ゴルフ業界人でも勘違いしている人が多い!R&Aってどんな組織?
R&Aをロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブ・オブ・セントアンドリュースの略と思っていませんか?
『R&A』が主催する全英オープン
『R&A』は全英オープンや全英女子オープンに加えて、イギリスの各アマチュア選手権を主催する団体であり、全米ゴルフ協会(USGA)とともにゴルフ規則を統括し、イギリスの国内外でゴルフの普及・推進活動を行う団体です。
一方の「ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブ・オブ・セントアンドリュース(以下、『R&Aゴルフクラブ』)」は、1754年にセントアンドリュースに設立されたゴルフの愛好家が集まるプライベートクラブです。
(写真/R&A)
2004年から別組織に!
先に挙げた現在の『R&A』が権限を有する事業・活動は、もともと『R&Aゴルフクラブ』が担っていましたが、同クラブは2004年にR&Aを設立し、権限を委譲したのです。
『R&A』のオフィシャルサイトにある「アバウト・ザ・R&A」のページには、『R&Aゴルフクラブ』について、「2004年には大規模な組織再編が行われ、クラブはこれらの活動(注:前述の3つの活動)を『R&A』として知られるグループ会社に委譲し、それぞれ担当する業務を分けた」と説明しています。
一方、『R&Aゴルフクラブ』の活動目的には、「メンバーのためのクラブであること」「“ゴルフの故郷”セントアンドリュースの価値を維持すること」「ゴルフに関する歴史的資料が遺物を収集、保存すること」といったことが掲げられています。
日本ではいまだに誤解されている
フリーでアクセスできるインターネット百科事典の「ウィキペディア」で『R&A』を調べると、英語版では、冒頭に、「Not to be confused with The Royal and Ancient Golf Club of St Andrews」、つまり「ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブ・オブ・セントアンドリュースと混同しないように!」と注意書きがあります。
ところが、日本語版では、「ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフ・クラブ・オブ・セント・アンドリュース(Royal and Ancient Golf Club of St Andrews)は、ゴルフ競技の世界的な総本山として知られるイギリス連合王国・スコットランド国・セント・アンドルーズに本部があるゴルフ組織である。通常はR&Aと略される」と説明されています。
ネット記事だけではありません。大手新聞のなかにもいまだに「R&A(ロイヤル・アンド・エンシェント・クラブ)」と表記する社があります。ちなみに、ゴルフ専門メディアの『R&A』の記載は、「R&A(全英ゴルフ協会)」、あるいは少し長いのですが、「全英オープンなどを主催するR&A」となっています。
また、日本ゴルフツアー機構のホームページで最近紹介されたR&Aに関する記事では、「全英オープンを主催する英国ゴルフ協会(R&A)」と記載されています。
『R&A』設立の背景
2004年当時、『R&Aゴルフクラブ』は「メンズ・クラブ」という創設からの伝統を守り、女性の入会は認めていませんでした(2014年に会則を変更し、女性の入会を認めた)。ところが、同様に女性会員のいなかったオーガスタ・ナショナルGCは2002年に女性団体から女性の入会を求められ、それを断ると激しい抗議運動を受けることになりました。
抗議運動はマスターズのテレビ中継のCM企業(クラブの長年のスポンサーでもある)に及ぶと、オーガスタ・ナショナルGCは2003年大会をCMなしで中継するという、前代未聞の事態にまで発展しました。その影響はすぐにイギリスにも及び、女性活動団体が『R&Aゴルフクラブ』に女性の入会を求め、声を挙げ始めました。
オーガスタ・ナショナルGCも、『R&Aゴルフクラブ』も、基本はプライベートクラブ。ですから、クラブの会則はメンバーの総意によって決められます。社会的に可笑しな会則でも、メンバーの多数が承認しなければ変えられません。
しかし、『R&Aゴルフクラブ』は「ゴルフの総本山」とも呼ばれ、「ゴルフ規則の統括」など“公的活動”も担うクラブです。プライベートクラブの域を超えています。それがメンズ・オンリー・クラブでは、非難されて当然でしょう。
『R&Aゴルフクラブ』が別途『R&A』を設立し、公的な権限を委譲したのは、こうした社会的・時代的背景があったようです。
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小関洋一
出版社、編集プロダクションを経て、フリーランスのライターに。テレビ誌・トレンド誌などで、主にスポーツに関する記事を執筆。テレビ、ラジオのスポーツ番組の構成も手掛ける。現在はゴルフ誌を中心に内外の最新トレンドを伝えたり、ゴルフ場のレポートを担当している。東京ゴルフ倶楽部の年史製作に携わっており、ゴルフ史に関する執筆機会も多い。
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