ゴルフにもある「ギブアップ宣言」上手に使うこともゴルファーのマナーのひとつです
知っていると得するルール&マナー
ストロークプレーでも、ローカルルールで、“ギブアップ”の宣言が認められている場合があります。あまりいい響きの言葉ではありませんが、他のプレーヤーのために宣言した方がいいことも。今回は、このギブアップについて詳しく説明しましょう。
写真/ゴルフサプリ編集部
マッチプレーで使う「コンシード」は、ギブアップの一種
ゴルフに“ギブアップ”というルールがあることを知っている人はそんなに多くないようです。それもそのはず。通常のラウンドであまり使うことはないからです。でも、実際は使った方がいい状況のときもあるので、しっかり覚えておきましょう。
まず、正しいルールから。
そのショットを打つのが難しいと思ったときに宣言する“アンプレヤブル”と混同する人がよくいるのですが、アンプレヤブルは救済を受けて別の場所からショットを打つこと。一方、ギブアップはそのホールのプレーを止めることをいいます。
さてこのギブアップには、公式ルールで使われるものとローカルルールで使われるものとに分かれます。
公式ルールのギブアップは、マッチプレーの際、相手に追いつけそうにないとき、あきらかに相手が少ない打数で上がりそうなときに使われます。
例えば、相手がグリーンに2オンしていて、自分はOBを打って4打目もグリーンに乗っていなかった場合。相手が4パットする可能性もあるので、勝負は最後まで分かりませんが、潔く負けを認めて「ギブアップ」を宣言してもいいことになっています。
ただし公式のルールではギブアップとは言わず、「コンシード」という言葉を使います。このコンシードには、「このホールはオレの負けだ」という諦めの気持ちが込められていますが、「もうこのホールのことは忘れて、新たな気持ちで次のホールに向かおう」という前向きな気持ちが込められていることもあります。
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「プレイファスト」の観点からも、ギブアップを活用しよう
一方、ローカルルール(ゴルフ場やコンペで設定された独自のルール)では、ストロークプレーにおいてギブアップが適用されることがあります。
あくまでもローカルルールなので、どうなったらギブアップできるかはケースバイケースなのですが、一般的には規定打数の3倍(パー3だったら9打、パー4だったら12打、パー5だったら15打)を越えたとき、また、そのままプレーをしていたら越えそうなときに適用されるケースが多いようです。
ゴルファーのほとんどが、“初心者”の時代もあったはずなので、何度打ってもバンカーから脱出できなかったり、林の中でキンコンカンをやり続けたり、連続してOBを打つなど、どうあがいても前に進めなくなったという経験があるのではないでしょうか。そんなときに宣言するのがギブアップです。
ギブアップしても、スコアこそ3倍にはなるものの、そこでゲームオーバーとはならないのでプレーは続けられます。そういう点からいうと、一種の救済でもあるのです。
また、人の2倍も3倍もショットを打っていると、同伴競技者はもちろん、後ろの組にも迷惑をかけてしまうもの。“プレーファスト”の観点からも、ギブアップを推奨しているコースやコンペが増えているようです。
一つ気をつけたいのは、3倍を大きく越えてからギブアップすることです。
例えばパー4で、15打目を打ってからギブアップを宣言しても、ローカルルールでギブアップがあれば、ルール上、何の問題はありませんが、同伴競技者にしてみれば、「何を今さら」ということになります。マナーとしてパーの3倍を越えた時点か、もしくは3倍を越えそうな時点で宣言するようにしたほうがいいでしょう。
これまでの説明からもわかるように、ギブアップは決して「もうダメ」宣言ではありません。それどころか、ギブアップすることでスムーズな進行を促進することにもなります。
ゴルファーによっては、「ホールアウトするまでやりたい」という人もいるでしょうが、コースの混雑状況や後ろの組の状況を見て、場合によってはギブアップを使用するようにしましょう。
真鍋雅彦(まなべ・まさひこ)
1957年、大阪生まれ。日本大学芸術学部卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。
1986年に退社し、フリーライターとしてナンバー、週刊ベースボール、ラグビーマガジン、近代柔道などで執筆。
ゴルフは、1986年からALBAのライターとして制作に関わり、その後、週刊パーゴルフ、週刊ゴルフダイジェストなどでも執筆。現在はゴルフ雑誌、新聞などで記事を執筆するほか、ゴルフ書籍の制作にも携わっている。
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