競技ではボールを温めるような行為をすると即失格
「ゴルフボールは温めた方が飛ぶ」。そう思っているゴルファーはけっこう多いようです。確かに、冷たいボールは、何となく飛んでくれそうにない気がしてしまいますよね。その冷たさのせいか硬く感じ、“潰れて弾く”という反発性能が薄れるような感じがするものです。
もし、温かい方が飛ぶのなら、温めようじゃないか、というのは誰もが考えること。打つ前に両手でゴシゴシ擦ったり、フウフウ息を吹きかけたりというのはまだ可愛らしいと思いますが、中には、ポケットの中に入れた使い捨てカイロでボールをくるんでいる人も。ここまで来ると、かなり本格的ですよね。
さて問題は、これらの行為が許されているのかどうかということ。答えは、「NO!」です。
ゴルフ規則4.2a(2)には、「プレーヤーは、球をこすったり、温めたり、なんらかの物質を付けたりして、性能・特性を故意に変えた球でストロークを行ってはならない」と記されています。「使い捨てカイロは使っちゃダメよ」とは書いてありませんが、温める行為は禁止されているのです。
しかもこの違反を犯すと厳罰が下されます。以前は2罰打で、2度同じことをするとと失格となっていたのですが、2019年のルール改正で、一発アウト(失格)になりました。
ただし、規則にもあるように、“故意”ではなく、故意でないことが認められれば失格は免れられるようです。例えば、使い捨てカイロを入れていたポケットに、うっかりボールを入れてしまったとか。
とはいえ、もしそれが見つかったら針のむしろ状態になること間違いなし。ゴルファーとしての品位も問われます。ボールを入れるかもしれないポケットには使い捨てカイロを入れないようにしておくべきでしょう。
少し厳しい話になりましたが、もちろん規則が適用されるのは、競技ゴルフにおいてのみ。プライベートのラウンドなら、故意は避けたいですが、そこまで神経質にならなくていいと思います。
「温かいボールが飛ぶ」というのは単なる思い込み
話は元に戻りますが、そもそも寒いときと暑いときとではボールの飛距離が変わるものなのか? ボールメーカーでは、「今どきのボールは気温によって飛びに変化はない」といっているのですが、それは本当なのか?
少し前の話になりますが、この真偽を確かめるべく実験をしたことがありました。とある寒い日、福島県にある某シャフトメーカーのスイングロボットを使い、使い捨てカイロでくるんでおいたボールと外気に晒したボールとの飛距離比べをしました。
結果はほぼ同じ。念のため、沸騰したお湯の中に入れておいたボールの飛距離も計測したのですが、温めたボールが冷えたボールよりも飛ぶということはありませんでした。「温かい方が飛ぶ」というのは、どうやらゴルファーの思い込みだったようです。
余談ですが、ボールには効果がありませんでしたが、体は絶対に温めた方がいいそうです。特に、使い捨てカイロを背中(肩甲骨の辺り)や腰、お腹辺りに貼っておくと、体が温まるだけでなく、ケガ予防にもなるし、飛距離アップにも繋がるといいます。
冬に活躍する使い捨てカイロ。くれぐれも使い方を間違えないようにしましょうね。
真鍋雅彦
1957年、大阪生まれ。日本大学芸術学部卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。
1986年に退社し、フリーライターとしてナンバー、週刊ベースボール、ラグビーマガジン、近代柔道などで執筆。
ゴルフは、1986年からALBAのライターとして制作に関わり、その後、週刊パーゴルフ、週刊ゴルフダイジェストなどでも執筆。現在はゴルフ雑誌、新聞などで記事を執筆するほか、ゴルフ書籍の制作にも携わっている。




