リュックに着替えを入れてコースに行くのは非常識?禁止しているコースもあるの?

ある30代の奥様ゴルファーからゴ、ルフのことで相談があると連絡がありました。

「リュックでゴルフコースに行くのはダメなんですか?」「カジュアルなものはダメだというのは知っているんです。私のはハイブランドのリュックで、カジュアルの正反対なんだから納得いかないんです」
千葉県にある某ゴルフ場で、彼女は帰りがけに支配人に呼び止められて小さな声で注意されたそうです。「今回は良しとして、次回からはそのリュックでのご来場は遠慮していただけると助かります」

彼女は、「超名門のコースの支配人が言うのなら仕方ないけれど、納得いかなくて、ゴルフをよく知っている人の意見が欲しいなぁと思ったのよ」と悔しそうに言うので、「ドレスコードなどで決まっているのなら、決まりに従う以外の選択肢はないですね」と答えました。

リュックはマナー違反、というのは根強く言われ続けています。しかし、探してみると明文化してドレスコードなどで禁止しているコースを見つけるのは大変困難です。

そのコースは「超名門」ではなくそれなりの歴史があり、高額なプレー代がかかる「高級コース」の1つです。早速電話をして確認をしてみました。

支配人の判断理由とは

ドレスコードでリュックを禁止しているわけではない、ということがわかりました。

支配人から次のような話を聞けました。
「あれはプ○○の高級なリュックでしたから、印象的で覚えています。小さいリュックで、500ccのペットボトルぐらいしか入らない大きさです。おそらく財布とスマホだけが入っているのだと思います。それ以外は手ぶらでいらっしゃったんですね。つまり、スパイクレスシューズとプレーできるゴルフウェアでご来場され、ロッカーで着替えることもお風呂に入ることも考えていらっしゃらないということです」

「少なくともシューズは履き替えてほしい、ということを紹介者のメンバー様にお伝えしました。ゴルファーとして、その場の雰囲気を守ってほしいという思いからです」

コース名を明かさなければこのやり取りを書いても良いか?と確認すると、快諾してくれました。支配人は自分の判断に絶対的な自信を持っているのです。それに、リュックを禁止しているというわけではないようです。

リュックはダメだという空気があるのが事実。それもかなり濃いのが現実

明文化している例は少なくとも、多くのコース関係者とゴルファーの共通認識として「リュックで荷物を持ち運ぶのは、ゴルフシーンではやめよう」という意識があります。そういう空気感がある、ともいえます。

カジュアルすぎて場違いな雰囲気があるから、としか説明ができません。それは、ジーンズとデニム素材が労働者を想起させるから相応しくない、というベクトルと同じライン上にあるからだという説明もありますが、理屈よりもやはり雰囲気なのです。

ゴルフコースでいいパフォーマンスを出すためには、クラブハウスなどで余計な神経を使わないことが大事です。個性を出しすぎて奇をてらうような行為は、多くの場合悪目立ちして結果としてストレスになるため、自分にとってもマイナスです。

空気を読んで雰囲気に合わせるのもゴルファーの腕前、もしくはセンスなのです。

ボストンバッグは和製英語!原則を知れば自由でいいのだ!

「ゴルフは、とにかくボストンバッグ!」という合言葉があります。底が長方形で、持ち手が2つある旅行かばんがボストンバッグで、ボストンの学生が重い辞書や資料を運ぶときに使っていたのが語源という説が有力です。

「ゴルフ以外では、ボストンバッグって使いませんよね?」と聞かれたことがありますが、旅行かばんですから、実は色々と活躍しています。そして、このボストンバッグというのは和製英語で、日本だけで使われています。

昭和50(1975)年前後に部活学生の間で大ブームになった「マジソンスクエアガーデン」のバッグが、ボストンバッグの始まりです。ほぼ同じ頃、スポーツメーカーがキャディバッグ、ヘッドカバー、シューズと着替えを持ち歩くバッグを同じ素材で、同じデザインで3点セットで売ろうと考えたのです。

瞬く間に3点セットが一流のキャディバッグの証になりました。セットになっている旅行かばんをボストンバッグと呼ぶようになったのも、この頃だったのです。

最後に

ボストンバッグの真実を知れば、伝統と呼ぶのにはあまりに拙い歴史だと理解できます。ボストンバッグがゴルフの王道、ではないのです。

「狭いロッカーにも入る旅行かばんであれば、なんでもOKだよ」とアドバイスしています。長方形の底と2個の持ち手という原則を守れば、選択肢は無限にあります。安いものも高級なものもあります。

お気に入りのボストンバッグを僕は持っています。何の迷いもなく、それを使ってゴルフに行きます。当たり前ですけれど、信頼できるお気に入りがあることはゴルファーとして幸せなことなのです。

篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。


ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】

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