ヘッドスピード40m/sの人のための9番アイアンの正しい使い方
吉本巧のゴルフギア教室 第32回
9番アイアンを持ってグリーンに乗せられる確率は、アベレージゴルファーならどのくらいだろう? それは意外と…低いのではないだろうか。簡単なように思える9番アイアン、ではなぜ乗らないのか? その原因を吉本巧が解説する。
9番アイアンでグリーンに乗せられない5つの原因
9番アイアンはグリーンを狙うことが多いクラブです。ドライバーのヘッドスピードが40m/sのアマチュアの方なら飛距離は130ヤード前後。乗せごろだけになおさら気合いが入りますが、ダフりやトップ、ヒッカケなど、つまらないミスが多い番手でもあります。なぜでしょう? その原因は以下の5つ。あなたもこのどれかをやっているので要チェック。対策も併記するので試してみてください。
原因1 アドレスで力が入っている
これは9番に限ったことではないですが、グリーンを狙うショットほど力が入りやすいことを考えると9番やウェッジはその極みと言えます。アドレスで力が入ると肩が回らずバックスイングがスムーズにできません。
かといって体全体から力が抜けるとスイングが緩みすぎます。力を抜いた方がちゃんと飛ぶのは事実ですがメリハリは必要なのです。おすすめは右手、右腕、右肩から力を抜くこと。力が入るのは主に利き手サイドですから、そこから力を抜く。左手をキツめに握り、結果的に右サイドから力が抜けた状態を作ってもいいでしょう。
原因2 コンパクトに振ろうとしている
「ショートアイアンはコンパクトに振る」を心がけている人にありがちな傾向です。悪くはないですが、このイメージでバックスイング時の肩の回転が小さくなってしまうならやめた方がいい。パワー不足になってショートします。
そもそも9番のスイングはコンパクトになるもので意図的にするものではありません。簡単に言えばシャフトが短いぶんコンパクトになるだけなので、肩は普通に回っていないといけないんです。芯を食ってもショートする人は腕の振り上げだけで振っている可能性が高いので、ゆっくり大きくトップまでいくことを心がけましょう。
原因3 インパクトで打ち込みすぎている
マッスルバックやハーフキャビティのアイアンならダウンブローでターフを取る意識で打ってもいいですが、それ以外のアイアンならこの意識は不要。インパクトが点になってナイスショット率が低下するのに加え、飛びすぎてタテの距離が不安定になります。
ヘッドの重心位置が低いキャビティ、ポケットキャビティ、デカヘッド系の9番は、緩やかな下降軌道でインパクトに向かうのが得策。インパクトがゾーンになって安定します。ヘッドの性能が生きて平均飛距離も伸びますから、余裕をもってグリーンにアタックできるようになるでしょう。
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原因4 ボールを上げようとしている
「グリーンで止める」と考えるほど高いボールを打つイメージが膨らみます。そのまま打つと上がりすぎて飛距離不足になる。それはまだいい方で、トップやダフりを招くことも珍しくありません。ロフトがボールを上げてくれますから、高い球を打つ意識は必要ありません。わかっていてもそうなってしまうなら、下降軌道でボールをとらえるイメージで打ちましょう。9番は操作しやすいアイアン。良きにつけ悪きにつけ、打つ前のイメージが反映されやすいので要注意なんです。
原因5 ヘッドファーストに構えている
9番アイアンでフェースをターゲットに向けてスクエアに構えるとハンドファーストのアドレスになります。ヘッドファーストのアドレスだとロフトが寝てしまうので芯を食っても飛びません。だからといって、ヘッドファーストの構えから手元を左に移動させてハンドファーストにしても、グリップがウィーク気味になっているため、インパクトでヘッドファーストに戻ってしまうので意味がありません。
9番アイアンでアドレスする時は、ソールしたらグリップが左足の付け根あたりにくるのを確認し、その位置で最後にグリップするようにしましょう。ちなみに、インパクトでは右手首の角度が大きくなるほどロフトが寝ます。ハンドファーストに構えることで右手首の角度を小さいままインパクトできます。これならヘッドの入射角が緩やかになってもロフトが寝ません。
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吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・表参道の「表参道ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。