打てる長さには限界がある?

前回に引き続き、長さのお話です。
前回は、クラブセット内の距離の差をきちんと設定するために、それぞれのクラブの長さの差を確認しましょう、というお話でした。

今日は、すでにそのようになっているという前提で、今度は、1本1本の適性の長さというお話をしてみようかと思います。

ちなみに人それぞれなのですが、打てる長さの限界というものがあるということをご存じですか?

これはジュニアゴルファーのフィッティングで使われる手法なのですが、ドライバーはクラブを真っすぐに立てて、自分も起立し、みぞおちまで、もしくはヒジの下までのクラブを渡しましょう、というのがあります。

これは体が成長過程にあるジュニアには、体に負担のかからない長さのものを渡すという目的があるからです。

つまり、人間はこのみぞおちまで、ヒジの下までのクラブが一番心地よく振れる、体に負担がかかりにくい、と考えてほしいです。これは身長や骨格に基づくものなので、人それぞれだということになります。

クラブは短い方が当てやすいですよね? 確率でいえば、間違いないです。そして、これはスピードにも関連していると考えてください。遅い方が当てやすいですよね!

ゴルフは確率論でもありますから、確実に打てるショットを見極めるというのも大事な要素です。なので、自分でコントロールできる限界を知っておくというのは、非常に重要になってきます。

ではここで、このヒジ下の長さのクラブで発生するスピードというのが、自分にとっての限界なのでは? という仮説を立ててみましょう。


人間はキャパを超えたらゆっくり振ろうとする

ゴルフクラブはもちろん長い方が飛びますが、打ち手は人間。人間の能力以上には飛びません。長さの差による飛距離差よりも、人間のそもそも持っている能力が最大限に発揮された方が距離を出しやすいし、コントロールもしやすいと考えていただけると嬉しいです。

そして、もし、自分のコントロールできる長さを超えたものを打っているとどうなるか?
これは脅しても何でもなく起こる現象なのですが、自分のコントロールできるスピードまで落とそうとします。つまりは手加減するようになるんですよね。

長いクラブを持った際に、最初は飛んでいたけど、だんだん飛ばなくなる、というようなご経験は誰しもあるのではないでしょうか?

これはなぜかというと長いクラブは、ざっくりいえば、当てにくいですよね? 当てにくいクラブを使いこなすためには、少しスピードを落としたくなるのが、人間の習性です。

特に限られた練習量のアマチュアの場合、これが顕著に起こります。そうなってくると、その時点で、長さで得られた効果はほぼなくなっていると思ってもいいです。

そして、この後どうなるかというと、そのスピードを落とす習慣が身についてしまうと、短いクラブに持ち替えた時に、スピードを出せないので、距離が落ちるということが起きます。

これを聞いてしまうと、今さら短くできない、となりますが大丈夫です。
少しの間だけ、我慢してください。この短いクラブに慣れていくと、不思議なことにまた、効率的に体を使う方法をだんだん思い出していきます。


長さを生かすには練習しない?

どうしても長いクラブを使いたい場合の対処法もあります。

例えば、普段の練習はその長いクラブを打たないでおく。そして、ここ一発の時だけ使うというような感じでしょうか? その際には、たまにしか打たなくても打てるようなスペックにしておかなくてはなりません。

このように、少し工夫をすれば、長いクラブも入れておくことができるということだけは述べておきますね! この辺りのやり方は、このテーマだけで連載のスペースが埋まってしまうので、またの機会にさせてください!

とにかく、まず初心者の方は、この法則を守っていただくのが良いと思います。
なかなか、そういったクラブが売っていないので、切ったりする必要も出てくるでしょう。
そういうことができない環境の方は、短い番手のクラブをいっぱい練習して、しばらくはコースでもその番手のクラブだけを持っていきましょう。

また、すでにゴルフを長くやられている方で、この長いクラブが不得意な方も、同様に試してみてください。最初は短く持つだけでも大丈夫です。同じような効果が得られます。

ここまでが最大の長さのクラブのお話です。



短いクラブは飛ばなくする工夫が必要

次はそれぞれの番手ごとの長さの話に移りましょう。

アイアンなどは、すでにヒジ下より短くなっていますので、長すぎるということはないと考える方も多いでしょう。

ところが、今度はヘッドの重さというのが関わってきます。いわゆるバランス、スイングウエイトと考えてもいいかもしれませんね。

この、ヘッドの重さに対して、打てる長さの限界というのが人それぞれあるということもわかっています。簡単な例で言えば、重いヘッドで長いクラブにしてしまったら、振り切れないですよね?

では具体的にアイアンセットで考えてみるとしましょう。

ご存じの方も多いと思うのですが、アイアンは番手ごとにヘッドの重さが違います。
だいたい、番手ごとに7g前後重さが変わっていると思ってください。それに対して、大体のメーカーが0.5インチずつ長さを変えているというところが多いです。

つまりアイアンというのは、短い番手ほど、長さが短くなっていって、ヘッドが重くなっているというのが一般的です。単純に言えば、ヘッドが軽くなるほど、長くもできるということも言えますが、ここで注意点が一つあります。

もちろん、スイングウエイトという考え方があるので、それを中心に考えることもありですが、アイアンの目的は、距離を出すということよりもきちんと狙った距離が出せることだと思います。ドライバーとは違って飛びすぎもNGですよね!

それは前述したように、長さとロフト角で決まってきますので、打ちたい距離が出せているのであれば、わざわざ長くする必要はないです。

もし、長くしてしまって全体的に飛ぶようになってしまったらどういうことが起こるかというと、下の番手、ウェッジとの距離差が開いてしまうということになります。

これらは、それぞれのクラブにきちんと目的を持たせて、様々な距離を打ちやすくする、という目的から少し離れてしまうことがある、と留意していただけるといいですかね。

ゴルフの難しさの一つになりますが、短い距離、グリーンに近くなるほど難しい、というのがあります。

であれば、積極的に飛ばないクラブを入れていく方が、スコアメイクはしやすいと考えた方がいいでしょう。長いクラブは飛ばすための適正な長さがあり、短いクラブは飛ばなくするための工夫が必要。これが、バランスの取れたセットの作り方だと思っていただけると嬉しいです。



ダグ・三瓶(だぐ・みかめ) ブリヂストンスポーツ、アクシネット ジャパン インクと日米2つの大手メーカーに所属。その中でクラブ開発、ツアー担当、マーケティング、フィッティングなどを担当。ツアーレップ時代にはあのボブ・ボーケイ氏に日本で唯一の弟子と認められていた。現在、フリーとなり迷い多きアマチュアゴルファーにアドバイスを送ってくれることとなった。