大慣性モーメントドライバーで飛んでるのはプロだけ? でも「曲がらない=飛ぶ」じゃないの?
鹿又芳典の“推しクラブ” こぼれ話 第48回
重心深度によって、スピード感に若干の変化は起こりやすい
ただ一つ、ボクがフィッティングをしていたり自分で振っていても感じることは、MOIの大・小というよりも、重心の深さによってスピードが少し変わったりすることはあります。浅重心のほうがダウンスイング以降のスピード感は出しやすくて、HSが若干上がる傾向はあるということ。それはスイングタイプだったり、スイング中のフェースの動き方によって起こること。
とはいえ浅重心にしたとき、芯を外すと球が曲がりやすくなったり、フェース面が寝たり立ったりすることによって、弾道に変化が起こります。HSが1m/s速くなったからボール初速が1m/sとか2m/sとか速くなるかといわれると、そこはリンクしていません。MOIが大きくなったことで「遠くに飛ばす」というところでは、メリットのほうが圧倒的に大きいと思います。
それでも「MOIが大きい=動かしにくい」という反面もあるので、クラブの総重量だったり、ロフトだったり、硬さ(シャフト)というのは「そのヘッドを振りやすいモノ」をきちんと探すことが、進化したクラブを上手に活用するコツです。
今の大MOIドライバーは、飛距離性能が上がっている
「MOIがデカいヘッドは曲がらないけど飛ばない」みたいなことを言う人もいますが、それは上手く打ったときだけのことを考えてるからじゃないでしょうか。果たして「飛ばない」というのも、芯に当たってるかどうかも分かりません。MOIが大きいというのは、ラウンド中の平均飛距離を伸ばして、前後(距離)・左右(方向)をそろえるという意味合いのクラブなので。ただそういう中でも、今の大MOIドライバーの飛距離性能はスゴく高いですよ。
冒頭のようなことを言う人は、10年前よりもっと前の420㏄とかのドライバーで5ラウンドくらいして、今のMOIが大きいドライバーで5ラウンドくらいして、それらの結果をちゃんと踏まえているのかどうか? あくまでも“イメージ”でそう言っているのではないかと思います。
2007年ごろに出て話題になった四角いヘッド(スクエア形状)のドライバーも、MOIが大きかったです。しかし“異形”と言われてゴルファーに受け入れられないカタチをしていたし、打音がうるさかったりしました。ただ、球が曲がりにくい効果があることは実証された。ドライバーの進化の過程で生まれたクラブだったのでしょう。
鹿又芳典
かのまた・よしのり 1968年生まれ。年間試打数2000本超え。全てのクラブに精通するクラフトマン。豊かな知識と評価の的確さで引っ張りだこ。ゴルフショップマジック代表。
50歳オーバーがシャローイングに挑戦なんて無謀? スイング改造できるのは何歳まで?
加齢により柔軟性も筋力量も低下することが一般的に知られていますが、それとスイング改造の限界年齢とは関係ないと私は考え...
合うクラブ、合わないクラブどこを見て判断すればいいの? 【セルフフィッティングの仕方Part1】
クラブ選びのスペシャリスト・ダグ三瓶(みかめ)がアマチュアゴルファーへアドバイスをおくるコーナー。ゴルフクラブを買う...
ヘッドスピード別・6番アイアンの適正ロフト角と飛距離を知ろう!
ゴルフのメカニズムに精通したコーチ・吉本巧がギア目線から森羅万象を解説するこの企画。今回のテーマは 6番アイアンの飛距...