせいでボールが上がらないことが多々あります。
そのためまずはこの練習を行って、フェースを開くことに慣れましょう。慣れてくれば、徐々に高いボールが打てるようになり、バンカーショットに対する苦手意識も減ってくるでしょう。
タオルの上に置いたボールを打ちましょう
使用するクラブはサンドウェッジです。厚みが出るようにタオルをたたみ、その上にボールを置きます。フェースを少し開いたら、ボールの手前のタオルにバウンスを入れて、ボールを打ちましょう。
この練習を行うと、タオルに厚みがあるので、ヘッドを砂に入れる感覚を養うことができるでしょう。またヘッドがボールの下をくぐる感覚もつかめると思います。
この練習をするときは、タオルが飛んで行って、他の人の迷惑にならないように注意してください。
【Q&A】バンカーショットについて多い質問
以下では、ゴルファーから多いバンカーショットについての質問・疑問に回答します。
ポイント
- バンカーショットの距離感はどのように調整する?
- バンカーショットでホームランしてしまう原因・対処方法は?
- バンカーショットでおすすめのロフト角は?
Q. バンカーショットの距離感はどのように調整する?
初心者、初級者、ハイハンデのアベレージゴルファーは打点が不安定なので、砂を取る量で距離感をコントロールすることがまだできないはず。ですので、まずは振り幅で距離感をつくるようにしましょう。
ボール位置、フェースの開き具合、アドレス時の体重配分などを一定にして、8時から4時の振り幅だとどれくらい飛ぶか。9時から3時の振り幅だとどれくらい飛ぶかをつかみましょう。
振り幅で距離感がつかめてきたら、フェースの開き具合を調整して、どれくらい飛ぶかをつかむようにしましょう。
Q. バンカーショットでホームランしてしまう原因・対処方法は?
初心者、初級者、ハイハンデのアベレージゴルファーで“ホームラン”をする人をよく見かけます。
ホームランをするパターンとして多いのは、ヘッドが弾かれてトップするパターンとヘッドが直接ボールに当たってしまうパターンです。
ヘッドが弾かれるのはバンカーが固いときや砂が薄いときに起こりやすいものです。また、トップはすくい上げる打ち方や鋭角に振り下ろして打点がズレたときに起こりやすいものです。
どちらのパターンもバウンスをしっかり砂の中に入れるイメージをもちましょう。
Q. バンカーショットでおすすめのロフト角は?
一般的・普遍的に見て、ロフト角56~58度のサンドウェッジを使っている人がもっとも多いように感じます。
そのため特にこだわりがないのなら、この範囲のロフト角をもったサンドウェッジを選べば問題ないでしょう。
ロフト角が多い(大きい)ほど、バンカーから出しやすいと感じてる人がいますが、打ち方に問題があると、ロフト角が多くても脱出できません。
とにかく脱出したい!バンカーは大嫌い!こんな人は、バンカー専用ウェッジを試してみるのもアリだと思います。
バンカーショットの打ち方についておさらい
アベレージゴルファーの多くはバンカーショットを苦手としていますが、それは単に練習量が少ないから。難易度は他のショットと変わりません。
バンカーショットの練習ができる所は限られていますが、うまくなりたいなら練習できるところを探すほかありません。とりあえず、脱出できる程度の技術さえ身につけば、バンカーの苦手意識が減り、スコアアップにつながることでしょう。
■解説者プロフィール
USGTFティーチングプロ。埼玉県の練習場でレッスンを行うとともに、フリーランスのゴルフライターとしても活動している。
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