3年ぶりに日本で開催した米女子ツアー!永井花奈、上田桃子が盛り上げるもあと一歩届かず
TOTOジャパンクラシックで米ツアーから参戦のジェマ・ドライバーグが優勝。永井花奈が2位と健闘
日本で開催された米女子ツアーの一戦、TOTOジャパンクラシック。永井花奈、上田桃子ら日本勢も大いに健闘したが、頂点に立ったのは日本では無名のジェマ・ドライバーグ(スコットランド)だった。
撮影/相田克己
スコットランド生まれの29歳が米女子ツアー初優勝を飾る
見事な“初優勝”だった。
通常、初めての優勝が目の前にちらつくと落ち着かないゴルフになるものだが、ジェマ・ドライバーグは違った。
最終日は、トップの上田桃子と1打差の2位からスタート。7番でこの日2つ目のバーディを奪ってトップに並び、9番で上田が落とし単独首位に躍り出る。さらに、この日5つしかバーディが出なかった難関11番でバーディを取りスコアを16アンダーまで伸ばすと、13番からは圧巻の3連続バーディ。最終18番でもこの日7つ目のバーディを奪い、終わってみれば2位と4打差の20アンダーで頂点に立った。
スコットランド生まれの29歳。「米女子ツアーで勝ちたい」という夢を実現するため、弱冠15歳で渡米。IMGアカデミーで研鑽を積んで、大学卒業後の15年、22歳でプロ入りを果たしたというしっかりした考えの持ち主。
その後、なかなか芽が出なかったが、勝利を目指して努力を重ね、今年ようやくフル参戦が叶った。
“スーパーいい人”ドライバーグに日本のファンも魅了される
しかし、今季もトップ10入りは1回と成績を残せず。そして迎えた日本での米女子ツアー。1日目は1アンダー30位タイと静かな出だしとなったが、2日目に5つ縮めて8位タイに浮上。3日目、最終日はともに7アンダーと2日目以降はほぼ完璧なゴルフを披露した。
緻密なマネージメントと安定したショットなど、未勝利選手とは思えないプレーを展開したドライバーグだが、中でも素晴らしかったのがパッティング。初日31パット、2日目30パットと不調だったが、予選ラウンド終了後、方向性が悪いことに気がつき、狙いどころをしっかり意識することに集中。それが功を奏し、3日目、最終日とも25パットで収め、勝利をたぐり寄せた。
しかし本人は勝因について、「すべてのホールでギャラリーの皆さんに囲まれてとても幸せだったし、心強かった。おかげで私も楽しくプレーできた」と、自らの技術よりもギャラリーの声援を第一に。さらに、「同組でプレーした日本の選手のマナーの良さにも感激した。おかげで、素晴らしいプレーを披露できました」とも。
JLPGAのHPには、USLPGA広報担当談として、「彼女は、スーパーいい人です」という記載があったが、日本のファンもその人柄に魅せられた部分もあったのだろう。
「いい人過ぎると勝てない」といわれる勝負の世界だが、彼女にはその定説を覆す活躍を期待したい。
トップには届かなかったが猛チャージでギャラリーを沸かせた永井花奈
ドライバーグが勝利に向かって我が道を淡々と進む中で、必死に抵抗をみせたのが永井花奈だった。
1日目に4アンダーで6位タイに入ると、2日目以降もトップ10をキープ。9アンダー9位タイからスタートした最終日は、ドライバーグよりも1つ多い8バーディ(1ボギー)を奪って単独2位に輝いた。
ルーキーイヤーの2017年から3年間守ってきたシード権を、2020-21年シーズンに手放し、今季は“再起”を懸けて臨んでいた永井。トップ10に4度入るなど、復調の兆しもみられたが、大会前は2週続けて予選落ち。しかもそのうちの1つは、2017年に初優勝を飾った樋口久子三菱電機レディスとあって、大会前の注目度は高くはなかったが、4日間安定したゴルフを展開。ドライバーグがあまりにも素晴らしいプレーをしたために最後まで差は縮まらなかったものの、その追い上げは見事だった。
試合後、「14番のパッティング前に、ペットボトルに付いていたおみくじを開けたら“大大吉”が出たんです。あれで乗っていけました」というエピソードを紹介してくれた彼女。メルセデス・ランキングも22位に上がり、シード権もほぼ確定。
目指すは、5年ぶりとなる2度目の優勝。大大吉が今季の残り試合はもちろん、来季も続くことを祈りたい。
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悔しい敗戦を喫した上田桃子。しかし、まだまだ世界に通用することを証明
その一方で、この大会、最も悔しい思いをしたのが上田桃子だった。
永井同様、大会前の2試合は予選落ち。しかしこの大会は、開催コースが違うとはいえ、日本人選手では唯一複数回優勝(2007、2011年)している上田だけに、「何かが起きるかも」という期待はあった。
その期待通り、1日目から3日目までトップをキープ(1日目はトップタイ)。
最終日は、完全優勝を狙ってスタートしたが、3バーディ、3ボギー、1ダブルボギーと、スコアを伸ばすどころか2つスコアを落とし、通算12アンダーで5位に沈んだ。
この日は、得意なはずのパットが不調。「6、7、8番はバーディーが取れた」と本人が振り返るように、決めるべきところを決められずにドライバーグに追いつかれ、そのフラストレーションが溜まったのか、3打目のバンカーショットを逆サイドのバンカーに入れてしまい痛恨のダブルボギー。この時点で4打差を付けられてしまった。
試合後、「ゴルフは何があるか分からないので、もう少し食らいついていけていれば」と自らを責めたが、12番以降は、技術的にも精神的にも負のスパイラルに迷い込んでしまったのだろう。
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