「D1 スピードモンスター」と「D1 スピン」 どっちが飛ぶ? どっちが止まる? ヘッドスピード40m/sで比較計測!
飛距離特化とバランス型、違いは”どこ”に表れるのか!?
それでは、さっそくドライバーの試打計測結果から紹介する。どちらのボールも関コーチが極端なミスショットだと判断したボールを除いた10球の平均値と、ボールの特徴をよく表している1球を紹介する。ヘッドスピードは40m/sを目安に試打。
※ドライバーのスペックは10.5度、45.5インチ、フレックスS。
※サイドスピンの数値の「ー」は右回転を示しています。
ドライバー/HS40m/sで打った「D1 スピードモンスター」の計測値

試打平均値
HS:40.4m/s
キャリー:170.4ヤード
トータル:190.7ヤード
ボール初速:55.7m/s
打ち出し角度:13.2度
バックスピン:2224rpm
サイドスピン:441.5rpm
ドライバー/HS40m/sで打った「D1 スピン」の計測値

試打平均値
HS:40.3m/s
キャリー:172.4ヤード
トータル:189ヤード
ボール初速:54.4m/s
打ち出し角度:13.6度
バックスピン:2551.2rpm
サイドスピン:ー371rpm

どちらも飛距離の平均値はキャリーが約170ヤード、トータル約190ヤードでほとんど差はないと言っていい。違いが現れたのは、バックスピンとサイドスピンの量だった。
まず、このトータル190ヤードという飛距離については、どうなのだろう。
『飛んでいないように感じるかもしれませんが、ヘッドスピード40m/sで実測設定で計測しているので、190ヤードは良い数字ですよ。同じヘッドスピードでツアーボールを打つと、平均値があと5ヤードくらい伸びますけど、1個800円前後のツアーボールに近い飛距離が出ていると思います』(関)
では、この飛距離に対するスピン量の違いについては?
『D1 スピードモンスターは飛距離特化を謳っているだけあって、D1 スピンよりも500rpmくらいバックスピンが少なめです。それと同時にサイドスピンは左回転しかかからず、だいたい400〜500rpmに収まっていました。1球も右回転がかからなかったので、スライスしちゃうという人には、D1 スピードモンスターがオススメですね』(関)
では、D1スピンは?
『バックスピンが2500〜2600rpmで安定していて、スピードモンスターよりも少しだけキャリーが得やすいです。ベースがD1なので、ドライバーだと低スピンなボールであることには変わりないです。大きな違いは、右回転のバックスピンが200〜380rpmの幅でかかることです。これはバックスピンが500rpm前後、増えたことによるものです。スライスしやすいというほどのものではなく、フェードが打ちやすいという捉え方でいいと思います』(関)
打感はどうなのだろう?
『どちらも想像していた以上にソフトですね。D1 スピードモンスターのほうはヘッドスピードが40m/s前後だと硬さがあまり感じられません。少しソフトな感触の後に、弾け感がある打感です。D1 スピンは、ちょっと驚くほどツアーボールに近い打感でした。硬さが感じられず、ほんのり弾け感があって、球持ちも良いのでコントロール感もあります。人気があるのは納得です。安かろうというボールじゃありません。
特にD1スピードモンスターは、ドライバーの曲がりが気になっている38〜40m/sの人たちにとって、とても“美味しいボール”です』(関)
アイアン/HS36m/sで打った「D1 スピードモンスター」の計測値

試打平均値
HS:36.1m/s
キャリー:119.5ヤード
トータル:131.2ヤード
ボール初速:42.9m/s
打ち出し角度:17.3度
バックスピン:4752rpm
サイドスピン:214.8rpm
アイアン/HS36m/sで打った「D1 スピン」の計測値

試打平均値
HS:36.3m/s
キャリー:119.9ヤード
トータル:131.6ヤード
ボール初速:43.1m/s
打ち出し角度:17度
バックスピン:4824.9rpm
サイドスピン:24.9rpm
さて、お次は7番アイアンによる試打。ドライバーのヘッドスピードが40m/s前後のゴルファーを想定しているので、35〜36m/sに調節して打ってもらった。試打クラブは軟鉄鍛造アイアンで、ロフトは31度、シャフトは90g台のスチールシャフトのS、クラブ長さ37.25インチ。
『まず、ドライバーのヘッドスピードが42m/s以上で、なおかつツアーボールで打たないと7番アイアンでキャリー150ヤードを超えるのは難しいということを念頭に参考値を見てください。ですから、ドライバーが40m/s想定であれば、どちらのボールもツアーボールと遜色ない飛距離を出していると言っていいでしょう。ただ、D1 スピードモンスターは、バックスピン量にそれなりのバラツキが見られました。対して、D1 スピンは安定して4800〜5000rpmでした。両者ともにバックスピンの平均値が4000台後半なので、一般的なゴルフ場のグリーンであれば、止まらないということはないと思います』(関)
アイアンでもドライバーで打った時同様に、サイドスピンに差が出ているというが?
『D1 スピードボールのほうが、つかまった球が出ます。サイドスピンは左回転に偏っていて、擦ったなと思っても右回転が300rpmくらい出るだけでした。ドライバー同様、曲がりにくいです。D1 スピンは良い意味で右回転のサイドスピンがかかりやすいですが、最大でもー328rpmなので、真っすぐ飛びやすいけど少しコントロール性も感じられる、という印象の数値でした』(関)
アイアンで打つと、打感はどのようになるのだろう?
『D1スピンはソフトです。ボールをコントロールしやすそうな、球持ちの良い打感ですね。D1 スピードモンスターは、ドライバーで打った時よりも少し硬さを感じます。ですが、ソフトな感触の後、少しの硬さと弾け感があるという感じでした。もう少し硬い打感を想像していたのですが、それほどでもなかったです』(関)
ウェッジ/50ヤードを目安に打った「D1 スピードモンスター」の計測値

試打平均値
HS:22.2m/s
キャリー:39.1ヤード
トータル:45ヤード
ボール初速:21.74m/s
打ち出し角度:30.6度
バックスピン:533.6rpm
サイドスピン:22.4rpm
ウェッジ/50ヤードを目安に打った「D1 スピン」の計測値

試打平均値
HS:22.3m/s
キャリー:42.9ヤード
トータル:50.7ヤード
ボール初速:21.29m/s
打ち出し角度:31.3度
バックスピン:5190.5rpm
サイドスピン:69.7rpm
最後にウェッジを計測。50ヤードを目安に打ってもらったのだが、ドライバーとアイアンの時とは変わって大きな差が生じた。試打クラブのロフトは56度。
『勝ち負けをつけるなら、50ヤードはD1 スピンの勝ちですね。この距離とヘッドスピードだと、D1 スピードボールはスピンが少なく、弾け感も強めでした。そのため、いわゆる“ポッコン・ボール”が出てしまうようです。高く上がってしまうので、イメージするよりも5ヤードくらい飛距離が短くなりました。対してD1 スピンは、キャリーが45ヤード前後でトータル50ヤード前後、バックスピンも5000台で安定していました。打感もソフトで、ボールをコントロールしやすい感触です』(関)
アプローチは出球の高さが低いほうが距離感をつかみやすいという関。
『参考としてツアーボールの出球の高さも含めた、両者の違いは下の写真のようになります。D1 スピードモンスターはけっこう高いですよね。ちょっと距離感をつかみにくい。D1 スピンもツアーボールに比べたら高めですが、許容範囲内だと思います。』(関)

D1 スピードモンスターは曲がらないのが魅力! D1 スピンは全体的に高レベル!
では、最終的に2つのボールにはどのような違いがあるのか、総括してもらおう。
『1個300円台のボールとして考えたなら、どちらのボールも最高水準で間違いありません。コストパフォーマンスが抜きん出ていると思っていただいていいでしょう。そして、両者の違いですが、まずD1 スピードモンスターは曲がりにくくて飛ばせるのが魅力です。エンジョイゴルファーにはピッタリのボールだと思います。D1 スピンは、感適度な球持ち感もあるし、飛距離も出るし、コントロール感もあるので全体的にレベルが高いです。90台前半〜100台のゴルファーにオススメしたいです。打感がツアーボールっぽいので、その点も特徴です』(関)
試打:関浩太郎
せき・こうたろう。1974年生まれ。茨城県出身。15歳でゴルフを始め、関東国際CCでプロ研修生として修行後渡米、カリフォルニアのミニツアーを転戦しつつ最新のスイング、クラブ、トレーニング、メンタル理論を学ぶ。帰国後は有名クラブ職人に弟子入りし、フィッティング理論、クラフト技術を学んだ。現在はプロコーチ、クラフトマンとしてアマチュアゴルファーの悩みを解決中。『SEKI GOLF CLUB 目黒』主宰。

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