全米女子オープン最終日は飛距離もNo.1 右→左→右の体重移動で4日間の平均飛距離が280ヤード超え!

肩は90度以上回転左足はほぼ浮いている

米国ツアーにはパワーで飛ばすタイプの選手もいますが、笹生優花は回転で飛ばすタイプの選手です。1軸ではなくて、体重移動も上手く使って打っています。トップでは上半身を深く回転させながら、頭の位置は右に動いています(写真04)。正面から見たときに頭の後ろに右肩が見えるのは肩が90度以上回転しているからです。

そして、切り返しで左足を踏み込んだ瞬間は頭の位置も左に戻しています(写真05)。右から左の体重移動を使うことによって深く捻転した上半身をスピーディに戻すことができます。さらにインパクトからフォローにかけてはもう一度、頭が右に戻ります。これはヘッドが目標方向に動いた反動で右に動いただけです。アマチュアゴルファーだと頭が左に動きながら、ヘッドも左に動いてしまうので窮屈なスイングになりがち。フォローでは頭が右に戻る力がかかるのが正しいスイングです。

もう一つ、フォローで注目してほしいのは左足のツマ先です。インパクト直前(写真07)までは左足にも力がかかっていますが、打ち終わった後は左足がほとんど浮いてます。左足に最後まで力が残っていると回転スピードが上がらないのですが、笹生は上手く脱力することで体の回転スピードを上げています。

広めのスタンス幅から大きなスイング軌道を

日本でプロデビューした当時からスタンス幅は広め。テークバックではヘッドを低く動かすことで大きなスイング軌道になっている。

インパクトゾーンは低くて長い

インパクト直前ではボールの50センチ以上手前のタイミングで、ヘッドがボールと同じ高さになっている。低くて長いインパクトゾーンのお手本。

ドローヒッターなのにフェードも打てる理由がコレ! シャフトの延長線にボールがある完璧なオンプレーン軌道

右腕と左腕の距離を一定にキープ

元々、笹生優花はローリー・マキロイに憧れていた影響もあって典型的なドローヒッターでした。しかし、今年の「全米女子オープン」では勝負所でフェードを打って難コースを上手く攻略していました。

ドローもフェードも精度の高いショットが打てる要因はダウンスイングで、完璧なオンプレーン軌道になっているからです。左腕が地面とほぼ平行になったタイミング(写真05)で、ヘッドとボールがシャフト線上で一直線になっています。インパクトの瞬間はシャフトが180度動いただけの位置関係です。この角度ができていれば、少しインサイドから入れるだけでドローボールになり、逆にアウトサイドから下ろすことでフェードが打てます。本人の感覚としてはスイングを大きく変えるのではなく、微調整するだけでドローとフェードが打ち分けられていると思います。

飛距離を武器に米国ツアーで活躍している笹生ですが、決してトップは高くありません。コンパクトなトップで右腕と左腕の距離が一定にキープできていることも、スイングの再現性を高めることにつながっています。このスイングでフェードを打ちながら、「全米女子オープン」最終日に記録した平均飛距離294ヤード(1位)は驚異的です。

コンパクトなトップから体の回転で効率的に飛ばす

アドレスではほとんどヒザを曲げない自然体の構え。腕の動きを抑えて、胸を回しているのでトップがコンパクトになる。

ゆるやかなインサイドループ

切り返し直後にヘッドが少しインサイドに入るのは自然なインサイドループ。このタイミングでシャフトの延長線上にボールがあるのは理想的。

右ワキを締めたままクラブを下ろす

腕が体の近くを通り、右ワキを締めたままインパクトに向かっているので手打ちにならず、再現性の高いスイングになる。

手元の高さで球筋を打ち分ける

ドローを打つときはフェースターンしやすいように手元が少し高くなり、フェードは少し手元が低い。

解説:石井 忍

石井 忍
1974年8月27日生まれ。98年にプロ転向し、現在はツアープロからジュニアゴルファーまで幅広く指導。自身が主宰する「エースゴルフクラブ」を千葉、神保町に展開する。