テーラーメイド 300ミニドライバーを高橋良明が試打評価レビュー
今から20年前の2001年に発売されてヒットした『R300Tiドライバー』をオマージュし、ほぼ同じヘッド体積と長さで登場したテーラーメイドの『300ミニドライバー』。最先端のマルチマテリアル技術により生まれ変わった名器の飛びと使い勝手について、試打のスペシャリストとしても活躍するプロゴルファー・高橋良明がレポートします。
[目次]
テーラーメイド 300ミニドライバーの総合評価
飛距離性能 | ★★★★☆(4/5) |
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打球感 | ★★★★☆(4/5) |
操作性 | ★★★★☆(4/5) |
上がりやすさ | ★★★★★(5/5) |
総合評価 | ★★★★☆(4/5) |
テーラーメイド 300ミニドライバーの特徴
『300ミニドライバー』はその名の通りヘッド体積が300㎤をわずかに上回る307㎤しかありません。約20年前に300㎤超の『R300Tiドライバー』が登場したときは超大型ヘッドといわれたものですが、『300ミニドライバー』の投影面積は最近の大型でシャローな3Wとさほど変わりません。レングスも3W並みの43.75インチしかないためヘッドが返りやすく芯に当てやすくなっています。また、チタンの単一素材だった『R300Tiドライバー』に対し、『300ミニドライバー』はカーボン、チタン、スチールの「マルチマテリアル構造」により低深重心設計と高慣性モーメントを実現。ティーショットもセカンドショットもストレートな強弾道で飛ばせます。
- 「マルチマテリアル構造」で低深重心・高慣性モーメントを実現
- ミスを軽減する「ツイストフェース」と「貫通型スピードポケット」
- 低重心化と抜けのよさをもたらす「Vスチールソール」
特徴1. 「マルチマテリアル構造」で低深重心・高慣性モーメントを実現
『300ミニドライバー』はカーボンクラウン、チタンフェース、スチールソールプレートによる「マルチマテリアル(異素材複合)構造」により、ヘッド体積300㎤以上のヘッドでは一般的に難しいと言われている低深重心設計を実現。余分なバックスピンを低減させることで、ティーアップしたボールもフェアウェイから直接打つボールも飛距離のロスなく振った分だけ飛ばすことができるようになりました。また、かつての300㎤クラスのヘッドより慣性モーメントがはるかに高いためミスヒットにも強くなっています。
特徴2. ミスを軽減する「ツイストフェース」と「貫通型スピードポケット」
最新モデルから『300ミニドライバー』へフィードバックされたのは「ツイストフェース」と「貫通型スピードポケット」です。テーラーメイド独自のフェース形状「ツイストフェース」がトゥヒールや上下に打点がブレたときの左右の曲がりや高さの増減を抑えてくれるので、300㎤のミニヘッドとは思えないほど方向性も飛距離も安定。また、「貫通型スピードポケット」はフェース下部に当たったときのたわみを大きくすると同時に無駄なスピンを抑えてくれるので、とくにセカンドショット時の薄い当たりによる飛距離ロスを軽減してくれます。
特徴3. 低重心化と抜けのよさをもたらす「Vスチールソール」
一方、『R300シリーズ』から受け継がれたテクノロジーとしては「Vスチールソール」が挙げられます。センターとトゥ・ヒールに高低差のある独特の形状はソールの接地面積を減らして抜けをよくしてくれるため、『300ミニドライバー』はラフから直ドラを打つことも可能。また、スチール製のソールプレート自体が50グラムのウエイトとして低重心化に貢献。ライの悪い場所からでも高い打ち出し角が得られ、高弾道・低スピンの大きなキャリーを実現しています。
テーラーメイド 300ミニドライバーのスペック
『300ミニドライバー』のボディに使われているのは比重の軽いチタン合金とカーボンクラウン。余剰重量を50グラムの「Vスチールソールウエイト」としてヘッドの最底部に配置し低深重心を実現している。クラブ重量は310グラム台後半と重めだがレングスが短いため振り抜きはいい。日本国内で購入できるロフト角は11.5度のみ、13.5度は未発売。
メーカー | テーラーメイド |
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製品名 | 300ミニドライバー |
ヘッド素材 | ボディ:チタン(9-1-1ti)+グラファイト・コンポジット・クラウン+Vスチールソールウエイト フェース:チタン(6-4ti) |
番手/ロフト角 | 11.5度 |
シャフト | TENSEI SILVER TM50 MD(SR、S) |
長さ | 43.75インチ |
重量/バランス | 約318g/D2(S)、約315g/D2(SR) |
価格 | 63,800円(税込) |
公式サイト | テーラーメイド公式サイト |
テーラーメイド 300ミニドライバーを試打レビュー
『300ミニドライバー』は大型ヘッドが苦手なアマチュアの救世主となりうるのでしょうか。また、どんなゴルファーにフィットし、どんな場面で活躍してくれるのか。高橋良明が試打で明らかにします。
- ヘッドが小さく見えず、むしろ安心感の方が大きい
- ミート率が上がって高初速、名前はミニでも飛びはビッグ!
- 球が上がってつかまりやすくミスヒットには意外と強い
ヘッドが小さく見えず、むしろ安心感の方が大きい
460㎤のドライバーしか知らない人が『300ミニドライバー』のヘッドを手に取ってみるとすごく小さく感じるかもしれません。でも、構えてみるとシャフトが短いせいかそんなに小さく感じません。ヘッドが小さいことを差し引いてもすごく安心感のあるドライバーです。フェースは少し右を向いていますが、重心距離が短いので球はふつうにつかまります。気になる人はアングル調整で自分の構えやすい向きに合わせることができます。調整範囲がプラスマイナス2度と大きいので、最適な打ち出し方向や高さ、スピン量も見つけられると思います。これは『R300シリーズ』の頃にはなかった機能なのでドライバーの進化を感じます。
ミート率が上がって高初速、名前はミニでも飛びはビッグ!
45.75インチの『SIM2』より2インチも短いとは思えないくらい距離が出ます。短尺効果でミート率が上がるのでボール初速が出るし、飛び方も高弾道・低スピンのいい球です。昔の300㎤時代はスピン量を抑えるのに苦労しましたが、『300ミニドライバー』はロフト11.5度のままでも球が強くて、重心の低い複合ヘッドの恩恵を受けている感じがします。また、長尺ドライバーはヘッドが戻るまでにちょっと待つことがありますが、短いの『300ミニドライバー』は自分のタイミングで振ることができます。長尺はクラブ任せで飛ばす感じですが、『300ミニドライバー』は自分が振れば振るほどヘッドスピードが上がって飛ばせるので、飛んだときの快感が大きいですね。
球が上がってつかまりやすくミスヒットには意外と強い
ロフトがあるのでふつうに振れば球がよく上がるし、重心距離もシャフトも短いのでヘッドの戻りが速く球がよくつかまります。ヘッド体積が小さい分スイートエリアが小さいかといえば、打っていてそう感じることはありません。ヘッドがブレも小さくて地面から打つときは抜けがいい分むしろ真っすぐ飛ばせます。地面から打ってもティーアップしたときと同じくらいの打ち出し角で飛んでくれるし、フェースの高さがあるのでボールが浮いていてもだるま落としにならず、スイートエリアが下の方に広いのでトップにもなりにくい。『300ミニドライバー』はドライバーとしてもやさしいし、3Wの代わりに使うクラブと考えるとさらにやさしいクラブといえます。
テーラーメイド 300ミニドライバーがおすすめの人
『300ミニドライバー』は飛ぶことは飛びますが、飛距離を追求するというよりは曲げないことを優先する人に使ってもらいたいクラブです。狭いホールのティーショットで平均的なヘッドスピードの男性ゴルファーが200ヤードから220ヤードを真っすぐ飛ばしたり、3Wが上手く打てない人が距離のある2打目でグリーンをねらったりするのにちょうどいいでしょう。3Wが苦手な人は1Wを2本入れてそのうちの1本を『300ミニドライバー』にするのもあり。ティーショットでもセカンドでもけっこう使えるシチュエーションが出てくると思います。もちろん大きく長くなった最近の1Wで球が右に行くことが多い人はぜひ一度試してみた方がいいでしょう。そして、『300ミニドライバー』がある程度打てるようになったら大型ヘッドに戻すという方法もオススメです。
テーラーメイド 300ミニドライバーの評価
爆発的な人気のあった『R300シリーズ』そっくりの大きさと見た目で、中味に最新のテクノロジーを詰め込んだドライバーです。性能も格段に上がっていて最新の460㎤と比べても球がよく上がるし強い弾道で距離が出ます。ヘッドが小ぶりで抜けがいいので直ドラなど3Wのように使えて、しかも3Wよりやさしいところも『300ミニドライバー』の魅力です。短めのレングスやミニドライバーというネーミングからちょっと飛ばない印象を持つ人もいるかもしれませんが、つかまりがよくて芯に当てやすいので、ミート率が上がって余計に飛ぶようになる人がけっこういるドライバーだと思います。
テスター/高橋良明(たかはし・よしあき)
1983年生まれ、東京都出身。2013年プロ入会。サザンヤードCC所属。ツアーに挑戦するかたわら、ゴルフ専門誌やウェブメディアでテスターを務める。毎年出る新製品をほぼ打ち尽くす試打のスペシャリスト。