稲見萌寧のドライバースイングを分析【連続写真つき】曲がらない理由は右ヒジにあり!
連載「大判写真で見る、一流プロのドライバーマネどころ」
銀メダルを獲得した東京五輪では、世界のトップ選手を相手にしながら、フェアウェイキープ率で堂々の1位。国内ツアーのフェアウェイキープ率でも約75%という高い数字をマークしている稲見。安定してドライバーを曲げない秘密はどこにあるのか?
GOLF TODAY本誌 No.593 10〜13ページより
ドライバーが曲がらない理由は右ヒジにあり!
オーバースイングや手打ちのクセを解消できる!
スイングとしては、すごくオーソドックスでコンパクト。アマチュアの皆さんには、最高のお手本になると思います。特にオーバースイングになっていたり、打球が左右に曲がりやすい人に参考にして欲しいのは右ヒジを曲げるタイミングです。実は稲見萌寧選手はテークバックの早いタイミングで右ヒジをたたみはじめていて、ハーフウェイバックでは左腕が伸びた状態で右腕は軽く曲がっています。
ここで右腕が曲がっているから、トップがとてもコンパクト。しっかり胸を回して右ヒジを曲げていれば、オーバースイングになることはありません!
さらに右ヒジを曲げることで、手元が体の近くを通る軌道になります。アマチュアの人で手打ちになってしまう人は手元が体から遠くなっています。稲見選手のように右ヒジを曲げると手元と体の距離が近くなる。手と体の距離が近くなると体と手が一緒に動いてくれるので、手打ちのクセも解消できます。
右ヒジをたたむことでトップがコンパクトになる
アドレスから右ヒジを軽く曲げた構えを作り、右ヒジをたたみながら体を回している。トップでは左ヒジは一直線に伸びているが、右ヒジは約90度まで曲がっている。
右ヒジを曲げるのはバックスイングだけではない!フォローまで右ヒジを曲げているから手元が体から離れない
実は稲見選手が右ヒジを曲げているのはバックスイングだけではない。ダウンスイングからインパクト、フォローまで右ヒジを曲げたまま打っていた。
①一度、右ヒジを右ワキ付近にくっつけている
女子プロでは稲見選手のようにハーフウェイダウンで右ヒジをワキ腹付近にくっつける選手が多く、右ヒジを体の横につけると体を回しやすくなる。
②右ヒジを曲げたままヘッドは体のセンターに!
リストターンする動きがなく、右ヒジを曲げたまま手首の角度を保っているのでヘッドが体のセンターにある姿勢をキープできる。
③フォローではおヘソの先にヘッドがある!
インパクトからフォローにかけても右ヒジは軽く曲がったまま。上半身をしっかり回転させているので、フォローではおヘソの先にヘッドがある。
手首、腕をロックしたまま体を回転している
稲見萌寧選手のスイングは手打ちとは真逆です。絶対に手だけでフェースを返したり、腕だけで振らない打ち方になっています。そのポイントになっているのは、ダウンスイング以降の右ヒジの使い方です。
バックスイングでも右ヒジを早めにたたむ動きが特徴でしたが、ダウンスイング以降も右ヒジを曲げたままの姿勢をキープしています。右ヒジを伸ばそうとすると手首の角度が変わったりフェースターンする動きになりますが、右ヒジを曲げていることで手首や腕の形を固定したまま、体を回すことができる。だから、曲がらないだけでなく、再現性の高いスイングになっているのです。
このスイングをマネするためには腕から下ろすのではなく、下半身を先に回すこと。腕を先に下ろしてしまうと右ヒジが伸びて、手首を返してしまう。稲見選手はしっかり下半身リードで左足を踏み込んでから、胸を回している。そして最後に腕を下ろしているので右ヒジを曲げた姿勢で打てるのです。
LESSON
右ヒジを曲げた姿勢をキープするには下半身リードで胸を回す
稲見選手のような右ヒジを曲げたスイングを目指すにはまずバックスイングで手を使わないこと。アドレスで右ヒジを軽く曲げたら、バックスイングでは胸だけを回す。さらにダウンスイングでは腕を下ろす前に左足を踏み込んで、下半身リードのスイングを作ること。下半身から先に動くと右腕の形が変わりにくいので、右ヒジを曲げた姿勢で打てます。
稲見萌寧
いなみ・もね/1999年7月29日生まれ。166cm。18年のプロテストに合格し、19年は新人賞を獲得した。20-21年シーズンは8勝を上げて、東京五輪では銀メダルを獲得。都筑電気所属。
◉解説
石井 忍
1974年8月27日生まれ。98年にプロ転向し、現在はツアープロからジュニアゴルファーまで幅広く指導。自身が主宰する「エースゴルフクラブ」を千葉、赤坂、神保町に展開する。
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