ヘッドがスクエアな感覚のまま動き、どこで打ってもボールスピードが落ちない
3つのヘッドタイプからなる「Qi10」シリーズは「Qi10 MAX」「Qi10」「Qi10 LS」をラインナップ。中でも目玉は「Qi10 MAX」で、これまで8500~9000グラム・cm³の領域にあった慣性モーメント(以下MOI)がついに10000グラム・cm³の大台に乗り、テーラーメイドでは最大だった「ステルス2 HD」を大きく上回ったのみならず、ドライバーの常識を打ち破った。ということで、まずは最注目モデルの「Qi10 MAX」から打ってもらった。
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テーラーメイドのドライバーではあまり見られなかった投影面積が広く、ヘッド後方に長いヘッド形状。やさしそうな見た目である。
「Qi10 MAXの印象を一言でいうと“曲がらない不思議なクラブ”。MOIが10000台で重心深度が深く、総重量も311グラム(ヘッド重量198グラム)とスタンダード。とても主張が強いクラブなのですが、スイングしてみるとストレスがなく、スクエアな感覚のまま動き続けてくれます。特にインパクトに向かってクラブを下ろしてきた時に“ヘッド後方が垂れる”感じがなく、すんなりとアドレスの位置に戻ってくる。この感覚が何とも不思議なのです。でも、違和感があるわけではありません。ヘッドがブレにくいということですし、その重さでインパクト後に押す感じがあって当たり負けもしません。結果がいい方向に出る不思議さなので、すぐに慣れました。
※重さは編集部調べ
もう一つ特徴的だったのは、フェースのどこに当たってもボールスピード(初速)が落ちないこと。ヒールヒットでも初速65m/s前後を維持できていたのでフェースの上下でも打ってみたところ、すべて初速が同レベルに収まりました。スピン量も少なめなので、キャリーが出て飛距離も安定している。高初速エリアが広くなったことで曲がる原因が減ったことは明白で、これはアマチュアにとって大きなメリットになるでしょう」
打感・打音ともよくフェースの上下に当たってもほぼ変わらない
「ステルス2からの流れで言うとQi10 MAXはステルス2 HDの後継だと思いがちですが、インパクト時に球が滑る感じがなく、打ち出し角も確保できる。僕の場合、ステルス2では若干ボールを上げにいかないといけない感じがありましたが、Qi10 MAXはそうしなくても中弾道の球になります(試打クラブはロフト9度)。オフセンターヒットにも強いです。印象としてはステルス2 HDの後継というよりも、全く別モノだと言えますね。
こういった要素をひっくるめたフィーリングは今までにないものですが、打感と打音もいいです。ステルスから数えて3代目のカーボンウッドですが、その点でのマイナスは一つもない。フェースの上下に当たっても打感はほぼ変わらないので、その意味で言えば良化したといってもいいでしょう。
適正ヘッドスピードは40m/s以上あると振りやすいと思います。ウェイトがヒール寄りギリギリの位置に搭載されていて、前述したように慣れれば使いこなせる範囲です」
MOI領域10,000を実現した要素は、適度に深い重心位置、ヘッドの後方下部への拡張、そして重めのヘッド。ヘッドの後方はステルス2より8ミリ後方に伸び、前作より約10%のサイズアップでルールの上限に。その結果、ステルス2より20%、ステルス2 HDより16%慣性モーメントがアップしたという。また、ヘッド後方下部に30グラムのタングステンを装着、前方のチタンフレームとの相乗効果によって極限的な周辺重量配分を実現。ステルス2より高く、ステルス2 HDより遠くへ飛ばせるとメーカーは自信をうかがわせている。「Qi10 MAX」のロフトは9度、10.5度、12度の3種類だ。
ノーマルモデルの「Qi10」は40m/s前後なら誰でも振りやすい軽やかな振り感
次に打ってもらったのは、いわゆるノーマルモデルの「Qi10」。ヘッド後方部のバックウエイトは21グラム。サイズはステルス2より4ミリ後方に伸びている。
「ノーマルモデルのQi10の第一印象はバランスの良さです。ヘッドスピード40m/s前後の人なら誰でも振りやすいと感じるでしょう。特にQi10 MAXを打った後だと歴然で、人によっては物足りなさを感じるかもしれません。MOIの違いもあるのかQi10 MAXよりボールを押す感じが少ないものの、ボール初速はしっかり出ていて、こちらも初速65m/s前後をキープできていました。ヘッド重量がQi10 MAXと比べてやや軽い分、ヘッドがブレる感じは無きにしも非ずですが、ヘッドスピードは楽に出ます。打ち出しの低い球が出るのでランで飛距離を稼げそうです。試打クラブのロフトは9度なので、高めの弾道が欲しい人はロフトを調整する、あるいはロフトの多いヘッドをチョイスするといいでしょう。
インパクトで芯を外してもボール初速が落ちず曲がらないのはノーマルモデルも同じで、当たった時に滑る感じもなくボールがつかまるので、右に飛ぶ感じはありません。ステルス2のノーマルモデルより、さらに打ちやすくなっています」
ボール初速のアップと低スピン化はメーカーも標榜するところ。慣性モーメントの増大ともすると振りにくさをもたらすこともあるが、Qi10 MAX同様、それもなさそうだ。ロフトバリエーションはQi10 MAX同様9度、10.5度、12度となっている。
ボールがつかまった時の飛び方が「ステルス2 プラス」を凌ぐ「Qi10 LS」
最後は「Qi10 LS」。契約プロのテスト画像や発売前にR&Aの適合リストに登録されて話題となったのがこのモデルだ。
「Qi10 LSは、ローリー・マキロイなど契約選手がテストしていることからもわかる通り、テーラーメイドの真骨頂とも言えるツアーモデルです。Qi10 MAX、Qi10と見比べてみると一目瞭然で、ヘッドのシェイプが違う。コンパクトで明らかにボールを叩ける、“テーラーメイド通”受けする顔つきです。
逆に言うと、しっかり叩けないと手の内に収まらないかもしれません。正直、僕のヘッドスピードだと1~2発は打ててもコンスタントに打ち続けるのは難しく、打球が途中で失速してスライスしはじめました。
ただ、ボールがつかまった時の飛び方はすごくて、ステルス2 プラスよりも飛びます。振った感じとつかまりから推定すると、少なくとも45m/s以上のヘッドスピードが必要ではないでしょうか」
他のモデルにはない弾道調整機能のついたニューエアロトラックスライディングウエイトシステムを搭載していてドロー、フェード方向にバイアス調整できる。スライディングウエイトは18グラム、バックウェイトは17グラムでスタンダードなヘッドサイズだ。メーカーによるとステルス2 プラスより飛距離がアップ。より低スピンと高い打ち出し角でフェースの耐久性も増しているという。ロフトは8度、9度、10.5度だ。
「Qi10」シリーズ3モデルは、性格の違いがくっきり出ている。試打は「Qi10 MAX」からがオススメ!
「今回、僕はMOI値が10000超えになったことがショットにどう影響しているのか?どう打ちやすくなったのか? という2点に注目してQi10を打ってみましたが、結論的にはよくできているクラブでした。どのヘッドも飛びます。ボールがつかまりきらなくてもボール初速が落ちないのは、新しいカーボンフェースを含めた新しいヘッド構造のなせる技だと思います。
3モデルの性格がハッキリしていて選びやすいのもいいところです。繰り返しになりますが、まっすぐに飛ばしたいなら「Qi10 MAX」、高弾道で飛ばしたいなら「Qi10」、ロースピンで飛ばしたいなら「Qi10 LS」という感じで選べば良いと思います。弾道も三者三様なので、それを目安にしてもいいでしょう。いずれも高初速エリアは拡大していますから、条件さえ満たせばどのモデルでも恩恵を受けられるはずです。
選ぶ際には、現在軽量ドライバー使用者はノーマルモデルのQi10から打ってもいいでしょう。とにかくまずは、Qi10 MAXから試打してください。必ず良い結果が得られますから」
全てのモデルには第3世代となる60層カーボンツイストフェースと新開発フレームが搭載されている。安定して高初速が得られるのは、このコンビネーションによってフェースの広範囲でエネルギー伝達効率が向上したものと考えられる。
次世代バージョンとも言えるMOIを得られたポイントは、軽量化、ヘッド形状、重量配分の3つ。すでに説明したモデルごとの特性に加え、フルカーボンクラウン化によってクラウンのカーボン部分は79%から97%に。また、ヘッド内部のチタンフレームはテーラーメイド史上最軽量の71グラム、さらにカーボンパネルとコンポジットリングを採用するなど、3モデルともに、もはや限界とも言えるまでの軽量化を達成している。
「ステルス」「ステルス2」を打って、ちょっと手強かったと感じてしまったゴルファーは、試してみるべきだろう。「Qi10 MAX」を打てば、明らかな違いを感じることができるからだ。
鹿又芳典
かのまた・よしのり 1968年生まれ。年間試打数2000本超え。全てのクラブに精通するクラフトマン。豊かな知識と評価の的確さで引っ張りだこ。ゴルフショップマジック代表。




