デビッド・レッドベターUSA特派独占インタビュー【ゴルフトゥデイ創刊600号企画】
「上手くなりたければ、アドレスに気を使うことだ」
ゴルフトゥデイ創刊号をゴルフサプリでご紹介する企画。30年前に掲載されたデビッド・レッドベターUSA特派独占インタビューを記事にしました。当時の編集長のコメントとともにお届けします。
GOLF TODAY本誌 創刊第2号/25~27ページより
ゴルフトゥデイ編集長が当時を振り返る
1989年、90年とマスターズを連覇した英国のプレーヤーニック・ファルドだが、彼が名声を得ると共に注目されたのはティーチング・プロのデビッド・レッドベターだった。
ファルドのマシンのようなスイングは、彼の精密な理論によって作られたといっていい。創刊号のためのフロリダ取材、ドラル・オープンの練習場でその姿を見つけて、咄嗟に直撃取材を申し込んだ。彼は「練習場で何人かのプロのチェックの後なら少し時間が取れるよ」と答えてくれて、そのあとにこれまた急遽動いて、プロアマに参加していた、当時の三井信託のニューヨク支店長の中村正隆さんに通訳をお願いした次第。練習場の空き地に椅子を3脚用意してのインタビューだった。
今でもそうだがレッドベターの本拠地はフロリダのレイク・ノナGCというコース。近くの試合だからたまたま練習場にいたということだ。話のなかでも最も印象に残ったポイントを一つだけピッックアップすると、見るのはアドレスであり、セットアップの重要性を語っていました。スイングの75%はアドレスで決まるということらしいです。
創刊第2号の記事内容を覗いてみよう
30年前のゴルフトゥデイ創刊号の実際の記事内容です。あくまでも過去のもので、現在は販売終了しているものも多数あります。30年前の文章、写真をご覧いただいてコンテンツとして楽しんでいただければと思います。
「プロを教えるティーチングプロ」デビット・レッドベターそのゴルフ理論とスイングテキスト
かつて帝王ジャック・ニクラスには、ジャック・クラウトという有名な師匠がいた。また、トム・ワトソンにはバイロン・ネルソンと強力な信頼で結ばれた師弟関係があった。そしていま、世界最強といわれるプレーヤー、ニック・ファルドの陰にいる男、それがデビット・レッドベターだ。チャンピオンを育てた名コーチにUSA現地で直撃インタビュー。そのゴルフ理論を語ってもらうとともに、彼が直接レクチャーした名プレーヤー5名の華麗なるスイングを徹底分析した。
ダンスをするようにコミュニケーションする それが成功の秘訣だ
スイングチェックの始動は実に丹念で分かりやすい
ーいまや世界でナンバーワンの実績を誇るティーチング・プロとして、その成功の秘訣を中心に、お話をうかがいたいと思います。
レッドベター
OK!しかしこの後すぐに、ボクが拠点としているレイク・ノバGC(フロリダ州オーランド)に戻らなければならないんだ。専属契約を結んでいるから、技術面で、あまり深い話はできないが、それ以外のことならなんでも話すがね。
ーわかりました。それでは技術面については、ニック・ファルドをはじめとした、あなたのスイング理論を実践しているプレーヤーたちを参考にすることにしましょう。
レッドベター
基本となる理論はあるんだが、人によって言い方が違えば、受けとり方や、感じ方が変わってくることもあるだろうから、そこはちょっと気をつけた方がいいだろうね。
ートーナメント中であれば、あなたの仕事場はトーナメントの練習場ということになるわけですが、ずいぶんビデオを使っていらっしゃるようですね。
レッドベター
スイングというのはとても複雑で、いろいろな要素(動き)が絡まって成り立っているものなんだ。しかし、結局はグッドショットかミスショットの2つしかない。そのどちらになるか、原因と結果を結びつけるファクターを探すのに、ビデオを利用しているというわけだ。なにせ、繰り返して見ることができるし、スローモーションなんかは役に立ってるよ。
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生徒のスイングをビデオに撮るレッドベター
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スイングの変化を分析するにはビデオが最適
ー具体的なビデオの効果を、もう少しくわしく教えてください。
レッドベター
まあ、ビデオに撮らなくても実際のスイングを見て、ウィークポイントを見つけることもできるんだけどね。やっぱりビデオを撮りだめしておくと、一人のプレーヤーのスイングの変化というのは歴然とする。さらにボクが、いろいろなタイプのプレーヤーのスイングを見ることができるわけだ。つねに先生が生徒以上に勉強する必要があるのは、どこの世界でも同じだろう。
ー実際にプレーヤーにレッスンするとき、まず何をされますか。
レッドベター
最初はとにかく、じっくりと話し合うことだ。これまでのスイングの仕方。現在の問題点はどういうところか。当然のことだが、プレーヤーたちはベストの状態になることを望んでいるんだ。
ーUSツアーでは、年間の平均ストロークの最も少ないプレーヤーに贈られるバードントロフィーの価値が高いのですが、プレーヤーたちもアベレージを求めるのでしょうね?
レッドベター
もちろん、そのためには徹底的に話し合うのさ。いい結果を出せるプレーヤーと話しをしていると、呼吸のあったいいパートナーとダンスをしているような気分になる。そういうときには、きっと成功するという確信があるね。
本人もツアープロだっただけに実際にクラブを振ることも
ースイングのアドバイスはどんなところに重点を置かれますか?
レッドベター
プレーヤーによって望んでいることは違うからね。スライスやフックなど、いろいろな種類のボールをまず打ってもらう。そして、あらゆる方向や角度から、スイングを見るようにしている。
ー何が大きなポイントになるのでしょうか?
レッドベター
プロ、アマを問わずにいえるのは、セット・アップのウエイトが大きいということだ。アドレスの仕方と体のバランスのとり方がうまくいけば、スイング全体の75%以上はできたといってもいい過ぎではないだろう。
スイングの良否はアドレスのセット位置で75パーセント以上決まる
ーところで、あなたの教えたプレーヤーのなかで最も成功したニック・ファルドですが、彼とのつき合いはどのように始まったのでしょうか?
レッドベター
彼自身が壁につき当たり、もがいていた時期にめぐり会ったんだ。だからこそ、最初からうまい関係になれたともいえるがね。なにしろ私を信頼してくれなければ、こういう仕事はうまくいかないよ。
ーそれにしても89年、90年度2年連続マスターズ優勝、90年全英オープン優勝というファルドの強さは他を寄せつけないという印象を受けました。
レッドベター
彼の目指していたクオリティの高いゴルフができたということだ。うまく結果として表れてくれたことは、私もうれしく思っている。勝負は、実力があるから優勝できるというものじゃない。どんなにスイングがよくていいゴルフをしても、たまたまそれを上回るプレーをする者が、そのとき、その場にいたら勝てないからね。
信頼関係があってはじめてレッスンが可能になるという
ー運としかいいようのない、奇跡的なショットもあるわけですからね。
レッドベター
ボクの仕事は1年間、そして1シーズンという大きなサイクルで、プレーヤーが思いどおりのプレーをできるようなスイングをつくることだ。そういう意味で、プレーヤーを優勝させるために、スイングを指導しているわけではないし、優勝という結果はプレーヤー自身の力によるものだ。
ーファルドに次ぐ、強い選手が近い将来あなたのもとから出てくるのではないかと思いますが、現在教えていらっしゃるプロは何人くらいでしょうか?
レッドベター
USツアーは20人、欧州ツアーでは12人。日本にも昨年は3回行って金井清一や渡辺司、鈴木弘一などにアドバイスをした。アメリカにいる女子プロの、小林浩美にも少し教えたが、日本には今年も同じ様なスケジュールで行くことになっている。
ー選手との契約はどのようにしているのでしょうか?
レッドベター
いろいろなスタイルがある。専属契約をしている選手もいれば、期間を区切って契約し、それを継続していくケースもある。さらに、選手が稼いだ賞金のパーセンテージをもらうこともある。
ちょっとした助言がスイングを変える。指導方法が非常に明瞭なので大好評。
ー私たちのようなアマチュアでも、あなたのレッスンは受けられるのでしょうか?
レッドベター
ボクが拠点にしているレイク・ノバGCでは、アマチュアも教えているよ。
ー少しだけ技術の話を。もし、スイングをよくしたいと思ったら、もっとも大切なことはなんでしょうか?
レッドベター
やはり、何といってもアドレスのポジションに気をつけることだね。つまり、打つ準備の姿勢が、どれだけ正しくできるか、それは上達への大きなファクターともなるものだ。
ーでは、その正しいアドレスはどのようにして学べばいいのでしょうか?
レッドベター
信頼できる先生に見てもらうのがベストだと思うよ。たぶん、あなたは信頼できる先生をどうやって見つけるかを聞きたいだろうが、それは確かに難しいことだ。しかし、よい先生に恵まれない場合でも、いくつかの方法はあると思う。たとえば、テレビでプロのアドレスを見て参考にするのもいいだろう。いろいろな立ち方をしているように見えるかもしれないが、セオリーとなるものは、それほど変わらないものなんだ。
ー今日は貴重な時間を割いていただいて、どうもありがとうございました。
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