【鹿又芳典の“推しクラブ”】「このシャフトは難しい」って、それ誰が決めたんですか?
カリスマクラフトマン連載こぼれ話 第5回
上手な人が使っているシャフトを見ると、アベレージゴルファーは「難しくて振れないでしょ」「オレには手に負えない」といって敬遠しがち。しかし、それぞれのシャフトに「特性」はあっても「難しい」は存在しないと、カリスマフィッターの鹿又さんは主張する。
写真/ゴルフサプリ編集部
剛性が高いシャフトを好んで使うアマチュアも多い
アマチュアにとって「難しいシャフト」と言われるモノがありますが、結論から言えばそれは先入観だけだと思います。ボクが見たときに「このシャフトはしならせられないし、とても使えないオーバースペックなシャフトでしょう」というシャフトを気に入って使っているアマチュアは多くいます。そのくらい剛性が高くて操作性が高いシャフトを好んで使ってる人がたくさんいるということ。そういう観点からいくと、シャフトに「難しい・やさしい」という概念は存在しません。
球を飛ばすためにシャフトがどう動いたら一番いいかというと、切り返したときにシャフトがいっぱいしなって、自分のスイングスピードと同調してシャフトもしなり戻って、インパクトでスクエアに「ズバン!」と当たること。ヘッドが加速するし、エネルギー効率が最もいいんです。でも、切り返しでいっぱいしならせるために、人によってシャフトの負荷のかけ方が違うから「硬いモノがいい」「軟らかいモノがいい」「先がしなった方がいい」とかが変わってくる。一方で、シャフトがしなり過ぎると、スクエアにインパクトできなくなる人もいます。たくさんしなることの短所ですね。
『しならない=当てやすい』それも“やさしさ”に
シャフトってしなったら、必ず真っすぐの状態に戻ろうとします。でも、ドライバーのヘッドの重心はココにある(シャフトの延長線上から離れている)から、普通に振ったらヘッドはフェースが開こうとしてきます。
切り返しでシャフトにそういう負荷がかかってきたら、シャフト自体は“真っすぐ”に戻ろうとする。しなってから“真っすぐ”になろうとする力が強い方が、補正能力が高いということです。でも、シャフトがしなり過ぎるとスクエアに当てにくくなる。いわゆる「アバれる」とか「タイミングがズレる」という表現になりますね。
それならば、シャフトが全くしならない“棒”だったら、当てやすくなるじゃないですか。先ほど話したように、ボクが見たときにアマチュアがとてもしならせられないようなハードそうなシャフトでも、当てやすく感じて「やさしい」と言うゴルファーもいます。だからこそ、シャフトに「やさしい」も「難しい」もありません。
ヘッドが変われば、シャフトの動きも変わる
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