5番アイアンの飛距離|初心者男性・女性・プロはどれくらい飛ぶ?
あなたの5番アイアンの飛距離はどれくらいですか?160ヤード?それとも180ヤード?
ゴルフは飛距離がすべてではありませんが、飛んだほうが有利なのは確かなこと。そのせいか5番アイアンで180ヤード飛ばそうと躍起になっている初心者をよく見かけます。
そこでこの記事では5番アイアンの飛距離についていろいろとお話しします。ぜひあなたのラウンドに役立ててください。
5番アイアンで狙う飛距離は180ヤードや200ヤード?
5番アイアンの飛距離は一般的なアマチュアゴルファーの場合、キャリーで男性は160ヤード、女性は110ヤードといわれます。
世間で“一般的”がどの程度のレベルを指しているのかが不明なので、上記の数値も信憑性が高いとはいえません。日本ツアーの男子シード選手がおよそキャリーで200ヤード飛ばすといわれているので、その数値を大まかな目安にした場合の飛距離データだと思われます。
100以上打つことはあまりないという中級者レベルの人でも、キャリー170ヤード打てる人はそう多くはありません。
それにそもそもいまのアイアンセットは5番アイアンが含まれておらず、単品での購入が一般的となっています。そのため、初心者や初級者は5番アイアンを持っていない方が多いかもしれません。
仮にバッグに入っているなら、キャリー150~160ヤード打てれば何も問題ありません。
5番アイアンの平均飛距離【目安】
ここでは5番アイアンの平均飛距離がどの程度なのかについてお話しします。
ここで紹介する数値が絶対ではないため、参考や目安程度にしてもらえればOK。それを踏まえたうえでご一読ください。
- キャリーの距離か、ランを含む距離か
- 5番アイアンの平均飛距離【一般男性・女性・プロ】
キャリーの距離か、ランを含む距離か
5番アイアンに限らず、飛距離といったらふつうはキャリーです。ランを含んだ場合は「トータルで○○ヤード」とか「総飛距離は○○ヤード」といいます。
ボールの着弾地点が下り傾斜なら、ボールはかなりコロがるので、相当な飛距離になります。逆に上り傾斜ならあまりランが出ません。
もちろん風の影響でキャリーの飛距離も変わりますが、カート道路にボールが跳ねて、止まった地点が300ヤード先だった場合、「ボクは300ヤード飛ぶ」という人はまずいないでしょう。それと同じです。
5番アイアンの平均飛距離【一般男性・女性・プロ】
プレーヤー | 5Iの平均飛距離(キャリー) | 5Iの平均飛距離(ランを含む) |
---|---|---|
一般男性 | 130〜170ヤード | 140〜180ヤード |
一般女性 | 70〜110ヤード | 80〜120ヤード |
男子プロ | 200ヤード前後 | 200ヤード前後 |
女子プロ | 170ヤード前後 | 170ヤード前後 |
上記の表はプレーヤー別5番アイアンの平均飛距離です。平均といっても一般男女にはかなりの幅があります。
レベルも、クラブも、ボールも、ヘッドスピードも違うふつうのアマチュアゴルファーの平均はかなり幅があります。前述したように、そもそも5番アイアンを持っていない人も多いのでなおさらです。
したがって平均というより“これくらいの範囲の人が多い”というニュアンスで見てもらうほうがいいでしょう。
5番アイアンの飛距離はマッスルバック・キャビティ・中空で変わる?
一般的にアイアンは3つのタイプがあり、それぞれマッスルバックアイアン、キャビティバックアイアン、中空構造アイアンと呼ばれています。
この3タイプは設計や特性に違いがあるため、5番アイアンにおける打ちやすさはもちろん、飛距離にも違いがでます。
下記に各タイプの主な特性と飛距離への影響をお話しします。
- マッスルバックアイアン
- キャビティバックアイアン
- 中空構造アイアン
マッスルバックアイアン
マッスルバックアイアンは、ヘッドが小ぶりでシャープなデザインになっていることが多く、主に上級者向けに設計されています。そのためスイングの正確さが必要といえます。
ヘッドが小さく、重心位置が高いため、スイートスポットで正確にボールをヒットできないと飛距離が大きく落ちてしまいます。その反面、うまく打てると任意にボールをコントロールしやすく、いろいろな弾道を打ち分けられます。
マッスルバックアイアンは、飛距離よりも方向性を重視する上級者に適しています。また、打感にこだわる人にもおすすめです。
キャビティバックアイアン
キャビティバックアイアンは、ヘッドの後方が窪んでいて、スイートスポットが広い設計になっています。初心者から中・上級者まで、多くの人に適したタイプです。
マッスルバックに比べてヘッドがやや大きく、重心位置が低いため、スイートスポットが広くなっています。そのためミスヒットしても飛距離が落ちにくく比較的安定した飛距離を得られます。
キャビティバックアイアンは、安定した飛距離とミスヒットへの寛容性が高いため、初級者から上級者まで幅広いプレーヤーにおすすめです。
中空構造アイアン
中空構造アイアンは、ヘッドの内部が中空になっていて、ソールが厚く、重心位置がかなり低く設計されています。また、キャビティバックよりもヘッドが大きめで、ミスヒットに強いといえます。
中空構造+低重心設計によって、キャビティバックよりもボールが高く上がり、比較的容易に飛距離を得られるようになっています。また、ヘッドも大きめなのでミスへの寛容性がとても高く、最も飛距離がでるタイプといえます。
中空構造アイアンは、高弾道によるビッグキャリーが手に入るため、飛距離を重視するすべてのレベルのプレーヤーにおすすめです。
5番アイアンが難しいといわれる理由
ここでは打つのが難しく、飛距離が出にくいといわれる5番アイアンが難しい理由をお話ししましょう。
もしあなたが5番アイアン購入を検討しているならば、一読後、再考するほうがいいかもしれません。あとで後悔しないためにも…。
- クラブのレングスが長いのでミートしにくい
- ハイブリッドに比べてソール幅が狭い
- ショートウッドよりヘッドが小さい
- 飛び系アイアンはロフト角が少ない
クラブのレングスが長いのでミートしにくい
打つのが難しいといわれる理由その1は、クラブのレングスが長いからです。
タイプにもよりますが、飛び系といわれるアイアンの5番は38.5インチほどの長さがあります。コンベンショナルなタイプでも38インチがスタンダードです。
7番だと37.25インチや37インチになるので、かなりの差があります。ショートアイアンでもジャストミートできない初心者が、レングスの長い5番でジャストミートできるわけがありません。
ハイブリッドに比べてソール幅が狭い
打つのが難しいといわれる理由その2は、ハイブリッドに比べてソールの幅が狭いからです。
マッスルバックなどは別ですが、初心者や初級者、女性が使う一般的な飛び系アイアンのソール幅は決して狭くありません。
ただハイブリッドに比べると狭く、そのぶん打つのが難しいといえます。狭いほうがボールが上がりにくかったり、ソールが滑りにくかったりするので、ミスに対する許容範囲が小さいのです。
ショートウッドよりヘッドが小さい
打つのが難しいといわれる理由その3は、ショートウッドよりもヘッドの大きさが小さいからです。
5番アイアンのヘッドの大きさは、アイアンセット全体から見れば特に小さいわけではありません。
しかし同じロフト角のショートウッドと比べたらヘッドが小さいといえます。小さいほうがミートしにくいうえ、一般的に構えたときの安心感も小さくなります。
飛び系アイアンはロフト角が少ない
打つのが難しいといわれる理由その4は、ロフト角が少ないからです。
飛び系といわれる5番アイアンのロフト角は21度ほどのものが多く、この角度はコンベンショナルなアイアンの4番相当です。
アイアンに限らず、ロフト角が少なくなるとボールが上がらないだけでなく、つかまりも悪くなります。一概にはいえませんが、つかまえる技術がないと右へ飛ぶことが多くなるかもしれません。
5番アイアンで狙った飛距離が出る打ち方のポイント
やさしいといわれるアイアンを使っていても、初心者にとって5番アイアンは打つのが難しいクラブです。
そこでうまく打つためのポイントをここで紹介します。ミスが多くて…と悩んでいる人はぜひ試してください。
- アームローテーションを必ず行う
- ツーナックル見えるスクエアグリップで握る
- ボールを少しだけ左足寄りに置く
- ダウンスイングを下半身から始める
アームローテーションを必ず行う
-
ダウンスイングでは左手甲が、フォローでは右手甲が正面を向くように振る
-
5番アイアンをうまく打つポイントその1は、アームローテーションを必ず行うことです。
ロフト角が少ない5番アイアンはショートアイアンなどに比べてボールのつかまりがよくありません。そのためダウンスイングからフォロースルーにかけてきちんとアームローテーションを行ってフェースターンを発生させ、ボールをつかまえる必要があります。
ツーナックル見えるスクエアグリップで握る
自分から見てツーナックル見えるようにグリップする
5番アイアンをうまく打つポイントその2は、自分から見て左手の拳がふたつ見えるスクエアグリップで握ることです。
アームローテーションを行ってスイングする場合、ストロンググリップだとフェースローテーションの度合いが大きくなりすぎて、左へのヒッカケを多発することがあります。
それを防ぐためにもスクエアグリップで握ることが大切です。
ボールを少しだけ左足寄りに置く
スタンス中央ではなく1個分左に置く
5番アイアンをうまく打つポイントその3は、ボールを少しだけ左足寄りに置くことです。
初心者はスタンスの中央にボールを置く傾向があります。インサイドからクラブを下ろすことができて、ボールをつかまえられるならその位置でも構いません。
しかしできない人はスタンス中央からボール1個程度左足寄りに置いたほうが無難です。この位置ならボールのつかまりがよくなります。
ダウンスイングを下半身から始める
半身リードで切り返すことが大切
5番アイアンをうまく打つポイントその4は、ダウンスイングを必ず下半身から始めることです。
ほとんどの初心者はダウンスイングを手や腕で始めます。こうなるとスイングの軌道がアウトサイド・インになりやすく、ボールのつかまりに悪影響がでます。
確実にボールをつかまえるにはダウンスイングを下半身から始めて、インサイドからクラブを下ろす必要があります。
5番アイアンで飛距離が出ない原因と見直しポイント
初心者にとって5番アイアンは簡単に打てるクラブではないため「飛距離が出ない…」と悩んでいる人もいるはず。そこでここでは少しでも飛距離を伸ばすためのポイントをお話ししましょう。
- 右手首の角度をキープしてダウンスイングする
- 下半身リードのダウンスイングを身につける
- アームローテーションを使ってスイングする
右手首の角度をキープしてダウンスイングする
右手首の角度をキープしてダウンスイング
5番アイアンの飛距離がでない原因その1は、ダウンブローでボールを打てないからです。
アイアンに限らず、地面にあるボールは最下点の手前でヒットする=ダウンブローで打つことがゴルフの基本中の基本です。
これができないとなると、ダフって打っているということになります。ダフれば当然、地面の抵抗を受けるためボールは飛ばなくなります。
ダウンブローに打つポイントはいくつかありますが、初心者にもっとも多く見られるのが切り返し後、すぐにタメが解ける動きです。
解けるとヘッドはボールの手前に落ちてしまい、ダウンブローにはなりません。防ぐためにはダウンスイング中に右手首の角度をキープする意識をもちましょう。
下半身リードのダウンスイングを身につける
腰を回すなど、下半身リードでスイングする
5番アイアンの飛距離がでない原因その2は、下半身リードのスイングができないからです。
アイアンに限らず、ゴルフスイングは下半身リードが基本です。これができないと、切り返しを手や腕で始めてしまい、スイングの軌道が理想とはかけ離れます。
また右足から左足へのウェートシフトも行われず、やはりスイングの軌道がオンプレーンとはほど遠いものになります。これでは飛距離がでないのは当然。そればかりかミスヒットばかりになりかねません。
左足の踏み込みから始める。腰を回すことから始める。リードの方法はどれでもかまいません。とにかく、切り返しは下半身から始めるようにしましょう。
アームローテーションを使ってスイングする
-
バックスイングは時計回り、ダウンスイングは反時計回り
-
5番アイアンの飛距離がでない原因その3は、アームローテーションを使ったスイングができないからです。
パターを除くすべてのクラブは、スイング中にアームローテーションを使うことが基本です。これができないと、フェースローテーション(フェースターン)が起こらないため、ボールをつかまえることができません。
ボールをつかまえることができないと、ボールに伝わる力が小さくなるので、当然、飛距離を出すことはできません。
両腕のヒジから先を、バックスイングでは時計回りに、ダウンスイング以降では反時計回りに回転させるように気をつけましょう。これがアームローテーションのポイントです。
5番アイアンの代わりにユーティリティを使う選択肢も
前記したような理由から、初心者や女性にとって5番アイアンはやさしいとは言えない番手です。身のまわりに5番アイアンをセッティングに入れている人がいても、真似をする必要はまったくありません。
5番アイアンを打つ技術と理由がある人は別ですが、そうでないならアイアンは6番、もしくは7番からで充分です。
番手の構成上、5番アイアン相当のロフト角をもったクラブが必要なら、迷わずにユーティリティを加えましょう。ユーティリティは5番アイアンに比べると、ミスヒットに対する許容範囲が広いため、5番アイアンよりもやさしいクラブといえるでしょう。
またアイアンよりも低重心かつ深重心になっているため、ヘッドスピードがあまり速くなくても高弾道ショットが打ちやすいでしょう。
レングスもアイアンより長いため、ヘッドスピードが増す可能性がアップし、その結果、飛距離アップも望めるでしょう。
【参考】5番アイアンとユーティリティの飛距離
クラブ | 男性 | 女性 |
---|---|---|
5I | 160〜180ヤード | 100〜120ヤード |
3UT | 180〜200ヤード | 125〜145ヤード |
4UT | 170〜190ヤード | 120〜140ヤード |
5UT | 160〜180ヤード | 110〜130ヤード |
6UT | 150〜170ヤード | 100〜120ヤード |
※男性/HS38〜42m/s、女性/HS28〜32m/s
上記の表は一般的な男女アマチュアゴルファーの5番アイアンとユーティリティの飛距離の目安です。
これまでにもお話ししましたが、年齢、体格、ゴルフのレベル、使っているクラブ、使っているボール等が違うため、表で記した数値はあくまでも参考値です。したがってこれ以上飛んでも、飛ばなくても、まったく気にする必要はありません。
まわりに比べて飛んでないと感じるなら、ティーチングプロにレッスンをしてもらうとかスクールに通うなど、スイングを見直しましょう。それが飛距離アップの近道です。
スイングを二の次にして、飛ぶと評判の道具に飛びつくアマチュアはとても多いものです。しかし、スイングがそれなりに整っていないと、いくら性能の高いクラブを使っても意味がありません。宝の持ち腐れになるだけです。
5番アイアンの平均飛距離や目安をおさらい
5番アイアンの飛距離についていろいろとお話をしてきました。初心者や女性にとって、この番手はやさしいものではなく、飛ぶ番手でもありません。ある程度使えるようになるには、それなりの技術が必要です。
ですので、別売されている5番アイアンを購入しなくてはいけないという訳ではなく、ユーティリティもオススメです。今の自分に合ったゴルフクラブを選ぶ方が、あなたのゴルフライフは間違いなく楽しくなるでしょう。
■解説者プロフィール
宮川岳也(みやかわ たけや)
USGTFティーチングプロ。埼玉県の練習場でレッスンを行うとともに、フリーランスのゴルフライターとしても活動している。