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石川遼、2年ぶりの勝利は全米オープン対策が呼び込んだ?【データで見る勝利の秘密】

2024/07/03 ゴルフサプリ編集部

予選落ちに終わった全米オープンだったが、その対策が19勝目を呼んだ?

日本男子ツアー「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品」は石川遼が逆転で優勝。2022年の「三井住友VISA太平洋マスターズ」以来となるツアー通算19勝目を挙げた。自身が実行委員長を務める選手会主催の大会での勝利は、その前週の「全米オープン」に向けた対策がプラスになった?

勝負強くパットを決めることができたのは……

大会での石川は4日間通算の平均パット数が「1.6226」で6位。勝負所でよく決めていました。

それができたのは、試合前週の「全米オープン」に向けた練習が功を奏したといえそうです。開催コースのパインハーストは砲台グリーンが特徴。そのためグリーン周りからウェッジでアプローチして傾斜を上り切らないと元の場所まで戻ってきてしまう可能性もあります。

そこで石川は「25ヤードぐらいのアプローチでもパターで打とうと思っています。そのために長い距離を打つ練習もしています」と、メジャーを翌週に控えた宍戸ヒルズでの「BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」の際に話していました。

プロともなればどんなに長くても1パット圏内に寄せたいもの。

ですが25ヤードともなるとタッチや傾斜。芝目の読みをわずかでも誤ると、途中の傾斜などに負けてカップからどんどん離れていき、次のパットでものすごく距離が残ってしまいます。

それだけに慎重な読みと繊細なタッチが要求される練習を「全米オープン」に行く前から入念にしていたというわけです。


「ツアー選手権 森ビルカップ」はプレーオフで敗れはしたものの全米オープンに向けたパット対策ができつつあった(撮影/相田克己)

データを見ると効果がハッキリ!

石川の今シーズンの平均パット数は7位。ところがツアーのデータを見ると、開幕戦の「東建ホームメイトカップ」は4日間通算で49位でした。

日本ツアー2戦目で、4月に御殿場で開催された欧州ツアー「ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」は予選落ちしたため通算のランキングが付いていませんが、第1ラウンドは79位でした。

3戦目の「中日クラウンズ」は62位だったのが、「全米オープン」前週の「ツアー選手権」では最終日が1位。4日間通算でも3位だったので、劇的にパットの精度がアップしていることがはっきりと現れています。

残念ながら「全米オープン」は予選落ちでしたが、メジャーに向けた準備と努力は決して無駄にはならなかった、ということでしょうか、

パットが良くなると、ドライバーも良くなる

「サトウ食品」での石川は、ドライビングディスタンスも2位(302.59ヤード)と好成績でした。

これは以前に記事にした「ドライバーのシャフトを他の番手との“流れ”を重視して変更した」ことが要因ですが、パットが良くなったこともプラスになっていると思われます。


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その疑問を抱いたらラウンドを振り返ってみてください。
ファーストパットを「OK」に寄せてストレスなくホールアウトして次のティーイングエリアに行き、ドライバーを打つ。

シビアな距離のパットを残してグリーン上で神経をすり減らす。あるいは3パットで頭に血が上った状態でドライバーを打つのとでは、どちらがいい結果になるでしょう? 

ティーイングエリアは前のホールのグリーンのすぐ横、ということもあります。つまりパットの結果(内容)による心理状態がドライバーに影響を及ぼす、ということです。
練習に行く時間がないと悩む一般アマチュアも、せめてパターマットでボールを転がすなどしていれば、ティショットが安定してくるかもしれません。

(取材・文/森伊知郎)