7番アイアンのロフトが30度を下回るようになった

アイアンのストロングロフト化が、4年くらい前から激しくなっています。2022年の年末に市場に出ている7番アイアンのロフトの平均を測ったら、30度を切っていました。さらに、2023年に発売されているアイアン(7I)のロフトも、大方が28度くらいになってました。

ドライバーのヘッドスピードが40m/s前後の一般的なアマチュアゴルファーで、7番アイアンでキレイにキャリーが出せるロフトって32度や33度だと思うんです。タングステンが入って球が上がりやすい構造にしていたり、クラブ長を長くしているとかでなければ、キャリーがキッチリと10ヤードずつ差が出せるロフトは、その辺が限界じゃないでしょうか。ティアップしたり、ランを含めた距離を飛ばしていくケースは別にして。

そもそも、ストロングロフトアイアンの魅力って、7番アイアンは打てなくても8番アイアンや9番アイアンで今までの7万アイアンの距離をカバーできるからやさしい、というところにあります。7番アイアンが飛ぶことがやさしいのではなくて、ショートアイアンで狙える距離が増えることがストロングロフトアイアンの良さです。
そして、そういうクラブに合わせて、キャリーでグリーンを狙う番手を作ろうとしたときに“ハイロフトUT”が視野に入るんです。

“ハイロフトUT”の上手なセット術とは

グリーン上でボールを止めようとしたら、弾道に“落下角度”をつけるしかありません。打球にスピンが入ることによって(ホップするように)弾道が高くなって落下角度がつくということ。つまり、スピンを多くかけるか、打ち出し角を高くするか、グリーンで止めるにはその2つしかないんです。ただしスピンを増やすということは、ストロングロフトとは反対にロフトを寝かさなきゃいけなくなるし、そうすると飛ばなくなってしまう。

そのことを踏まえてクラブの組み合わせ方を考えると、スピンが入るタイプのアイアンをミドルアイアンまで使って、スピンが入らなくなる番手からはUTに替えるのもアリ。ストロングロフトのショートアイアンと“ハイロフトUT”を組み合わせる、というカタチもアリだと思います。

何ヤード、キャリーして、どのくらい転がるかを知っておく

この“ハイロフトUT”は、作り手からするとアドレスの見え方がスゴく難しいんです。FP(フェースプログレッション)が大きくてロフトがついているので、素直に構えられるように作るのが実はたいへん。でも今は、その辺りが上手く作れるようになってきたので“ハイロフトUT”が増えている、ということもあると思います。

一方で、そういう背景を使う人たちがどこまで理解しているのか、今はまだ乖離している状態だと思います。だからこそゴルファーの皆さんには、進化した道具の使い方を受け入れて欲しいんです。ただ、それを受け入れるには、自分の現状をちゃんと見極めなきゃいけません。それは何かというと、アイアンでキッチリとキャリー差が出ているのか、どのくらいのランが出ているのか、確率がどのくらいなのか。UTを打ったときにキャリーがどのくらい出ているのか。現状を把握できていないと“ハイロフトUT”は上手に使えないでしょう。

ラウンドしているとき、グリーンに向かってキャリーで良いショットをしたときに、ボールがどこに落ちてどのくらい転がったかは確認してほしいんです。ピッチマークから(ボールが)止まってるところまで行けば分かるはず。それが「ショートアイアンだとこのくらい」「ミドルアイアンだとこのくらい」と見ていくと、自分にとって“使える限界”が分かってくるのではないでしょうか。




鹿又芳典
かのまた・よしのり 1968年生まれ。年間試打数2000本超え。全てのクラブに精通するクラフトマン。豊かな知識と評価の的確さで引っ張りだこ。ゴルフショップマジック代表。




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