ブレード型の見本として、詳細に作り込んだのが、YP-101 パター!

ヤマハは、「YP-101 パター」を2023年6月16日に発売した。

このパターは、特別である。特別に面白い。開発コンセプトは「Back to the Basic」という、特別感がわかりやすいものになっている。基本の基本に立ち返ることは、メーカーとしてのプライドと実力が伴わなければできない。書くまでもないが、ヤマハは単なる楽器メーカーではなく、エンジンや船舶など、高い工業力を誇っているメイドインジャパンの担い手の代表なのである。

そしてロが勝つためのハウツーも蓄積していると考えられる。つまり、技術力だけではなく、プロのこだわりも形になっている可能性があるのだ。

改めて、ヤマハがブレード型にこだわって作り上げたのが「YP-101 パター」だ。現在においてブレード型のパターは、パターの代表的な基本形である。その誕生から約半世紀が経っても、その形状をほとんど変えずに使用されているのはある意味で奇跡と言える。

さて、ではいよいよコースで打ってみよう

「YP-101 パター」は、3面ソールを採用している。通称”船底”と呼ばれるブレード型のパターの名器でも採用されている形状で、こだわりがあるファンは多い。

感心するのは重心の位置だ。ブレード型の重心の位置が話題になることは少ないが、シャフトの軸線からの微妙な距離の差でヘッドのターンのしやすさが大きく変わるので、実はこだわりを持っているプロや名人がいる。このパターは、意図的に少し軸線と重心を離してある。

フェース面のミーリングの深さは、なんと0.03ミリ。これは、初見でも目立つポイントである。美しく、真っ直ぐに打てそうな気持ちにさせる。実にシンプルだが、それこそが特別なのだ。

試打の当日のグリーンコンディションは、9.0フィート。ボールは、使い慣れていてクラブの影響だけに集中できるので「TOUR B X」を使用した。

美しさで魅了して、使ってみて感動させるのが「YP-101 パター」なのか?

「YP-101 パター」を打って、わかったことを挙げる。

● 打音:やや控えめの音量。音質は鞭系と硬質のミックスで心地良い。
● 方向性:直線に歪みがなく、合わせやすい。ヤマハカラーのサイトラインも良い。
● 距離感:軽めのパターが好きなら、タッチが出しやすく、差し引きなしで距離感を作れる。

最初に思ったことは、コストパフォーマンスの良さだ。ここまで詳細に丁寧に作られているのに、販売希望価格は3万円を切っている。同様の素材で同じレベルに仕上げたパターを有名ブランドが作ったら、この2倍以上、下手すると10倍の値段をつけると思う。まず、そういう分野ですこぶる嬉しい。

実際にコースで打ちながらも、美しいパターだと惚れ惚れした。そんなのは機能ではないという考え方もあるが、パターの場合、美しさは短いパットの方向性に影響を与えるというゴルファーは多い。僕はブレード型のパターが得意ではないが、それでも気持ち良くパットを楽しめた。その最大の理由は、美しさを楽しめたからだ。

「YP-101 パター」は、2023年の最先端のテクノロジーを搭載したパターではない。そういうパターと戦うパターではなくて、使う人を選ぶパターである。使い手の技術や技量を剥き出しにして、純度100%の結果を楽しむパターなのだ。

こんなゴルファーにオススメ

本当に良くできているのだけれど、一つだけ注意すべきは軽いことだ。現在の市場は重めのパターが圧倒的に多い。軽くてちゃんとしているパターは、珍しいのである。

軽いパター、それもブレードが好き、というゴルファーは、案外多いと思う。そういうゴルファーにオススメだ。所有欲が湧き出るパターでもある。1本持っているだけでジャパンプライドが満たされて、眺めながら一杯、なんていう至福の時間を過ごすことを想像してしまう。

パターは、パッティングのための道具であり、芸術品のような見方をするのは邪道だという考え方もある。その反面、パッティングには数字だけでは説明できない領域があることも、多くのゴルファーは知っている。パターに多様な種類があるのは、その証明だという。

「YP-101 パター」は、そんなふうに哲学的にパッティングを語りたくなるのだ。試打してつくづくそう考えてしまうほど、素敵なパターだったのである。




篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてでビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。


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