キビキビしたプレーが”好”印象な令和の女子会ゴルフ
ゴルフコースのランチタイムで、隣のテーブルが若い女性の4人組でした。女性だけの組でプレーするゴルフが、女子会ゴルフです。僕が試打でお世話になっているゴルフコースでは、休日になると少なくとも1組、多いときは3、4組の女子会ゴルフの組が来ています。
令和になって新しいゴルファーが増えて、女性だけの組が増えたと言われていますが、まだまだ珍しいのが現実です。昭和から平成にかけて、女性だけの組は標的にされやすい傾向がありました。プレーが遅いとか、下手同士で迷惑をかけるとか、根拠もないのにイメージだけが一人歩きした結果で、女性ゴルファーからすれば良い迷惑だったのです。
その日にプレーしていた女子会ゴルフの4人をプレー中に、交差するホールですれ違ったときに見ましたが、キビキビしていて好感が持てました。この数年で、後半のハーフで前の組が女子会ゴルフだったことが何度もありましたが、プレーが遅いこともありませんでしたし、使用したバンカーを均さないとかいうマナー違反も一切ありませんでした。
隣のテーブルで話している声が聞こえてきて、思わず聞き耳を立ててしまいました。女子ゴルフの4人の内、2人は先輩ゴルファーで、残りの2人は後輩ゴルファーのようで敬語で話していました。
「Aさんみたいに上手くなりたいです」「本当に今日一緒にゴルフができて嬉しいです」
「Bもなかなかだよ。まだラウンド5回目でしょう? わたしなんて、その頃はスコア数えられなかったもん」
「えー。本当ですか? 調子に乗っちゃいそうです」
「Aは特別。人生の大部分をゴルフに捧げているから」
「おいおい。それは言い過ぎだろう」
彼女たちは、楽しそうに笑い合っていました。そして、先輩たちが言うのです。「また一緒にゴルフしようね」後輩たちが「はい。嬉しいです」と返して、ゴルファーにとって幸せな時間が流れていました。
そんな時間をぶち壊すような暴言が、背後のテーブルから聞こえました…
こんな老害ゴルファーにはなりたくない!時代錯誤なつぶやきにガッカリ
「一緒にプレーしてくれる男がいないのかね?」「若くて綺麗なのに、もったいないよな」相手に聞こえても良いぐらいの大声と下品な笑い声に、思わず振り返って睨んでしまいました。
女子たちは、聞こえていない様子で無視しているように見えました。たぶん、こういうことに慣れているのだと思いました。
無礼なおじさんたちは、自分と同い年ぐらいの男性4人組でした。「ご同輩。情けないことを大声で話しているんじゃないよ。そんなことだから老害とか言われるんだ」と心の中で毒づきました。
女子会ゴルフは侘しい集まりだなんて、大間違いです。異性がいると余計な気遣いをさせたり、思いっ切りゴルフをすれば可愛いげがないと言われたり、楽しいゴルフが台無しになることに嫌気がさしての女子会です。好きでやっていることで、十分に楽しいのです。的外れな浅い考えで否定的な見方をするのは、愚かで恥ずかしいことです。
女子会ゴルフは文化を伝える救世主になるかもしれない!
21世紀になり飲み屋に女性が増えてきて、女子だけで飲み会をするのが女子会と呼ばれるようになったのは10年以上前のことで、とっくの昔に市民権を得ています。女子会ゴルフもそれと同じ現象だと考えれば、逆に頼もしいとすら思えてきます。
お隣に偶然に座った女子会ゴルフでしたが、先輩と後輩がキチッとしていて、お互いを認め合っているシーンに感心しました。若い男性だけの組もたくさん見てきました。同級生同士の仲間の楽しさは伝わってきましたが、先輩後輩の上下関係が清々しく伝わってきたことは皆無です。
昭和のゴルフは企業単位の上下関係で成り立っている側面があり、それが文化として伝達されてきた歴史がありました。その日女子会ゴルフを見聞きして、良い意味で昔からの伝統を引き継ぐのは彼女たちなのかもしれない、と考えてしまいました。
ゴルフの黎明期には、気遣いをしないで無礼講が楽しめるからとゴルフは、男性だけに許されたゲームでした。時代はいくつも変わって、現在はジェンダーレスの時代です。女子会だけが特別だと考えるのも、それが良かれと思っていても許されないのかもしれません。
ゴルフの文化を理解して、正当に引き継いで行くゴルファーであれば、老若男女、誰でもリスペクトです。偶然見かけた彼女たちに、それを再確認させてもらったのでした。
篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。




