USPGAプロに学ぶ!ドライバーの飛距離アップを叶える「足の使い方」
「ドライバーを遠くに飛ばせる人は、体の使い方が上手いからです」と北野正之プロ。
特に足のパワーを効率よく生かすことで驚異的な飛距離アップが望めると言う。
タイガー・ウッズら世界の超一流プレーヤーの足の使い方を北野プロに解説願った。
GOLF TODAY本誌 No.561 44〜51ページより
ドライバーの飛距離アップを叶える「足の使い方」をUSPGAプロに学ぼう!
アドレスでは土踏まずの先に重心を乗せておく
ファウラーの重心の乗せ方を参考にしよう
Rickie Fowler
リッキー・ファウラー(アメリカ)
1988年12月13日生まれ。米ツアー4勝を含む通算8勝をあげているスタープレーヤー。母方の祖母が日系2世のため、親日家でも知られる。
●1:重心が拇指丘にしっかりと乗っている
●2:インサイドに正しくクラブが上がる
●3:ダウンスイングでも理想的な軌道からクラブが下りている
足をうまく使うには下半身が安定した構えを作るのが先決
足のパワーを活用して飛距離を伸ばすには、アドレスの重心の置き所も重要なポイントです。両足の土踏まずの少し前側の拇指丘に重心を乗せておけば下半身の安定感を生み出しやすく、バックスイングの軌道も整います。
ツマ先体重すぎるとクラブがアウトサイドに上がり、結果的にアウトサイドインのカット軌道になりやすいのです。カカト体重すぎる構えはバックスイングでクラブがインサイドに低く上がり、インパクト以降は極端にアウトサイドに振り抜くことになります。
「今日はちょっとアウトサイド気味に上がるな」と感じたら重心を少しカカト側に置くなど、その日の調子によって重心を調整するのも良い方法ですが、拇指丘近くに重心を意識し、足腰を安定させるのが原則です。
【POINT1】アドレスでは土踏まずの先に重心を乗せておく
スイング軌道を整えると同時に、足のパワーを生かしやすい重心位置を理解しよう。
《ツマ先体重》
ツマ先体重の構えではクラブがアウトサイドに上がり、右ヒジが浮いたトップになりやすい。
《カカト体重》
カカト体重の構えはクラブがインサイドに低く上がって、やはりトップの位置が安定しにくい。
体重をボールにぶつけるイメージでダウンスイング
Tiger Woods
タイガー・ウッズ(アメリカ)
1975年12月31日生まれ。歴代2位のメジャー通算14勝の記録を持つ稀代のゴルファー。2018年シーズン最終戦のツアー選手権で復活の優勝を遂げた。
●1:バックスイング中、右ヒザがビクともしない
●2:体重をボールにぶつけるイメージで打ち抜いている
バックスイングの右ヒザの我慢が足のパワーの蓄積
●1:トップでは背中が目標方向を指す
●2:左肩がアゴの下に入るまで上体を捻転
バックスイングは飛ばしのパワーをフルに蓄える動作です。タイガー・ウッズのようにトップで背中が目標を向くくらいまで上体をしっかり捻りますが、強い捻転を作り出す一番のポイントは右ヒザの我慢です。
バックスイングで右ヒザが右に流れたり、腰を回しすぎて右足の外側に体重が乗ったりすると下半身からパワーが逃げてしまいます。
タイガーの右ヒザを見てください。アドレスの位置のままビクともしないのは、右ヒザをロープで引っ張られる力に対抗するかのように、右足の内側で踏ん張っているからです。
【POINT2】バックスイング中、右ヒザをアドレスの位置にしっかりキープ
右ヒザをロープで引っ張られてもビクともしないくらいに右脚全体を踏ん張ることが大切だ。
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右ヒザが流れると下半身のバランスが崩れて、ダウンスイング以降で足のパワーを生かせない。
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腰が回りすぎてトップで肩が過剰に回りすぎても下半身の安定感が保てなくなってしまう。
自分の体重を利用するだけでも飛距離が大幅アップ
ガニ股の体勢になり、体重を左下に向けて足のパワーを活用する
下半身を意識すれば両手から力が抜けてタメがつくられる
バックスイング中、右ヒザの我慢で足のパワーをしっかり蓄えたら、ダウンスイングでは体重を一気に左足に乗せましょう。ダウンスイングは自分の体が左に倒れこむイメージです。
こうして自分の体重をボールにぶつけるつもりで、インパクトを迎えるのです。私が大幅な飛距離アップに成功した一番のポイントが、体重を利用することでした。
タイガーのダウンスイングがガニ股気味の姿勢となるのも、体重を左下の方向にぶつけているからです。左半身が浮くと体重が軽くなってしまい、ぶ厚いインパクトが作れません。
【POINT3】自分の体重をボールにぶつける気持ちで左足を踏ん張る
左隣の人に自分の体重を預けるイメージを持とう
誰かに体の左側を支えてもらい、体重を思い切り乗せてインパクトするスイング練習をすると効果的だ。
左半身が伸びると体重が右足に残ってしまう。体重を利用できないため、飛距離が落ちる。
お尻を前に出さずに、右足を斜め後ろに蹴り下げる
●1:重心が拇指丘に乗っているため、軌道のブレがない
●2:フィニッシュまで右足からパワーが逃げていないことがわかる
ダウンスイングで右カカトを浮かせず、下に押さえつける
●1:お尻のポジションが変わらず、前傾角度をインパクトまでキープ
●2:右足を斜め後方に向かって押さえつける
自分の体重を利用することに加えて、右足のパワーを最大限に発揮することも飛ばしの絶対条件です。それが「右足の粘り」です。
「右足を蹴る」とよく言いますが、蹴り方を間違えると足のパワーを大きくロスしてしまいます。もっとも多く見られるのが右足を蹴り上げようとして、ダウンスイングで右カカトを早く浮かせるパターンです。
こうなると右ヒザとお尻が前に出て、上体が起き上がってしまいます。インパクトで体が早く開き、両手が先行してフェースも大きく開いてしまうことになるのです。
ダウンスイングではタイガーのように右足の内側の全体で地面を押さえつけるようにし、右足を斜め後方に向かって蹴り下げるのが正しい動きです。
わかりやすく言えば、右カカトが浮き上がるのをギリギリまで我慢するのが右足の粘りであり、右足のパワーをボールにしっかり伝えることでぶ厚いインパクトが作れるのです。結果的にフォロースルーで右モモの裏に張りが感じられます。
【POINT4】ダウンスイングでは右足の内側で地面を踏みしめる
右カカトが早く上がらないようにするには、右足の内側で地面を押さえるイメージを持とう。
右カカトが早く浮くと右ヒザが前に出て上体が起き上がり、フェースが開いてしまう
右足のパワーをフル活用すれば右モモの裏に張りが感じられる
右カカトが浮きそうになるのを限界まで我慢する
【POINT5】インパクト以降も右足を粘っておけば右足のパワー全開
右足の内側を踏みしめて右足を粘ったままでボールを打ち抜こう。
右カカトは自分で上げずに、体の回転に引っ張られて我慢の限界になったところで徐々に上がっていくのが理想的な動き。
フィニッシュの右足はツマ先を地面につける
Hideki Matsuyama
松山英樹(レクサス)
1992年2月25日生まれ、愛媛県出身。東北福祉大在学中にマスターズに出場し、ローアマを獲得。日本で8勝、米ツアーでも日本人最多の5勝。
●1:右ヒザが外側に流れない
●2:右足の我慢でパワーを生かしているのは共通点
Rory Mcllroy
ローリー・マキロイ(北アイルランド)
1989年5月4日生まれ。欧州の第一人者でメジャー4勝を含む通算23勝をあげている。米ツアーでは2012年と14年に賞金王を獲得した。
●3:インパクトでも右脚が左に流れずに、粘っているのがわかる。
右カカトがツマ先より前となる形を目指そう
●1:右脚がほとんど伸び、右足でも体のバランスを支える役目を果たす
●2:右足のツマ先の上側が地面に軽く触れるように立っている
右ヒザが目標を指し、両モモの内側が締まったフォーム
フィニッシュは体重のほとんどが左足に乗るようなフォームが理想形です。左足だけでも立てるようなフォームが作れたかどうかかに目がいきがちですが、フィニッシュの右足の形も重要なカギを握っています。
ダウンスイングからインパクトにかけて右足を蹴り下げるイージで右足を粘り、フォロースルーへと向かったら、今度は右ツマ先を引きずるようにして振り抜いていきましょう。
松山英樹のフィニッシュを見てください。右ツマ先を地面につけるくらいのイメージで、右カカトが右ツマ先よりも前にきています。そうすると右ヒザが自然に伸びて、右脚の裏の全体に締まりが感じられます。ローリー・マキロイのように両ヒザが近づき、両モモの内側が密着するフィニッシュが作られます。
この右足の形を目指せば、フィニッシュで体重が左足にしっかりと乗ってきます。足のパワーを効率よく使えるようになれば、飛距離アップ作戦は大成功です。
【POINT6】インパクト以降も右足を粘っておけば右足のパワー全開
右足の甲を目標に真っすぐ向けて、右カカトがツマ先よりも前となるのがベスト。
右カカトが浮いても、右ツマ先よりも後ろでは足のパワーを生かしきれない。
●1:右ヒザをロープで引っ張られるとすれば、そのパワーに負けないように右足を踏ん張る。
●2:ロープに対抗して右ツマ先を目標側に引きずる感覚
ロープに簡単に負けるような動きでは、フィニッシュで体重が右足に残ってしまう。
北野正之(松原ゴルフガーデン)
1966年5月18日生まれ。93年プロ入り。所属の松原ゴルフガーデン(埼玉県草加市)やサザンヤードCC(茨城県水戸市)などで多くのゴルファーを指導。自身も足の使い方を研究し、180ヤードから280ヤードまで飛距離アップ成功の体験を持つ。
協力/松原ゴルフガーデン
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