米ツアー初優勝を飾った古江彩佳の強さの根っこにあるもの
ボギーフリーの10バーディで4打差大逆転!
米ツアーのトラスト・ゴルフ・スコットランド女子オープンで優勝した古江彩佳
6連続バーディを出しても沈着冷静。古江彩佳が、自分のスタイルを貫き通して優勝を手にした。全英女子オープン直前のトラスト・ゴルフ・スコットランド女子オープンは欧米の強豪が集い、メジャーにつなげようとプレーする大激戦。その最終日に10アンダーを叩き出して米ツアー初優勝を飾った古江だが、いつもと同じように淡々とプレーするプレースタイルの強さを周囲に見せつけた。
写真/Getty Images
リンクスでも自分のプレーに集中
常にプレーに集中している。拍手には小さく片手を挙げて応え、合間には白い歯を見せるが、スコアの良しあしにはほとんど表情を変えない。そんな古江の強さが、欧米の強豪相手に光った一戦だった。
シーズン最後のメジャー、全英女子オープンを翌週に控え、欧米の強豪が居並ぶ前哨戦。比較的、穏やかな天候だったとはいえ、リンクスらしい表情も見せたコースで、古江は自分を貫いた。
日本ツアーでも経験のない6連続バーディにも「気づいたらバーディ取れてたと思う感じだった」というほど、プレーに集中。「いつミスするんだろう?」という気持ちをネガティブなものにせず、いいショット、いいパットにつなげて見せた。
改めて確認するが、今年が米ツアーのルーキーシーズン。滝川二高3年だった2019年に、アマチュアとして日本ツアーの富士通レディースに優勝してプロになり、日本でも2020―2021のロングシーズンが、ルーキーイヤーだった。ここで6勝して稲見萌寧と賞金女王を争い、直後に米ツアーQTを突破。今季はそこでのプレーに全力を注いでいる。
安定した粘り強いゴルフで、9試合連続予選通過で順調に滑り出した2022年。下位でも腐らず、あきらめることのないプレーがここにつながっている。
マッチプレーで決勝まで進み、2位となったものの、全米女子オープン、全米女子プロの2つのメジャーでは予選落ちを喫した。だが、飄々とプレーを続けて、先週のメジャー、アムンディエビアンチャンピオンシップでは初日首位発進。最終的には19位タイに終わったが、それを今大会につなげた。
象徴的なのが「まさかルーキーイヤーに勝てるとは思わなかったので本当にうれしい」という言葉。早急に結果を求めるメディアをはじめとする周囲に振り回されることなく、自分をしっかり持って一歩、一歩歩んでいることが伝わってくる。
決して優勝を狙わないわけではない。だが、1打に集中して分析することはしても、その結果に一喜一憂しすぎない。わかってはいてもなかなかできないことを、古江は常にしているように見える。しっかりと自分を持っていなければ、なかなかできることではない。
最終日、同じスコアから1つ後ろの組でプレーしていて5位タイに終わった畑岡奈紗に祝福された。この時の言葉が印象的だ。「すごくうれしかった。プレーを続けて彼女の優勝(6勝)に追いつきたい」と、尊敬を込めて口にしたのは、まさに本音に違いない。2016年日本女子オープンに高校3年生のアマチュアで優勝し、すぐにプロとなった畑岡は、デビュー戦こそ日本だったが、翌2017年からすぐに主戦場を米国に移し、勝ち星を積み上げている。畑岡の6勝目となったDIOインプラントLAオープンには古江も出場しており、そのすごさは時間している。畑岡の背中を追うようにプレーして、勝利を重ねていく。そんな決意もにじみ出した初優勝となった。
次週は全英女子オープン。シーズン最後のメジャーでも、古江はいつものようにプレーして見せるに違いない。周囲の期待に振り回され過ぎることなく…。
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