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山下美夢有が「全英女子オープン」優勝!! 平均飛距離217ヤードでメジャー制覇できた理由とは?

2025/08/04 ゴルフサプリ編集部

山下美夢有がメジャーチャンピオンに!(写真/大会提供)

アメリカLPGAツアーのメジャー「AIG全英女子オープン」最終日(3日=日本時間4日、英国・ロイヤルポースコールGC)は山下美夢有が3バーディ、1ボギーと伸ばし、通算11アンダーで2位に2打差をつけてメジャー初制覇を果たした。大会の平均飛距離は217ヤード。シーズンのランキング146位の山下は、なぜリンクスでのメジャーを制することができたのか。

日本人のメジャー覇者が、歓喜の瞬間を祝福!

18番のグリーンサイド。山下美夢有がウイニングパットを決めると、昨年の「エビアン選手権」を制した古江彩佳。今年の「シェブロン選手権」優勝者の西郷真央がシャンパンシャワーで出迎えました。
日本人のメジャー制覇を日本人のメジャー覇者が祝福するという、なんとも贅沢な瞬間です。
歓喜の輪には竹田麗央や岩井明愛、千怜の姉妹も加わります。
また2位タイとなったものの、ひとつ前の組で回っていて自身のアテストのためシャンパンシャワーに間に合わなかった勝みなみも、アテスト小屋前で待ち構えて山下を祝福。メジャーの大舞台で、日本のゴルフファンにはたまらない光景が見られました。

平均飛距離217ヤードでメジャーを制する

山下の今大会の平均飛距離は217ヤード。
LPGAツアーでのシーズンの同部門ランキングでも245.22ヤードで146位と、飛ぶ方ではありません。

この部門の上位では平均280ヤード超えが4人。270ヤード超でも32人がいます。
日本女子ツアーでトップの穴井詩の260.92ヤードは79位相当になってしまうというパワーゴルフ全盛時代に、山下はなぜ勝つことができたのでしょう?

「リンクスだから、飛距離はそこまで求められない」

このことについて山下は会見で「(自分は)飛距離は出ないけど、全英はリンクスで普段とは違うから飛距離はそこまで求められないと思っていました」と話していたように、自分にも勝機はある、と戦う前からチャンスをうかがっていた様子です。

飛ばないことで必然的にグリーンを狙うショットの距離が残りますが、4日間通算のパーオン率は78%を記録する安定感でした。

LPGAツアーのインタビューでは「ポットバンカーに入れないマネジメントを心がけた」とも話していましたが、飛距離が出るとこうしたトラブルに見舞われる可能性も増えます。

出すことが精一杯。下手すれば脱出に失敗するような状況になるぐらいなら、そこに届かない方がいい。
いわば“飛ばないことのアドバンテージ”を活かしたともいえます。

勝負所で決めたパット力

それでも勝利を引き寄せたのは、前述のパーオン率の高さとグリーンへの対応力でした。

海からの強い風が吹きつけるリンクスコースではグリーンを高速にするとボールが動いてしまいます。
そのため最終日のグリーンスピードも10.5フィートの設定でした。

普段とは違う遅さ。とはいえアンジュレーションがきついのでラインを読み間違えるととんでもない所まで転がってしまうグリーンにいかに対応できるかがカギとなります。

山下は13番で3メートル。14番では5メートルと距離のあるパーパットを残しましたが、いずれもしっかり打って決めました。

これを外していたら勝負の流れは変わっていたかもしれません。
そこを「ストローク・ゲインド・パッティング」部門6位。
日本ツアーではパーオンしたホールでの平均パット数が昨年まで2年連続1位を誇った安定感=自分の強みを発揮したゴルフで勝利を引き寄せました。

会見では「決めたことを淡々とやるだけ。今回は安定したゴルフが出来て優勝につながった」とも話していました。
最終日は17番でボギーを叩きましたが、この前の時点では71選手の中で唯一のノーボギー。
今シーズンのLPGAツアーでは、ボギーなしのラウンドが9回あって、これは全選手の中でトップ。その安定感を存分に発揮しました。

自分の持ち味を活かすことを「コツコツ地道にやってきたのがよかった」ことの結果だといえます。

山下らしからぬ“ミス”も

コツコツ、淡々と言う言葉からすると、メジャーでの優勝争いの中でも落ち着いてプレーしていたように見えます。

それが優勝会見では「15、16番で長いパットを決められた」と言っていましたが、これは実際には前述の13番と14番のことだと思われます。
普段の試合ではメモを見ずにその日のプレーを立て板に水のごとく説明する山下らしからぬ“ミス”が出たのは、やはり究極の緊張感に襲われていたのでしょう。

それでも勝つことができたのは、飛ばないからトラブルに届かない=飛距離は必要ない。しっかりパーオンさせてパットを決める、という自分のスタイルに徹することをアメリカに主戦場を移してからも続けてきたことでした。

一見するとディスアドバンテージになりそうなプレースタイルを自分の強みにして存分に発揮する。
そうすればメジャーにも勝てることを身長150センチの山下が証明してくれました。
(文/森伊知郎)

(2025年8月5日19時00分 一部記事を修正しました)

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