カーボンウッドで飛ぶ!と話題のテーラーメイド・ステルスドライバーでラウンドしてみた!
コリン・モリカワが使用を開始したテーラーメイドのステルスは本当に凄いのか?
テーラーメイド・ステルスドライバー
テーラーメイドが、これからのドライバーはカーボンウッドになると宣言して市場投入する『ステルス』を、早速コースで打ってみた結果、色々なことが判明した。カーボンウッドは本当に凄いのか? ロマン派ゴルフ作家の篠原嗣典が真相に迫る。(試打感、評価は個人的見解によるものです)
撮影/篠原嗣典
気になる打音と飛距離性能は?
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ステルス プラス+ ドライバー
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ステルス ドライバー
2022年が始まり、春に向けての新製品の中でダントツに注目を集めているのは、赤いカーボンフェースの『ステルス ドライバー』である。
カーボンウッドドライバーは、『ステルス ドライバー』『ステルス プラス+ ドライバー』『ステルス HD ドライバー』の三種類が2月4日に発売される。
テーラーメイドのご厚意で、『ステルス ドライバー』『ステルス プラス+ ドライバー』を、いち早くコースで試打させてもらった。
コースにお願いして、ドライバーだけ1ホールで2回打っても良いという許可を得て、極寒というバッドコンディションではあるが試打ラウンドをスタートした。
『ステルス ドライバー』は、安定性とさらに低重心になってるスタンダードモデル。
『ステルス プラス+ ドライバー』は、ソールに「スライディングウェイト」が装着された上級者向けのチューニングになっているモデルである。
構えたときの違和感は、ほぼない。どちらも、テーラーメイドのドライバーらしいフォルムである。
赤いフェースは、かなり面積があるので目立つが、それも簡単に慣れることが出来そうだと感じた。
打ってみて、まず最初に驚かされたのは、やはりカーボンフェースは若干の違和感があるということだ。
簡単に書くと、やわらかい感触があって、フェースに接している時間が長く感じる。打ち応えは、かなり軽い。
総じて、ソフトな感じだとくくることも出来る。
心配していた打音は、辛うじて合格点という感じだ。
金属系のきれいな音質だが、音量は少し小さい。『ステルス プラス+ ドライバー』のほうは、特に小さい。
多くの見識者が『ステルス』の打音に何ら問題なし、と太鼓判を押しているが、彼らのほとんどは、天井と壁がある室内練習場、もしくは、天井と固い床がマットの下にある練習場という強い反響がある状態で聞いた音で判断している。
反響があると、しっかりした音に聞こえる傾向があるし、音量も大きく聞こえるものだ。
しかし、ゴルフクラブは、コースで使うものであり、打音は反響がないコースで確認しないとわからないのだ。
『ステルス ドライバー』『ステルス プラス+ ドライバー』共に、美しい打音だが、それは細く、弱い。金属系の打音に慣れている現代においては、ギリギリであり、しっかりとした打音が好みのゴルファーには、かなり頼りない音だと感じるレベルだ。
次に飛距離性能である。
『ステルス プラス+ ドライバー』は、最も飛んだホールで235ヤード。
ヘッドスピード40m/sとしては飛ぶドライバーではあるが、実は前モデルの『SIM2』とほとんど変わらない。
平均となると205ヤードぐらいまで落ちてしまう。これは、ボールが大きく曲がるので、木に当たったりして、飛距離がロスするホールがあったからだ。
『ステルス ドライバー』も、最も飛んだホールで235ヤード。
平均は220ヤードだった。トップレベルに飛ぶドライバーに分類されることは間違いないが、チタンフェースのドライバーと比較して、特別に優れているという感じはしなかった。
新しい時代の扉を開けるというハードルが上がった状態だっただけに、正直な話、カーボンウッドにはガッカリした。
チタンに劣ってはいないものの、この程度であれば、無理をしてカーボンを採用する必要性を感じない、と思った。
カーボンウッドの未来は見えてきたが……
カーボンをフェースにも採用するという未来があるという可能性は、『ステルス』によって大いに高まるであろう。こうすれば、最低限のことは出来ますよ、というテーラーメイドから他のメーカーに対するメッセージを感じたりもした。
突貫工事で、細部の調整やデータ収集を後回しにしたのは、もっと先の未来を競う合うことで築こうということなのだと思った。『ステルス』の本領発揮というか、勝負になるのは、実は2代目、3代目だと考えるとわかりやすい。
とはいえ、ネガティブにとらえすぎるのも問題である。
『ステルス プラス+ ドライバー』と『ステルス ドライバー』共に、合うゴルファーと合わないゴルファーが明確にわかりやすいクラブである。
カーボンフェースの特徴も判明した。
低めになる打ち出し角。初速アップ。そして、スピン量の低下。
この三つを見て、ビビッと来たゴルファーには合うのだ。
低めに飛び出してもキャリーが落ちず、初速アップを活かすことができて、棒球で転がす…… かなりのハードヒッター、つまり、ヘッドスピードが速いゴルファーには、鬼に金棒というドライバーになるのである。
僕がいくつかの不満を持った原因は、ヘッドスピードが設計する際の想定より低すぎるからなのかもしれない。
もう一つ、付け加えるなら、芯に当たる確率が高いゴルファーに合っている、といことだ。
フェースが大きいので、下手でも打てる、と考えるのは、『ステルス』については当てはまらないように思う。
試打中に、トウ側に当たったボールが、ドローがかかりすぎて左に行ってしまったり、ヒール側に当たったボールが、フェードしすぎて右に行きすぎるということが、自分だけではなく、打ってもらった同伴者でも起きた。
チタンフェース用に開発した「ツイストフェース」が、カーボンになると効きすぎてしまうのではないかと想像した。
今後の注目ポイントは、米ツアーでの使用率と使用者の成績であろう。
色々な人たちの想いを引き裂くような結果も露骨に出るシビアな世界には嘘はない。
個人的には、クラウンがマットブラック調の透けカーボンになったのは、好感を持った。
白と黒のパンダふうなデザインよりも、マットブラックの一色のほうが締まって見える。
別の記事でも書いたが、カーボンにかんしては、日本の企業の技術力が世界一で、他の追随を許していない。
カーボンウッドの時代が本当に来るとしたら、日本の技術が入らなければ完結しないはずだ。
日本のゴルフメーカーも参入してこそ、時代の扉は開くのだと思う。
新しい流れに抗うのもゴルフであるなら、競って最先端に乗るのもゴルフである。
『ステルス プラス+ ドライバー』は、敏感にボールを操りたいゴルファーにオススメである。ストレートなボールを打つのが難しいぐらいに敏感に球筋に影響が出る。
『ステルス ドライバー』は、ぐっと鈍感になり、ボールコントロールはしやすくなるが、特別に優れているわけではない。芯に当てる技術に自信があるゴルファーにはオススメだ。
市場では、『ステルス』シリーズの予約販売も始まっている。予約販売は最も安く購入できるケースもあるので、予約することを否定はしない。
ただ、迷うようであれば、じっくりと時間を掛けて、情報がもっと出て、判断材料を揃えてから決断しても良いと思う。
繰り返しになるが、合う合わないが明確に出る傾向があるドライバーは、悩ましいヤツなのである。
篠原嗣典。ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。
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