100ヤード以内の距離感は感覚だけじゃ作れない。寄るアプローチの「ものさし」は振り幅で作る!
スコアが5打よくなる! 藤田寛之が教える寄るアプローチの極意 第8回
スコアアップにはグリーン周りはもちろん、40、50、60ヤードといった中途半端な距離でもピンにピタリと寄せることが求められる。このコントロールショットの極意をレクチャー。
GOLF TODAY本誌 No.630/112~115ページより
取材・構成・文/小山俊正 撮影/相田克己 取材協力/葛城ゴルフ倶楽部
100ヤード以内の攻略法
極意1 基準となる「ものさし」をいくつか作る
[振り幅]右腰から左腰
[振り幅]右肩から左肩
達人・藤田寛之には「ものさし」が三つある
私はアプローチを含めたすべてのショットで感覚(フィーリング)を大事にしていますが、感覚だけではうまくいかないことがあります。それが100ヤード以内の距離のコントロールです。
距離を正確に打ち分けるには、基準となる「ものさし」を作ったほうが簡単で、成功しやすくなります。私の場合、サンドウェッジのフルショットが85ヤードで、その「ものさし」は三つ。振り幅が「右腰から左腰」で32ヤード、「右肩から左肩」で50ヤード、そして「右肩から通常のフィニッシュ」で65ヤード。これを基準に微調整をしていきます。
もちろん、この飛距離の数値は人それぞれで、クラブはアプローチウェッジやピッチングウェッジでもかまいません。ただし、振り幅だけを意識すると、パットと同様、タッチが出なくなるので注意が必要。そこに感覚やイメージを足していくことが大切です。
[振り幅]右肩から通常のフィニッシュ
サンドウェッジのフルショットは85ヤード
極意2 打ち出し角、スピード、高さをイメージ
ボールスピードが重要
立ち位置を変えてショットの放物線をイメージする!
ボールスピードをイメージする
立ち位置を変える
ボールの飛球線後方は、目標を決めたりアライメントを取る上で重要なポジションだが、いわゆるタテの距離感をつかみにくい。そこで、立ち位置をあえて横にズラすのが藤田流。これを習慣にすることが大事。
ピンまでの距離とその空間をよく見る
ウェッジのコントロールショットに欠かせないポイントは、大きく二つ。一つは、ショットの放物線を鮮明にイメージすることです。
私の場合、ボールの飛球線後方ではなく、ボールの横(アドレス時の背中側)、3~5メートルのところに一度立ちます。なぜなら、この位置は飛球線後方よりも、ピンまでの距離とその空間がよく見えて、放物線をイメージしやすいからです。
そして、ボールがどのような角度で打ち出されて、どんなスピードで飛んでいくのか。どの高さまで上がり、どこに着弾しピンに寄っていくのか。ボールの打ち出し角やスピード、高さなどをより具体的にイメージします。
とくにボールスピードが重要で、ゆっくり飛ぶのか、速く飛ぶのかをイメージすると、それに合ったスイングを作りやすくなり距離感が合います。これはグリーン周りのショートアプローチでも有効です。
もう一つは、自分なりの「ものさし」に微調整を加えることです。一番簡単なのはボール位置で、ボール半個から1個ぶん左右にズラすだけで高さと飛距離が変わります。
また、トップの位置をコンパクトにする、フィニッシュを通常より小さくする、スイングスピードをゆっくりにするといった方法を使うと、キャリーが数ヤード落ち、中途半端な距離を攻略できます。ただし、距離を合わせようとしてインパクトを緩めるのはNG。ゆっくり振る時も、体の回転でボールをしっかりヒットし、一定のスピードで振り抜きましょう。
ボール位置をズラす
スイングスピードをゆっくりにする
フィニッシュを小さくする
藤田寛之
ふじた・ひろゆき
(葛城ゴルフ倶楽部)
1969年6月16日生まれ。168㎝、70㎏。福岡県出身。レギュラーツアー18勝、シニアツアー3勝。2012年は年間4勝を挙げ、43歳にして初の賞金王に輝いた。23年は日本シニアオープン優勝。リカバリー率1位を4回も獲得している「寄せの達人」。