男女プロツアーでゴルフシャフトのトレンド調査 Part1
女子編|飛ばしの秘訣は長く押せるシャフト
ヘッドスピードは一般のアマチュアと変わらないが女子プロのショットは格段に飛んで、しかも曲がらない。彼女たちは一体どんなシャフトのどんなスペックで飛ばしているのか。今季メジャー優勝者と日本ツアーランキング上位者の愛用シャフトをチェックしてみた。
シャフト選びの徹底ガイド&グリップ・カタログ
「QPこと関雅史が最新&人気全142モデルをすべて試打」
“しなり” “挙動” “弾道” “フィーリング”を総合診断
リシャフトが初めてでも簡単にできます!
“スペシャル企画”メーカーインタビュー
ニューモデルに込めた思いコンセプト&開発のウラ話
“徹底調査”ツアートレンド
男女トッププロの使用シャフト "長く押せる" "曲がらない"を重要視!?
●男女プロツアーで調査!シャフトのトレンドを探る
Part1:女子編|飛ばしの秘訣は長く押せるシャフト
Part2:女子編|切り返しで粘ってインパクトで弾く欲張りシャフト
Part3:男子編|一番飛ぶシャフトは曲がらないシャフト
Part4:男子編|最新モデルから旧モデルまで男子のシャフトは多様化
大型ヘッド世代が今季メジャーを独占
今季行われた日米のメジャー8大会(リコーカップを除く)の優勝者のうち最年長優勝はコ・ジンヨンの24歳(エビアン選手権時)。また、最年少優勝は渋野日向子と畑岡奈紗の20歳で、延べ8人の優勝者の平均年齢は21.75歳だった。世代交代が進んでいるとはいえ、とりわけ心技体のバランスが必要とされる伝統ある大会をプロデビューして間もない選手が立て続けに制したのは驚きだ。
彼女たちがゴルフを始めた頃はすでに460㎤のドライバーが主流。最初から大型ヘッドでスイングを作り、それに見合ったシャフトを選んできたことも最短距離でメジャータイトルを獲得できた一因だ。大型ヘッドはボールが曲がりづらい代わりに、ヘッドが返りづらく、トゥダウンが大きい短所もある。ヘッドの長所を生かし短所をカバーできるシャフトを選んでいるところは見習うべきだ。また、普通のアマチュアと変わらないスペックを選んでいるところにも注目したい。力ではなくシャフトのしなりを上手く利用しているから飛んで曲がらないショットが打てるのだ。
海外メジャー勝者のシャフトセッティング
コ・ジンヨン|精度の高いシャフトでヘッド挙動がさらに安定
コ・ジンヨン
(ANAインスピレーション、エビアン選手権)
イ・シウコーチのアドバイスで使い始めた『TPT18LKP-MT-SW』は、製造精度が高く方向安定性にすぐれているのも特徴。日本ツアーでは星野陸也が『TPT』を使用して「ダンロップ・スリクソン福島オープン」で優勝した。
ハンナ・グリーン|操作しやすいヘッドとシャフトが好相性
ハンナ・グリーン
(全米女子プロ)
振りやすさを優先したセッティング。1Wはクセがなく振り抜きやすい『ディアマナBF』、3Wと3Uには球が上がりやすいシャフトを選んでいる。アイアンは軽量カーボンの振りやすさとスチールのコントロール性能を両立したモデル。
イ・ジョンウン6|ブレにくく直進性の高いヘッドとシャフト
イ・ジョンウン6
(全米女子オープン)
高慣性モーメントヘッドを生かすために先端剛性が高いシャフトを選択。3WとUTも当たり負けしないものを選んでいる。アイアンとウェッジのシャフト重量をフローさせ、グリーン周りの精度を高めている。
2019年メジャー大会優勝者の平均年齢は21.75歳!
スイングとヘッドにマッチしたシャフト
主戦場は日本と米国に分かれているが、同学年で最高のライバルと認め合う渋野日向子と畑岡奈紗。今季は海外メジャー優勝で渋野に先を越された畑岡が逆に日本の2大タイトル「日本女子プロ」と「日本女子オープン」を立て続けに奪って意地を見せた。そんな二人のクラブセッティングは好対照。
慣性モーメントの大きな『G410プラス』を使う渋野は、クラブをシャットに上げてフェースを返さないスイングに合わせて、切り返しの挙動が穏やかで自然なタメを作れる『スピーダー569エボリューションVI』を選択。アイアンの『MCI80』もしなり戻りがゆるやかで粘り感があり、セット全体の流れがうまく作られている。
一方、フェースローテーションを使って振る畑岡は同じ460㎤でも重心距離が短めで操作しやすい『スリクソンZ785』と手元が硬めで先が動くタイプの『ミヤザキKIRI』の組み合わせ。UTとアイアンもつかまりのいい『ミヤザキカウラHB』『NS950GH』なので統一感のあるセッティングだ。
大舞台で実力を発揮できるのは、スイング、ヘッド、シャフトがマッチしているからこそだ。
渋野日向子&畑岡奈紗のシャフトを比較
渋野日向子|大事な場面で曲げないセッティング
渋野日向子
(全英女子オープン、ワールドレディスサロンパスカップ)
畑岡奈紗|アマもマネできるやさしいセッティング
畑岡奈紗
(日本女子プロ、日本女子オープン)
別冊GOLFTODAY シャフト選びの徹底ガイド&グリップ・カタログ 4〜5ページより