PWの適正ロフトはヘッドスピードと何ヤード打ちたいかで決まる
PWは大事なクラブ。ピンやグリーンを狙うことが多く、グリーン周りのアプローチでもいい仕事をしてくれます。そんなPWのロフト角をみなさんは知っていますか? アイアンセットに含まれることが多いため「○度」と即答できる人は少ないと思います。近年はアイアンのロフトがストロング化しているあおりでPWにもさまざまなロフト角のモデルが出回っているのでなおさらです。大事な場面で使うのに加え、ウエッジのセッティングにも影響するPWのロフトについて考えてみましょう。
言うまでもありませんが、適正なロフト角は人によって違い、それを決める要素はヘッドスピードであり、そのヘッドスピードで何ヤード打ちたいかです。僕の考えではPWの飛距離は100~120ヤードが理想。飛びすぎるとウエッジが何本も必要になりますし、飛ばなすぎると全体のクラブセッティングが難しくなるからです。なお、この場合の飛距離はキャリーとランのトータル。PWではランがあまり出ず、ほぼキャリーの球になるからです。ということで、ここでは100〜120ヤードの距離をカバーすることを前提に、ドライバーのヘッドスピードをもとに適正なPWのロフト角を探ります。
飛距離の目安は以下の通り。まずは現在のご自分の飛距離と照らし合わせてください。
●PWの飛距離の目安
70ヤード以下=飛ばなすぎ
80~90 ヤード=ちょっと足りない
100~120ヤード=最適な距離
130~140ヤード=ちょっと飛びすぎ
150ヤード以上=飛びすぎ
また、PWのロフト角については以下の認識です。
●PWのロフト認識
40度以下=ストロングロフト
41〜42度=ちょっとストロング
43〜44度=最近の標準的ロフト
45〜46度=ちょっと寝たウィークロフト
前述したようにアイアンのストロングロフト化によりロフトが立っているモデルも増えているため、ロフト角の幅が広がっています。PWも同様なので、ここではロフト角を上記の4つに分けました。4つの中で最近の標準は43~44度あたりです。10~20年前はもっと寝ていて45~46度あたりが標準でした。40度以下のストロングロフトの中には39度、38度といったモデルもあります。そうなると超ストロングの飛び系アイアンのイメージです。
ヘッドの形状によってもこの振り分けが決まってきます。例えば43~44度の標準ロフトはキャビティバックのアイアンに多い。45~46度になるとマッスルバック、あるいはブレードと呼ばれるアイアンになり、41~42度だとキャビティバックの中でもポケットタイプ、いわゆるポケキャビと言われるタイプが多く、40度以下はデカヘッドの飛び系アイアンになります。ロフトが立つほどヘッドサイズが大きく、寝るほど小さくなるのが大まかな傾向なので、使っているヘッド形状からもロフトをイメージできると思います。
ドライバーのヘッドスピードとPWのロフト角の兼ね合いで飛距離を割り出したのが次表です。ドライバーのヘッドスピードは5つに分けました。アベレージゴルファーの平均的なヘッドスピードは40~42m/sあたり。42~44 m/sなら飛ばし屋ではないけれど平均よりはちょっと飛ぶ。44~46 m/sあるとアマチュアの中では飛ばし屋です。その上はもうプロレベル。アマチュアではトップクラスのスピードです。38~40 m/sだと平均よりは下まわります。表内左端のタテ欄はPWのロフト角、最上段のヨコ欄がドライバーのヘッドスピード(m/s)で、それぞれが交わったマスが飛距離(ヤード)の目安を示しています。
●ヘッドスピードとロフトから割り出した飛距離の目安
例えばドライバーのヘッドスピード40~42 m/sの平均的アマチュアゴルファーが最近の標準ロフトの43~44度を使った場合、105ヤード飛べば適性と言えます。イメージ的にはヘッドスピードが2m/sアップすると10ヤード飛距離が伸びるイメージです。この表で言えばヘッドスピードが遅めの人と速い人の間には40ヤードの差が生まれることになります。また、ロフト角が2度小さくなると+5ヤードのイメージ。ストロングロフトとウイークロフト(マッスルバック)の間では最大15ヤードもの飛距離差が出ます。さらにヘッドスピードが46~48 m/sのゴルファーはウイークロフトでも130ヤード飛ぶこともわかります。
ロフト角とヘッドスピードの関係が14パターンの中に収まればOK
表内で最適な飛距離(100~120ヤード)に注目すると10パターン(表内赤字部分)になります。平均的なヘッドスピード(40〜42 m/s)の場合、全てのロフトが適合することになりますから、この目安からすればロフトは選び放題です。「PWも飛ぶ方がいい」と考える人もいるでしょう。もちろん否定はしませんが、ウエッジの流れを考えると130ヤードくらいまでが許容範囲かと僕は思うので4つが加わります(表内青字部分)。計14パターンのうちにハマっていればOKの範囲と言えますが、最終的にどう考えるかは自由です。
このようにPWを替えれば飛ぶようになることがわかりますが、個人的にはヘッドスピード46~48 m/sのゴルファーがロフト41度以下のPWを使ったり、ヘッドスピードの遅い人が43度以上ロフトがあるPWを使うのは好ましくありません。
さらにこれ以下、30 m/s台のヘッドスピードになると、表よりもさらに飛距離的にマイナスになりますから、ロフト30度台のPWを使うのもありです。ヘッドスピード38~40 m/sの人がロフトの寝たPWを使って飛ばないということであれば、クラブさえ可能なら使っているPWのロフトを立てて適正飛距離にすることもできます。スイングが整ってきてヘッドスピードがアップしてきた人も同様の方法で飛距離をアップさせることができます。
ひとつの目安ではありますが、ロフト角とヘッドスピードの関係が14パターンの中に収まっていれば、今のスイングとPWは合っていると言えます。飛距離的には±5ヤードくらいなら誤算の範囲ですが、それ以上差が大きく出てしまっている方は一考の余地があると思います。誤差が±10ヤード以上あったら、スイングに問題があるか、PWが合っていないと考えるべきでしょう。
吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・表参道の「表参道ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。




