アイアンの弾道が上がりやすくて女子プロがスイッチした

アメリカのLPGAツアーで世界のトップランカーたちが使い、ここ2~3年は日本の女子ツアーでもチェンジする選手がいて、注目されているアイアン用のシャフトがあります。カーボンの最外層に金属繊維を巻いていますが、このシャフト自体は世に出てから20年くらいたっていて作り方も変わっていないので、決して目新しいわけではありません。
このシャフトの狙いは「球が高く上がる」というように、弾道に対してかなりアプローチをしていて、そこがプレーヤーのニーズにマッチしたのでしょう。一方で、同じように弾道にアプローチすることは、スチールシャフトでも肉厚を変化させたりステップを変化させたりすることで可能になりました。

狙った特性やフィーリングを達成するために、異素材を投入した

ウッド系のシャフトについても、金属の入った繊維を使ったモノはもう昔からあります。シャフトには大きく分けてストレート層・フープ層・バイアス層という3つのカテゴリーがありますが、そのどこに金属繊維を使うかとか、全長に使うのか、手元に使うのか、先に使うのかなど、いろいろな使い方はあるにしても、金属繊維をウッド系のシャフトに用いることも、決して目新しいことではありません。

異なる素材が入ったから特別にどうなるかというよりも、シャフト全体としてのパフォーマンスが高くなっているかどうかとか、自分が求めている弾道に“プラスα”を起こしてくれるかどうかとか、そういうことが肝心なはず。金属繊維などの素材を使っているか・使っていないか、というのは(ユーザーにとって)大した問題ではないのではないでしょうか。
狙っているシャフトの挙動や狙っている弾道を導くための手法の一つとして、その素材を用いているということ。そのことは間違えてもらいたくありません。

スチールとカーボンの良さを両立したハイブリッドなシャフト

その中で目を向けているのは、日本シャフトの「N.S.プロ モーダス³ ハイブリッド」というUT用のシャフト。このモデルはスチールとカーボンの複合構造となっています。スチールとカーボンをつなげているわけでもないし、金属繊維を入れているわけでもありません。スチールの芯金の上にカーボンを巻いて作って剛性を上げています。正直なところ、このシャフトの作り方や手間のかけ方は、他のシャフトに比べて断ゼン高いでしょう。

このシャフトができた背景には、PGAツアーやヨーロッパの選手たちから「剛性が高くてコントロールできて、強い球が打てるハイブリッド用のシャフトが欲しい」というリクエストがありました。そこで、スチールとカーボンの良いところを上手く融合できないか、ということでできあがったシャフトなんです。

いずれにしてもゴルファーの皆さんは、どういう素材を使っているかよりも、タイミングよく振りやすいか、イメージした弾道や距離が打ちやすいか、ということを優先してシャフトを選びましょう。

鹿又芳典
かのまた・よしのり 1968年生まれ。年間試打数2000本超え。全てのクラブに精通するクラフトマン。豊かな知識と評価の的確さで引っ張りだこ。ゴルフショップマジック代表。