せっかく“楽”なクラブにしたのに強振したら……

私がお客さんにフィッティングをするときに気をつけていることからお話ししましょう。クラブを選ぶときのポイントとして「どういうときに一番良いパフォーマンスが出るクラブの設定にするか?」ということを決めなければなりません。例えば、その人が100%の力で振ったときに良い結果が出るクラブにするのか、60%の力で振ったときに今までの100%に近い結果が出るクラブにするのか。そうすることによって、クラブ、モデル、スペックも全て変わってきます。

クラブをやさしくして「“楽”をしたい」という人が、今まではラウンドのときに80%の力で振っていたのを、50%の力で振ってくれれば(やさしくした)クラブでピッタリ合うはず。だけど「楽をしたい」と言いながら、ゴルフ場に行って80%の力で振ると、合わなくなってしまうのは分かってもらえるでしょう。それはクラブが悪いわけじゃなくて、その人が自分のことを理解できていないだけです。

ツアープロでも、クラブに求めることは人によって異なる

このことはアマチュアだけでなく、トーナメントへ行くプロたちからクラブセッティングの相談を受けるときにも必ず話をします。トーナメントに行くプロたちだったら「どういうテンションのときに良い球が出るクラブにするか?」ということ。試合で緊張してバリバリに集中してるときに良い結果が出るクラブにするのか、それとも、リラックスした状態である程度の良いパフォーマンスが出るクラブにするのか、それは人によって違います。

もっと言えば、ゴルフ場へ行ったときに練習場よりも力が入って振ってしまうタイプと、コースに行ったときは球を曲げたくないから力を入れないでスイングスピードもゆっくりになるタイプと、選手によって違うんです。
そういうことも踏まえて、その人の傾向が分かった上でクラブやスペックを探してあげなきゃいけません。

自分にとってナニが“楽”なのかを自覚する

冒頭にあったように、今まで「6・S」のシャフトを使っていた人が「5・S」にしてダメなことはありませんが、「5・S」にして“楽”をしたいのならば、コースに行っても6割とか5割の力で振るようにしなきゃいけません。それが良いことか悪いことかは別として、です。“楽”をして振ったときに良い結果が出るクラブということは、強く振ったら逆に合わないクラブになる。そこだけ気をつければいいんじゃないでしょうか。

つまるところ「自分にとって“楽”とは何なのか?」です。シャフトを軽くして軟らかくした方が、手でポンと打つだけで飛ぶからいい、という“楽”なのか。逆に、重くてある程度は力を入れても、球が曲がらないことが“楽”かもしれません。重さを変えずにロフトを変えて、アイアンをちょっと飛ぶようにするのが“楽”なのかもしれない。人によって“楽”の定義が違うんです。

「ボクは上がってつかまるクラブが“楽”と感じます」

ちなみに、ボクにとって“楽”なのは、上がってつかまるクラブです。ナゼならボクは、上がってつかまるクラブの方がコントロールしやすいから。上がらなくてつかまらないクラブって、常に振ってないといけません(笑)。

上がってつかまるから、コントロールして低い球を打とうとか。上がるから、つかまり過ぎたときでも“チーピン”にならないで“ただのフック”で収まるとか。もともとボクが、どちらかというと弾道が低めでスピン量が少ない方なので、上がってつかまるクラブの方がやさしいって感じるんです。

もちろん、タイプ的に逆の人もいるでしょう。それは決して良い・悪いの問題ではなく、自分にとってどうなのかということです。




鹿又芳典
かのまた・よしのり 1968年生まれ。年間試打数2000本超え。全てのクラブに精通するクラフトマン。豊かな知識と評価の的確さで引っ張りだこ。ゴルフショップマジック代表。





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