球筋は「角度」と「スピード」

本来、ゴルフクラブを決める際に、まずは気にしてほしいのは、やはり球筋です。どんな結果が出るのかで選ぶことが大事なことはみなさんご理解いただいていると思います。

その球筋は、原理でいうと、ヘッドがどのような「角度」と「スピード」で進入していき、どのような「角度」(ロフト)でヘッド(フェース)のどこにボールに当たるのか? で決まります。

当たった後はボールの仕事なので、クラブ選びの過程では、いったんボールのお話は置いておきます。

ざっくり言えば、球筋というのは、「角度」と「スピード」で決まるんですよ、とご理解いただけると嬉しいです。

つまり、ヘッドが「何度」で進入してきて、「何度」で当たるのか?です。

昨今のトラックマンなどのローンチモニターでは、このインパクトの状態が数値化されて出てきますよね? そんな中、みなさんが真っ先に思いつくのが、インパクト時のロフト、いわゆるダイナミックロフトではないでしょうか?

続いて入射角(ダウンブローやアッパーブロー)を表すブロー角という言葉があります。さらに、インサイドアウトやアウトサイドインといったスイングの軌道(パス)もありますね。これらはすべて、「角度」で表されていることでしょう。

厳密にいえば、ウッドタイプのラウンドのあるフェースだと打点によってロフトもフェース向きも変わってきますので、やはり、球筋は「角度」で決まるということがお判りいただけたでしょうか?

この球筋を決定する「角度」を決めるゴルフクラブのスペックと言えば!?
それはロフト角でありライ角でありますね。そして、インパクト時にそのロフト角やライ角に影響するのが、長さや、シャフトの硬さ(調子)だったりするわけです。

つまり、どんな「角度」でヘッドをボール当ててボールを運ぶのか、このどんな「角度」でボールに当てるのか、を中心に考えていくと、その目的に対して、シャフトや長さなどなどほかのスペックも決めやすくなっていきます。

まずは、ここまでのことをご理解いただき、次に、具体的に、その「角度」をどのように考えていったら良いのか、項目ごとに考えていきたいと思います。

「飛びの3要素」、2つは角度で決まる

ここで飛びの3要素のお話になります。飛びの3要素とは、「ボールスピード」「打ち出し角」「バックスピン量」ですね!3要素のうち、2つが「角度」によって決まることがわかっていただけますでしょうか?

「打ち出し角」は球の打ち出しの高低ですね!これはまさしく、「何度」でヘッドが進入してきて「何度」で当たったかで決まります。また、「バックスピン量」も同様に、「何度」でヘッドが進入してきて「何度」で当たったかで決まります。

もちろん、打点の影響もありますし、横方向の打ち出しや、横方向のスピンのことも考えなくてはいけませんが、まずは、基本としての「打ち出し角の上下方向」と、「バックスピン量」のお話から進めてみましょう。

ヘッドが水平に、進入角度(アタックアングル)がゼロの場合が一番わかりやすいのですが、単純にロフト角が大きいほど、打ち出し角度が大きく(高く)なり、バックスピンが増えます。

例えば、アタックアングルがゼロで、ロフト角が10度で当たったとしたら、どのくらいの打ち出し角と、バックスピンが期待できると思いますか?

ヘッドスピードで多少の前後はありますが、計算値では、大体、打ち出し角が8度くらい、バックスピンが2,000rpmくらいになると考えてください。

例えばドライバーでいえば、理想値は打ち出し角12度、バックスピン2500rpm」なんて言われていますから、これでは打ち出し角もバックスピンも足りませんね!


打ち出し角を12度にするにはロフトは何度必要?

では、この理想の「打ち出し角」と「バックスピン量」を実現するためには、どんなことが必要になるのか、考えてみましょう。

まずは、「打ち出し角」も「バックスピン量」も増やしたいですから、インパクト時のロフト、「ダイナミックロフト」を増やさなくてはなりません。
単純に言えば、寝ているロフトのクラブを使えばよいと思いますが、では、何度のクラブを使えばよいのか? 計算してみましょう。

打ち出し角を12度にするためには、ロフト角は15度から16度くらい必要です。はい、すでにドライバーのロフト角ではなくなってしまいましたね!

かつ、このクラブで打った場合の期待できるバックスピン量は3,000rpmから3200rpmとなりますから、今度は増えすぎてしまいます。

ということはロフト角を増やすだけでは、理想値に近づくのは難しいということがわかっていただけたと思います。

ここで出てくるのが、「スピンロフト」という考え方です。
「スピンロフト」は、ドライバーのようにややアッパーブローに入ることを前提とすると、「ブロー角」と「ダイナミックロフト」を引いたものになり、「スピンロフト」は「ダイナミックロフト」よりも減る傾向が強いです。

ということは、「スピンロフト」を増やすためには、逆にダウンブローが必要ということになります。
「ダイナミックロフト」10度のもので、バックスピンを2500rpmにしたいとなったら、「スピンロフト」を12度から13度にする必要があります。
つまりは2~3度ダウンブローにしましょう~ということになってきます。

ですが、これでは打ち出し角度はさらに下がってしまいます。

これらを加味して計算してみると、「ダイナミックロフト」14~15度くらいでアッパーブロー2度くらいで打つことが必要という計算結果になります。

まだ、ドライバーのロフト角からは少し離れていますね……。

ここからがシャフトやヘッドの重心が関わって気います!ここもまた、長くなりそうなので、簡単に。

前述しましたように、ドライバーでは、だいたいの方が、大小はあるとはいえシャフトの逆しなりを起こししています。この効果を利用して「ダイナミックロフト」14~15度を実現することが可能になります!

逆しなりを期待して、シャフトを柔らかいものを選んだり、重心が深いものを選んだりしがちですが、逆しなり大=スイング中の挙動が大きいということは、タイミングが合わないクラブになりやすいです。そうなってしまうと、確率は下がりやすいですよね?


であれば、シンプルにロフト角の多めを選びましょう~というのが答えになります。

スイング的にも、立っているロフトのクラブでカチ上げるように打たないと球が上がらないようなクラブでは、フェアウエイウッドやアイアンなど他のクラブへのスイングの影響が否めません。

ですので、ここは無理をせず、ロフトは多めのドライバーを選んだ方がコースでは結果の良いクラブになりやすいです。

例えば、ヘッドスピード40m/sくらいまでの人なら、ドライバーのロフト角は11度くらいを中心に考えていくのが良いと考えています。

ダグ・三瓶(だぐ・みかめ) ブリヂストンスポーツ、アクシネット ジャパン インクと日米2つの大手メーカーに所属。その中でクラブ開発、ツアー担当、マーケティング、フィッティングなどを担当。ツアーレップ時代にはあのボブ・ボーケイ氏に日本で唯一の弟子と認められていた。現在、フリーとなり迷い多きアマチュアゴルファーにアドバイスを送ってくれることとなった。