「タメ」は動作として「起こってしまうもの」、作ってはいけない?【合田洋&西田幸一・天下御免のレッスン問答】
今日もアマチュアゴルファーの悩みを解決すべく、レッスン活動に大忙しの2人。今回はアマチュアが一度は聞きたくなるあのテーマ。
ゴルフスイングに於ける「タメ」とは、一般的な定義として『トップの位置で作った手首の角度がダウンスイングでもキープされる動作』だとされています。タメが作られることでクラブヘッドに大きなエネルギーが蓄積され、ボールを遠くに飛ばすことができるようになります。また、適切なタメと適切なクラブリリースはセットになっていますから、ボールが上手に打てるようになるためにも、「タメを作る練習」は必要不可欠だと言えるのです。では、どうすればタメは作れるのでしょうか。それは昔から、トップからダウンスイングへの切り返し動作を下半身先行で行えることが必須だと言われていますが、今回はとくに「手首の動き」に注目して「タメの作り方」に言及してみることにいたしましょう。
合田:よくお客さんから「タメを作りたいんです」という要望を受けるんだが、何処の「タメ」なのかが分からないから、回答に困ることがあるんだよ。
西田:それはきっと「ダウンスイングで左腕とシャフトで作られるL字」のことを指していると思いますよ。僕なら「トップで手元を置いておく“間”を意識して下さい」とレッスンしますね。
合田:いきなり50年前から存在するメソッドの紹介とは、笑えるな(笑)ともあれ、やはりアーリーリリースに悩んでいたりするのかな?
西田:そもそもタメは動作として「起こってしまうもの」じゃないですか。だから両手に軍手をしたりグリップにタオルを巻いたりして、グリップを握り込めない状態で球を打ったりしても、手首のタメ(L字)は勝手に起こります。
合田:なるほど。前腕の力でボールに合わせていく動作感覚を削ぐわけか。
西田:あとは、テークバックでヘッドをより遠くに上げることでも、勝手にL字のダウンスイングになりますよね。
合田:確かに。逆に、テークバックでヘッドを身体の近くに通していくと、ダウンスイングでは勝手にアーリーリリースの動きになるからね。
西田:太めの縄のようなものの先端を結んだり、重りをつけたりしたものを、出来るだけ上手に振れるよう振ってみるなんて方法も、僕は良い練習方法だと思いますよ。
合田:テークバックをインサイドに引いたり、インパクトエリアに於いて上体が伸び上がったり頭が左に突っ込んだりしても、自動的にアーリーリリースの動きになる。やはり「タメ」は運動連鎖の帰結として「自動的に起こるよう」練習することが大切になるね。
【ゴルフ天の声】
「タメの作り方」には推奨できるドリルが幾つかあるのでご紹介するとしよう。①左片手打ちの習得、②スプリットハンドからの左片手素振り、③スプリットハンドからインパクトに向けて右手を左手に寄せる素振りなどになる。
面白いのは、西田プロの捉え方と合田プロの捉え方に違いが見られるところ。西田プロは「いかにタメを作るか」に積極的なコメントをしているが、合田プロは「アーリーリリースの改善」に着目している。しかしながら「タメ」と「アーリーリリース」は必ずしも相反する動きではない。つまり、アーリーリリースが改善されれば「タメが作れる」ということではないということ。合田プロも、まだまだ勉強の余地があるようだ。
合田洋(左)1984年プロ入り。1994年日本プロゴルフ選手権優勝。近年はティーチングプロとしてもアマチュアの悩みに答え続ける。
西田幸一(右)2016年プロテスト合格。ツアープロを経て今年から本格的に「Gスタジオ茅場町」にてレッスン活動を開始。スイングの造詣が深く、動作分析に優れる。福岡県生まれ。
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