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日本で"アメリカンなコース"が増えないのはなぜ?時代の変化とともに生き残り続けるゴルフ場の裏表

ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第68回

2023/05/13 ゴルフサプリ編集部 篠原嗣典

アメリカンなゴルフコースって平成のトレンドでもう古い?

プレー代の値下げが進んでいく中で、合言葉のように使われたのが『アメリカンなコース』『アメリカタイプのコース』でした。これほど曖昧でいい加減な言葉はないという感じで、広い意味で使われました。

アメリカのゴルフコースの数は世界一で、日本の約8倍の1万6千コースです。日本ではあり得ないようなコースも含めて、様々なコースがあります。

『アメリカのゴルフコース』とは
● 多くのコースにクラブハウスがない
● 簡易なスタート小屋で受付するシステムで、スタッフの数も最小限
● 無人販売所のように、お金を入れる箱だけがあるコースもある

最初に『アメリカン』を使った人は、日本のゴルフコースももっと簡易なシステムと最小限のスタッフで運営してもいいじゃないか、と考えたのだと推測できます。最小限のスタッフについては、どのゴルフコースも努力して達成しました。

しかし簡易なシステムは、絶対的な壁があって実現が難しいのです。ゴルフ場規模になると、勝手に開発することが法律で禁止されているので、行政の許可を取ってコースは造られます。

完成後のゴルフコースには、プレーごとにゴルフ利用税が発生しますが、この利用税の額は開発の規模とクラブハウスの大きさや施設のグレードで決められるのです。クラブハウスなしで運営できるのは、仮オープン期間限定で、期日までにクラブハウスができない場合は閉鎖まで含めた罰則があります。法律が変わらない限り、簡易なシステムには限界があるのです。

平成時代のスローガン的な用語が、『アメリカンなゴルフコース』です。今では業界内にやれることはやった感があるので、あまり使われません。

ゴルフコースも多様性の時代に! 令和らしいゴルフコースってあるの?

キャディバッグ

昨年から巷では、あらゆるものの価格が次々と値上げされて話題になっています。四半世紀にわたって、値下げを続けてきたゴルフコースも例外ではありません。1割から2割ぐらいの値上げはやむを得ないと決断して、実行したコースがたくさんあります。値上げ後も来場者数は変わらない、という安堵の声も聞きましたし、シビアに来場者が減ったと嘆く声も聞きました。

「若い新規ゴルファーってもう、減ってきているよね」
高級に分類されるゴルフコースのスタッフがそう言うので、「僕はむしろ増えている感じがしています」と話しました。お互いに経験した感覚で、そのように思ったのです。

ゴルファーは、コストパフォーマンスに敏感です。高級コースにも行ってみたうえでコスパが合わない、と判断することもあります。オールドゴルファーと比較しても雰囲気に流されずにバシッと決断できることは、若いゴルファーの特徴かもしれません。

コースもゴルファーも違っていていい

多様なゴルファーが存在していて、自分に合うコースを探す旅を続けているのが令和のゴルフシーンだと思っています。みんな同じでなく、違っていていいのです。コースも同じですし、ゴルファーも同じです。

アメリカのチープなプレー代のコースは、管理も最低限です。日本の場合は、最低限のレベルが全く違います。高級なコースが油断すれば負けてしまうほど、メンテナンスが優れている安価なプレー代のコースがたくさんあるのです。

令和の時代に合ったゴルフコースは、これからどんどん増えていくのだと思います。今のゴルファーたちが求めるシステムやコスパを自然に取り入れて、それは多様に完成していくはずです。

僕らは生き証人であり、同時に改革に参加するゴルファーなのです。

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篠原嗣典

篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。


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