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ランガーの快挙とミケルソンの強さで盛り上がった2020-21シーズンの米シニアツアー

吉田洋一郎の米シニア「PGAツアー チャンピオンズ」振り返りレポート

2021/11/18 ゴルフサプリ編集部

ランガーの快挙とミケルソンの強さで盛り上がった2020-21シーズの米シニアツアー

50歳にして2021全米プロを最年長優勝したフィル・ミケルソンの活躍、64歳で6度目の米シニア年間王者に輝くという快挙を成し遂げたベルンハルト・ランガー。2020-21シーズンの米シニアツアーを盛り上げたふたりの選手の活躍ぶりをゴルフスイングコンサルタント・吉田洋一郎プロが解説する。

ランガーが米シニアで6度目の年間王者に

新型コロナ禍の影響で2020年から2年間の異例の長期シーズンになった米シニア「PGAツアー チャンピオンズ」の今シーズンの試合がすべて終わり、64歳のベルンハルト・ランガーが6度目の年間王者に輝いた。今シーズンの2年間、ゴルフ専門チャンネル・ゴルフネットワークでチャンピオンズを20試合ほど解説してきたが、年齢を感じさせないランガーの活躍や大物「ルーキー」、フィル・ミケルソンの強さなどシニアツアーの面白さが詰まったシーズンだったと思う。

今シーズンのランガーは優勝回数こそ2回と少なかったが、ベスト10入り24回、トップ3には7度入るなど安定した成績を残した。なかでも、10月24日にはドミニオンチャリティクラシックで優勝し、ツアー最年長優勝記録を更新したのは記憶に新しい。シニアツアーで年間王者を2回以上獲得した選手はランガー以外になく、6度目の獲得となると、まさに快挙だ。

ベルンハルト・ランガー 写真/Getty Images
ベルンハルト・ランガー 写真/Getty Images

特に今シーズンは、フィル・ミケルソンやジム・フューリック、マイク・ウィアーといったメジャーチャンピオンが次々と参戦し、ゴールデンルーキーたちが優勝を争った。その中で一回り以上年上のランガーがモチベーションを保ちながら存在感を示し、年間王者にまでなってしまうのだから、これは「鉄人」と呼ぶしかない。

確かに年齢からくる衰えで、50代前半の選手に比べると飛距離では歯が立たないし、終盤に崩れる姿も増えてきた。最終戦となったチャールズ・シュワブ・カップ選手権では、腰を傷め、キャディーにカップインしたボールを拾ってもらう姿も見られた。しかし、正確なパッティングと多才な小技は健在で、技術力で体力の差を補っている。腰の痛みに耐えながら、最終戦の3日目に63を出し、エージシュートを達成するあたりは脱帽するしかない。ゴルフに年齢は関係ない、とよく言われるが、こうしたプレースタイルは中高年のアマチュアゴルファーに参考になるだけではなく、励みにもなるはずだ。

ランガーは、あと3勝でヘイル・アーウィンの最多勝記録45勝に追いつく。来シーズンも最多勝更新に向けて健在ぶりを示してほしい。

ルーキーの中でも強さが際だったミケルソン

異例の2年間という長期にわたった今シーズンだが、いつになく盛り上がったシーズンだったと思う。その要因として、優勝した12人のルーキーの活躍が挙げられる。ミケルソンやフューリックが参戦していきなり2連勝したのをはじめ、エルスやウィアーなどのメジャータイトルを持つ「エリート」のルーキーたちの活躍により注目度が高まった。彼らだけではなく、ブレッド・クイグリーやアレックス・チェイカ、スティーブン・アルカーといったPGAツアー時代には目立った成績を残せなかった「非エリート」の選手の活躍も目を見張るものがあった。特に今年の前半戦はチェイカがメジャーを2連勝し、後半戦はアルカーが常にトップ10に顔を出し、ティンバーテック選手権で初優勝するなど、50歳のシンデレラボーイたちが台風の目になった。

しかし、ルーキーの活躍と言えば、なんといってもミケルソンだろう。昨年8月からPGAツアーとの掛け持ちで参戦し、ジャック・ニクラウスに並ぶシニアツアーデビュー以降6戦4勝という記録を打ち立てた。最終戦は3日目まであまり調子が良さそうに見えなかったが、最終日に猛チャージをみせ、最後の4ホールでバーディー3つを奪って5位からの逆転優勝を果たした。最終日後半で見せた集中力は、50歳にして全米プロを制したメジャーチャンピオンの凄みを感じた。

フィル・ミケルソン 写真/GOLF TODAY
フィル・ミケルソン 写真/GOLF TODAY

逆転で年間王者の可能性があったフューリックは最終日を1打差の単独首位でスタートしたものの、スコアを伸ばせずパープレーの71とし、5位タイに終わった。フューリックは今シーズン、最終日の優勝争いでパッティングが乱れてスコアを伸ばせずに勝ち切れない試合が何試合かあったが、この点は来季に向けての課題だろう。

こうして、いつにない盛り上がりを見せたPGAチャンピオンズだが、来年もデビッド・デュバルやY・E・ヤンなどのメジャーチャンピオンたちが参戦し、大いに盛り上がっていくだろう。いずれタイガー・ウッズが50歳になり、チャンピオンズツアーに参戦することになれば、さらに注目を集めることになることは想像に難くない。

「アマチュアゴルファーは、女子の試合を見ると参考になる」とよく言われるが、中高年のアマチュアゴルファーにはシニアツアーを勧めたい。自分と同年代の選手や懐かしいビッグネームのプレーが見られるし、スイングフォームや技術だけでなくコース攻略の考え方など学ぶべきところが多い。是非、米シニアツアーからゴルフ上達のヒントをつかんでほしい。

吉田洋一郎

解説
吉田洋一郎
よしだ・ひろいちろう/1978年生まれ。デビッド・レッドベターのメソッドを学んだ後、PGAツアーや欧州ツアーで指導するプロコーチ約100名から直接指導を受ける。米国や欧州でのティーチング資格を多数取得している。

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