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チーム辻村流(辻村明志)スイング立て直しレッスン|上田桃子、小祝さくら、吉田優利が大活躍!

不調になったら、ミスが出始めたら、このレッスン・ドリルで復活!注目のツアープロコーチが教える!スイングの立て直し方

2021/12/04 ゴルフサプリ編集部

現在は上田桃子、小祝さくら、吉田優利、永井花奈、松森彩夏、山村彩恵とツアープロだけで6人を指導。

今シーズンの女子ツアーでは辻村明志が指導する選手が大活躍!ベテランの上田桃子が復活優勝し、ルーキーの吉田優利も2勝、そして賞金女王を争う小祝さくらは5勝を挙げている。なぜ、チーム辻村の選手は安定した成績を出せるのか?そこには調子が悪くなったときでも、スイングを立て直す秘策があった。

GOLF TODAY本誌 No.594 18〜29ページより

(写真右)チーム辻村ではリーダー的存在の上田桃子。日本ツアー通算16勝を誇り、35歳でもツアーのトップ選手として活躍。(写真左)高校2年生の頃から辻村の指導を受ける吉田。ルーキーとして挑んだ今シーズンは2勝をマークし、賞金ランキングも19位。
北海道出身の小祝さくらは、チーム辻村の拠点である千葉に移住して指導を受けてきた。今シーズン5勝をマーク。
試合では上田桃子や小祝さくらのキャディをつとめることも多い。

チーム辻村の基本はストレートドローインサイドからヘッドを入れる外からはNG

「PGAツアーとかパワーがある男子選手なら違うスイングもありだと思いますが、女子プロの場合はインサイドからクラブを下ろすスイングのほうがケガも少ないし、再現性も高くなります」(辻村)

チーム辻村流立て直しのポイント<プロ全員のケース>

ツアープロからプロコーチに転身した辻村は、王貞治を指導した荒川博コーチの教えをゴルフスイングに取り入れたことでも有名。スイングではインサイドからクラブを入れる軌道がチーム辻村の共通点でもある。

外回転は不調のサイン。懐にクラブを入れる感覚で打つ

2014年に(上田)桃子を教えるようになったときから一緒に作り上げてきたのはインサイドからクラブを入れて、安定したストレートドローを打てるスイング。感覚的にはダウンスイングで懐(ふところ)にクラブを入れてくる感じです。

これは、(小祝)さくらや(吉田)優利を教えるようになってからも同じ。基本的に私が教える選手にはインサイドからヘッドを入れるスイングを教えています。

だから桃子やさくらの調子をチェックするときも「ストレートドローが出ているか」「ヘッドがインサイドから下りてきているか」が第一のポイント。調子が悪くなるとヘッドが外から入ってくる。今年の夏はさくらもちょっと外側から入ってきていましたし、桃子も調子が悪くなると体が外回転するクセがあります。

ヘッドを内側から入れるポイントはお腹の動きです。ダウンスイングでお腹が地面を向いていれば、手元が体から離れないからインサイドから下りてくる。逆にお腹が横や上を向くと、アウトサイドからヘッドが下りてきてしまう。そんなときはボールの前に傘をおいて、傘に当たらないようにボールを打つ練習をよくしています。

お腹を地面に向けたまま体を回せばインサイドから打てる

お腹を常に地面に向けていればヘッドをインサイドから下ろせる。ハーフウェイダウンではお腹がボール後方、インパクトではボール、フォローではボール前方を向くのが理想。

『ココがポイント!』バックスイングからお腹は下向き

ダウンスイングでお腹を地面に向けるためには、バックスイングでもお腹をなるべく長く地面方向に向けていることがポイント。ハーフウェイバックまでは、お腹がボール後方の地面を向く角度をキープ。
不調のときは『傘』を使って練習
ヘッドが通るスペースを残して、ボールのすぐ前に傘をおく。少しでも手が前に出てアウトサイド・イン軌道になると傘にぶつかってしまう(×)、傘にぶつからないように練習すればインサイドからヘッドが下りてくる。
アマチュアの多くは、インパクト前にお腹が上を向いてしまうタイプが多い。お腹が上を向くとあおり打ち軌道になってしまうため、ダフリやすくなる。

調子が悪くなると右に傾きやすいインパクトでは顔、首、おヘソ、お尻を一直線にする

焼き鳥の串をイメージ!背中が傾かないことが大切

背中に1本の軸がある感覚で打つと顔、首、おヘソ、お尻が一直線になったインパクトをイメージしやすい。背中側から見たときには背骨が左右に傾いていないことが大切。

チーム辻村流立て直しのポイント<上田桃子のケース>

辻村は「今年の日本女子オープンで桃子のスイングは完璧だった」と振り返る。そのポイントの1つがインパクトの瞬間の軸。体の軸を意識することは、スイングの調子を上げていくことにつながるそうだ。

体の正面から見ると、インパクト直前から直後まで、顔、首、おヘソ、お尻が一直線になった姿勢をキープしている。

絶不調だった桃子が「女子オープン」で復調

5月の「パナソニックオープン」に勝った後、実は桃子の状態はずっと悪かった。でも、10月の「日本女子オープン」では、7年間見てきた中でもベストじゃないかなと思うくらいスイングが完璧でした。結果は2位でしたけれど、桃子もクラブハウスに帰ってきたとき「スイングはイチバン良かった」と言ってました。

私がよくシーズン中に調子のバロメーターにしているのが、インパクトの瞬間の体の軸です。桃子も調子が良くて、ボールが飛んでいるときは、インパクトの瞬間に顔、首、おヘソ、お尻まで一直線になっている。体に1本の棒が刺さった姿勢というか、焼き鳥の串が貫通しているようなスイングになっています。逆に調子が悪くなってくると、桃子の場合は右に傾きやすい。右に傾いてしまうと、体が倒れこみながらボールを打つスイングになってしまうのでバランスも悪くなる。さらに、上半身が倒れてくると左ワキが開いてくるので、手打ちになってしまうこともあります。この傾きは、練習中などにも携帯の動画でスイングを撮影しながらチェックしています。

最初からアマチュアゴルファーが顔、首、おヘソ、お尻の4点を一直線にするのはハードルが高いと思うので、まずは顔と首がインパクトでボールの正面にきているスイングを目指しましょう!それだけでも確実にインパクトが安定すると思います。

『ココがポイント!』切り返しで顔が傾きやすい!

女子プロだとシーズン中に疲れが出てくると、体が右に倒れやすい。逆にアマチュアで体がつっこむクセが強いタイプはインパクトでは体が左に傾いている。

『ココがポイント!』右手を使いすぎると右に傾いてしまう

グリップを強く握りすぎたり、右手を使いすぎるタイプほど、体が右に倒れやすい。スイング軌道の基本は左手リード。左手でクラブを下ろすことを意識しよう。

タオルやゴムチューブを挟む練習はこのため右肩、右ヒザを前に出さない

ゴムチューブで両腕を自由に動かないようにすると腕が体から離れないので、右肩が前に出なくなる。最初は右手の片手打ちで、右肩の動きをチェックしよう。

チーム辻村流立て直しのポイント<小祝さくらのケース>

女子ツアーの中でもスイングの安定感はNo.1と言われている小祝さくら。しかし、高校生の頃から指導する辻村は、一般的な評価とは違う視点で小祝のスイングを分析していた。

右足を蹴るときに足元が回るのはNG

確かにさくらのスイングは安定しているのですが、好調で安定することもあれば、不調で安定してしまうこともある。だから、成績が良いときも長く続きますが、一度調子を落とすとスランプも長くなりやすいタイプです。

調子が悪くなってくると、まず右肩が体の前に出てきてしまう。右肩が前に出ると手元が体から離れてしまうし、インサイドからヘッドが下りてこない。この動きを修正するためには、トップで右ワキを体から離しすぎないこと。右ワキが完全に開くと、右ヒジが自由に動くので切り返しで右手がループしたりして右肩が前に出やすくなってしまう。調子が悪くなると、よく両ワキにタオルやゴムチューブを挟んで練習させますが、それは右ワキを締めて打つ感覚をつかむためです。

もう1つ、調子が悪くなってくると右ヒザが前に出て、下半身がバタバタしたスイングになってしまう。もちろん、右足を蹴る動きは必要ですが、右ヒザが前に出るとカット軌道になってしまいます。右ヒザが前に出る要因は、右足を回しながら蹴るからです。足元が回ると右足だけでなく、左足も動いてしまう。その動きを直すために左足のツマ先にヘッドカバーを置いて、それを落とさない練習をよくやっています。

左足のツマ先は浮かせない

足元の動きを安定させるために、左足はベタ足をキープしているのが理想。チーム辻村では左足のツマ先側にパターのヘッドカバーを置いて、それを落とさないように練習している。

『ココがポイント!』右ヒジが体から離れると右肩が前に出やすくなる

トップで右ワキが開いて、右ヒジが高く上がるとダウンスイングで右ヒジが体の前に出てしまうため右肩も一緒に前に出てしまう。トップで右ワキが締まっていればヒジが体から離れないので、右肩も前に出にくい。

疲れてくるとプロも手上げになりやすい始動はゆっくり、低く動かす

フェアウェイウッドを打つときの吉田はテークバックでヘッドが右足の前を超えてもまだ低いポジションをキープ。ヘッドがボールとほぼ同じ高さにある。

チーム辻村流立て直しのポイント<吉田優利のケース>

ミレニアム世代の吉田優利は、高校2年生から辻村の指導を受けている。そんな吉田のスイングをチェックする際、辻村はテークバックを重視しているそうだ。その理由とは?

ヘッドがすぐに高くなるのは、手上げ!

優利は高校生の頃から教えてきたので、アドレスからテークバック、トップ、ハーフウェイバック、インパクト、フォローまでほとんど全部のポジションでスイングを一緒に直していきました。その中で、最も大変だったのはテークバックの始動。特に女子のジュニア世代はまだ力がないのでクラブを“ヒョイ”と簡単に高く上げてしまう。それでは体の重心が安定したスイングになりません。アマチュアにもテークバックでクラブが、高く上がってしまう人はすごく多いです。始動でヒョイと勢い良く上げてしまうと、体も起き上がってしまうし、体が回っていかないのでトップが浅くなってしまう。

理想的なテークバックは、ヘッドを「ゆっくり、低く」動かすこと。ゆっくりした始動なら体が起き上がったり、軸が左右にブレることはありません。「ゆっくり、低く」上げるポイントは左腕は少し体から離して、右腕を体にくっつけて構えることです。左腕だけを体から離して構えておけば、左腕でクラブを動かすのでヘッドが低く動きます。逆に右手リードでヘッドを動かそうとするとヘッドが高く上がりやすい。

今の優利はテークバックもすごく低くなっていますが、体が疲れてくるとアマチュア時代からのクセでヘッドがすぐ高く上がってしまう。そんなときはヘッド後方にマーカーを置いてそれを飛ばす練習を徹底させています。

右足の前に置いたマーカーを飛ばす練習

ヘッドを低く動かす練習で、チーム辻村がやっているのが右足の前にマーカーを置いて打つ練習。テークバックでマーカーを飛ばして、そのままボールを打てばヘッドを低く動かす感覚がつかめる。

左腕は少し開けて、右腕は体につけて構える

左腕は指1、2本分だけ体から離すと左腕リードになりやすい。左腕を動かしながらお腹を回して、シャツに斜めの線が入ればOK!
右腕はワキからヒジまでしっかり体にくっつけておく。始動からハーフウェイバックまでは右腕と右のお腹が一体化したまま動かす。右ヒジが体から離れるのはNG。

コーチ

辻村明志
つじむら・はるゆき
1975年9月27日生まれ。福岡県出身。かつてはツアープレーヤーとしてチャレンジツアーやアジアンツアーに参戦。2014年から上田桃子を指導し、当時はマンツーマンでツアーで帯同。2017年から当時高校生だった小祝さくらを教えるようになり、その後も多くのプロゴルファーやプロを目指す選手を指導。

写真/Getty Images 取材協力/鎌ヶ谷CC


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