練習場ではナイスショット連発!でも、コースに出るとうまくいかないのはなぜ?
100切りなんて簡単だ!エージシューターの極意 第2回
練習場では上手く打てるのに、コースに出るとミスばかりというゴルファーに必見!練習場での練習方法を変えた途端、ガラリとコースでのスコアがアップしていったそうです。
今回もエージシューターの高橋氏が、目から鱗のスコアアップ術を伝授します。
写真提供/高橋健二
練習場でナイスショットが打てても、コースでは上手く打てない理由
毎週1回、練習場に通って300球くらい打っているのに、コースに出ると、練習場で打ったナイスボールが出ない。あなたは、そんな悩みはありませんか?
かつての私はそうでした。練習場ではナイスショットがポンポン飛び出す。でもコースに出るとつまらないミスをする。とくにグリーンに近づいてからのショットがそう。フェアウェイのど真ん中のいいライから残り120ヤード。練習場ではPWでピッタリの距離です。よし、ナイスショットでベタピンにつけてあわよくばバーディも、と意気込んで臨むのに、なんとダフリチョロしてグリーン手前のガードバンカーへ・・。
それが、ある日を境に、練習法を変えたとたん、ガラリと変わったのです。
どう変えたのか?
それまでの私は、練習場でナイスショットを打つ練習ばかりしていました。まずウェッジでアプローチの練習をして体をほぐし、次にショートアイアンを打つ。最初は上手く当たらないけれど、何球か打つと当たるようになり、ナイスショットが4~5球続くと、番手を上げてミドルアイアンに替え、これもナイスショットが続くとフェアウェイウッドへ進み、最後にドライバーを打って、思い通りのナイスショットが出たら気分よく切り上げる。
でも、練習場でこのようなナイスショットを連発しても、コースへ出ると上手くいかない。いや、この練習法でも90前後では回れるようになったんです。でもコンスタントに80台前半とか、70台が出るようにはならない。なぜだろうと考えて、ハタと気付きました。
練習場は人工マットの上から打ちます。人工マットはソールがすべるのでダフったショットもちゃんと飛んでくれます。しかもマットには白線があり、打っていく方向が示されている。そのうえ練習場は左右をネットで囲まれていて、どんなに曲げてもOBになる不安がありません。だから、いくらでも気持ちよく振り回せ、振ればちゃんと当たらないボールもそこそこ飛んでくれる。つまり練習場は「上手くいくように作られている」のです。
一方のコースはどうか? ティイングエリアに立つとフェアウェイは狭く見え、その左右にはバンカーや池やOBの白杭がわざと見えるように配置されています。ドライバーを気持ちよく振り回させないよう作られているのです。
加えて足元は傾斜地ばかりで、かつグリーンはフェアウェイより高く、バンカーや池は低く造成されています。だからグリーンを外れた球は跳ね返されてラフに入り、バンカーや池の近くに飛んだボールは転がり落ちてしまいます。つまり、ゴルフ場は「上手くいかないように作られている」のです。もし、上手くいくようにコースを作るなら、グリーンはフェアウェイより低く、その一番低いところにカップを切ればいい・・・。
どうですか。明らかに違いますよね。練習場でいくらナイスショットをしても、コースで上手くいかない最大の原因は、ここにあったのです。
練習場ではミスショットの練習をしよう!
練習場でいくらナイスショットが打てても、コースで上手くいかないことが分かったので練習法を変えました。練習場ではミスショットの練習をするようにしたのです。
最初にやったのはスライスを打つ練習です。コースで直角に曲がるスライスのOBを打ったラウンドの帰りに練習場に立ち寄り、同じ直角に曲がるスライスを打ってみようと考えました。スライスの原因には①ヘッド軌道がアウト―インに入る、②インパクトでフェースが開いて当たる、③左腰が早く開く、④上体が突っ込む、などいくつかありますが、自分のスライスの原因は何なのか、突き止めてみようと・・・。
結果は①と②と④の複合で起きていることがわかりました。原因がわかれば矯正は簡単です。
まず私の仮説が正しいか、逆の構えで打って検証しようと考え、上体が突っ込まないよう体重を右足に乗せて構え、フェースを左向きにセットし、思い切りインサイドアウトの軌道で打ってみました。すると、まさに絵に描いたようなバナナフックが出たのです。スライスのときと逆の構えをしたらフックが出た。私の仮説は正しかったのです。
ここまでやると、思い通りの打球を手にするのは難しくありません。あとはフェースの向きと、インサイドアウトの軌道を微調整しながら、フックボールの曲がりを小さくしていき、意図してドローボールが打てるようになっていきました。
同じことはシャンクでも練習しました。シャンクの原因は、アドレス時に①ボールに近づきすぎ、②インサイドアウトに振る、③右ひざが前に出る・・などと言われています。そこで、これもコースでシャンクが出た帰りに練習場に寄って検証しました。私のシャンクの原因は③でした。
以後、アプローチではダウンスウィングで右ひざが前に出ないよう、右足を背中側に1歩引いて構えるか、あらかじめ右ひざを左に寄せて構えるようにしました。これでシャンクはまったく出なくなりました。
さらに練習場では絶対に人工マットを叩かないようにしました。冒頭で述べたように、私のケアレスミスの多くはショートアイアンによるダフリチョロだったのですが、これを矯正するために、練習場では、インパクトエリアで人工マットが「シュッ、シュッ」と擦れる音がすればよし、「ドン」と音がしたらダメと決めて練習しました。
マットを擦るように振ると、たまにハーフトップすることがあります。ふつう、ハーフトップはダフリと同じミスショットと言われますが、私は「ハーフトップはOK」と言い聞かせて練習しました。ダフリもダメ、ハーフトップもダメ、と考えるとスウィングはすごく難しくなるので、片方を許容してあげたのです。これで私のゴルフは大きく変わりました。
まず、距離のあるバンカーからのショットがめちゃくちゃ上手くなりました。長いクラブを使う距離のあるバンカーからのショットは意図してハーフトップさせてやればいいのです。慣れてくるとボールの赤道の下、地球儀でいうとタスマニア島あたりを狙ってリーディングエッジを入れることができるようになります。フェアウェイバンカーからロングアイアンやフェアウェイウッドが使えるようになり、これはすごい武器になりました。
もう1つ、一般的なミスショットは、状況が変わればナイスショットになるのだということがわかりました。いまのハーフトップがそうだし、ダフリチョロも砂の柔らかい距離のないバンカーでは武器として使えます。直角に曲がるスライスやチーピン気味のドフックも、ボールが浮いているときに飛び出すダルマ落としのショットも、意図しないときに出るとミスショットですが、意図してやればナイスショットになります。
問題は、意図してやれるかどうか。意図してできるようになるために練習する。私がミスショットの練習を主にやるようになった、という理由がここにあるのです。皆さん、練習場でナイスショットの練習をしている間はまだまだ半人前ですよ。練習場では意図的にミスショットを打つ練習をしてみましょう(笑)。
高橋健二/ノンフィクションライター。1948年生まれ。企業ものノンフィクション「スーパーファミコン任天堂の陰謀」などを多数執筆。趣味はゴルフ。エイジシュート達成者(エージシューター)を100人以上取材し、自身も68歳のとき1度達成している。
なお、エージシューターとは1ラウンド(18ホール)のゴルフで 自分の年齢以下のスコアを出したゴルファーのこと。生涯で達成できるゴルファーは非常に少なく、ゴルファーにとっての究極の目標でもある。
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