日本で"アメリカンなコース"が増えないのはなぜ?時代の変化とともに生き残り続けるゴルフ場の裏表
ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第68回
ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。
写真提供/篠原嗣典
ゴルファーファーストという幻想と現実を見極めろ!
「ゴルフ人口増加には、ゴルフ場の変革が不可欠である!」という主張は、バブルが弾けゴルファーが激減して以降、何百回も耳にしました。
ゴルフコースは、お客様が来るのを待つビジネスモデルです。立地条件が良ければ、ただそれだけでも十分にビジネスは成り立ちます。地方などでは、そういう地域密着のビジネスで生き残ったコースがたくさんあります。
しかし、全国のゴルフコースの約半分が集中していてゴルファーの6割以上が住んでいるとされる東京を中心とした関東では、そんなコースは一握りです。自宅から100キロ以上離れているのは当たり前で、車で片道2時間以内なら許容範囲というエリアに、7割を越えるコースがあるのです。
待つだけではそれらのコースは次々に経営破綻して、山河に戻る運命でした。
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生き残ってきたゴルフ場とは
そもそも昭和からバブル期までの時代は、過剰ともいえるサービスを積み重ねて、値上げを繰り返したのです。それでもゴルファーの数が多かったので、ゴルフコースは満員御礼でした。コース利用者の多くは社用族で、経費でゴルフをしていました。自分の財布が痛まないので、コスト感覚も狂っていたのだといえます。
ゴルフコースの過剰なサービスを廃止し、経営をスリム化して生き残りを模索したのが平成のゴルフシーンです。休日に5万円払ってプレーしたコースが段階的に値下げをして、5千円でプレーが可能になるという嘘のような話が現実になるのに四半世紀かかりました。
その期間、ゴルフを続けた生き証人の一人として断言できることは、立地条件が悪いコースほど、ゴルファーファーストで改革をし続けて生き残ってきたという現実です。
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