アイアンスイングを上達!正しいアドレスの構え方を小川泰弘プロが解説
「プロたちはミスが出たときはスイングをチェックする前に、必ずアドレスを見直しています」と小川泰弘プロは言う。ミスショットの原因の8割近くがアドレスの間違いにあるからだ。アイアンショットがうまく当たらないときは、小川プロが教えてくれた3つのポイントに着目してアドレスを再点検しよう。
正しいアイアンのアドレスでスイングを上達しよう!
両手でしっかりとクラブを握れていないと、正しいアドレスはつくれない。安定したスイングを生み出すグリップの基本をマスターした上で、素振りを繰り返して自分にフィットする握りに微調整しよう。
- グリップエンドを1インチほど余して握る
- 左手の小指、薬指、中指の3本に力点を置いて握ればスイング軌道が安定しやすくなる
- 左手の甲がやや上を向き、右手のひらが左手甲と同じ向きを指す
- 両手を左モモのツケ根の前にセットすれば、両手のバランスがいいグリップになる
正しいアイアンのアドレスは両手をバランスよく握るグリップから
アイアンのアドレス姿勢を見直す前にグリップをチェックしましょう。一番のポイントは両手をバランスよく握っていて一体感があることと、とくに力を入れなくてもグリップが両手にしっかりとフィットしている感覚があることです。
まずはクラブを長く持たないで、グリップエンドを1インチほど余して握りましょう。グリップエンドが左手に隠れるほど長く持つとスイング中にグリップが緩んで、クラブヘッドの軌道が安定しにくいためです。
グリップエンドを少し余して左手の小指、薬指、中指の3本に力点を置いて握れば左手グリップに締まりが感じられて、スイング軌道が安定しやすくなります。
そのためには左手の人差し指から小指の4本の指のツケ根のラインにグリップをあてがい、4本指をグリップに巻きつけるように握ることが大切です。
バット握りのように左手のひら全体でグリップを握ると余分な力が入って手首が硬くなり、クラブが気持ちよく振れません。
指に近いところで握れば力を入れなくてもグリップが緩みませんし、手首やヒジ、肩などの関節を柔らかく使いやすくなり、クラブをスムーズに振れます。
右手グリップも指に近い部分で握りましょう。中指と薬指の2本でグリップを巻きつけるように握り、左手の親指のラインを右手のひらの生命線と揃えてから右手の全体を握れば両手のグリップのバランスが良くなります。
左手の甲がやや上を向き、右手のひらが左手甲と同じ向きを指せば合格です。あとは素振りを繰り返して、自分でクラブが振りやすいと感じられるようにグリップを微調整するだけでOKです。
要はクラブを振っていて違和感が生じるのは、自分にマッチしていないグリップなのです。クラブを何回振っても気持ちよくスイングでき、同じ軌道で振りやすいグリップが一番です。
正しいアイアンのアドレスを作る手順を守ればミスも減ってくる
ボールからの距離が離れていたり近すぎたり、体重が右足か左足のどちらかに乗り過ぎていたり、アマチュアゴルファーの悪いアドレスには共通点がある。自分のアドレスをチェックするとともに、正しい手順で構えることで、バランスのよいアドレスを身につけよう。
- アマチュアゴルファーに多く見られるバランスの悪いアドレスになっていないかをチェック
- バランスのいいアドレスを作る手順を覚えよう
- 上体が右や左に傾きすぎるのはグリップの握り方を間違えているため
次にアイアンのアドレスの基本形を説明しましょう。私が持っているのは7番アイアンです。スタンスの幅は肩幅が基準で、体重配分は左右均等となります。
一般のアマチュアゴルファーに多く見られるバランスの悪いアドレスの例を挙げると、
- ボールの近くに立ちすぎた棒立ちの姿勢
- ボールから離れて前傾姿勢が深すぎる
- 体重が右足や左足に乗りすぎている
ボールと体の間隔が適切でないと正しいインパクトが作れず、ダフリやトップなど様々なミスショットを誘発します。また体重配分が偏っては体の軸が傾いて、正しい軌道で振れません。
バランスのいいアドレスを作る手順を説明しましょう。
- 最初に直立の姿勢になり、クラブを左胸の前で真っすぐ立てて持つ。両足は肩幅くらいに広げておくといい
- 次にクラブをゆっくり下ろす。すると両腕やクラブがこれ以上は下がらないポイントが必ずある。両手がお腹の高さくらいに下りたところが目安
- 最後に腰のツケ根から上体を折り曲げ、クラブヘッドをボールの位置まで下ろす。最後に両ヒザを軽く曲げてアドレスが完成
こうした手順でアドレスを作ると体とボールの間隔を一定に保ちやすく、常に同じ姿勢で構えやすくなります。
手順の2で両腕とクラブの重さで両ワキはほどよい締まりが感じられますが、この締まり感覚が体と腕が同調したスイングを引き出しくれます。
また、両手を左モモのツケ根の前にセットしやすくなり、両手のグリップのバランス感覚を整える効果があります。
右手を左手よりも下に握る分だけ右肩がやや低くなりますが、体重は左右均等です。真正面のアングルから見れば体の軸が真っすぐとなるのが理想です。
上体が右や左に傾きすぎるのはグリップの握り方を間違えているためです。左手を浅く握り、右手を深く握ると右ヒジが突っ張って上体が左に傾いてしまいます。左手を深くかぶせすぎて右手を浅く握れば上体が右に傾きます。
こうした例もアドレスを作る手順を守ることで簡単に解決できます。
アイアンのアドレスを作る時にボール位置もチェックしよう
アイアンで上手く当たらない時にチェックして欲しいのがボールの位置。基本はあるが体型やスイングなどによってゴルファーによって少し違うので、自分にとっての正しい番手ごとのボール位置を把握するようにしよう。
- ボールの位置は短いクラブになるほどスタンスの中央に近づくというのが基本
- インパクトの形をイメージして、正しいボールの位置を把握する
- 位置が左過ぎるとインパクトで上体が突っ込みやすくなり、右に置きすぎた場合は体重が左足に乗らずインパクトで詰まってしまう
アドレスのチェックで意外と軽視されがちなのがボールの位置です。構えたときのボールの位置の良し悪しでスイングがまったく変わってしまうほどですから、ある意味ではボールポジションがもっとも重要なポイントといっても過言ではありません。
ボールの位置はドライバーで左カカト内側の前、短いクラブになるほどスタンスの中央に近づくというのが基本的な教えです。でもボールの位置はゴルファーによって少し違いますし、私としては左胸の前あたりと考えてもいいと思います。
ボールの位置を統一していても、クラブが短くなるにしたがって右足を左足に近づけていけばスタンスの中央にセットしたような感覚となります。
7番アイアンでしたらクラブフェースの刃の部分がスタンスの中央ですから、ボールはそれよりもやや左です。
ボールの位置の何が重要かというと、体の真正面でボールをとらえやすいポジションにボールをセットしておくということです。
構えるときはインパクトの形をイメージすれば、どこにボールを置くのがベストを把握できるはずです。
ボールを左に置きすぎるとインパクトで上体が突っ込みやすいですし、右に置きすぎた場合は体重が左足に乗らずインパクトで詰まってしまうことになります。
アイアンがうまく当たらないなら、ボールの位置ももう一度チェックしましょう。
教える人・小川泰弘プロ
おがわ・やすひろ。
1972年9月5日生まれ、東京都出身。1999年プロ入り。
昭和の森ゴルフアカデミーで幅広い年代層をレッスン。実戦的でわかりやすい指導法に定評があり、これまでにレッスンしたゴルファーは2500人を超える。
取材・写真/三代 崇 協力/昭和の森ゴルフコース
【関連】
・アイアンを上達!打ち方のコツやスイング練習方法をプロが解説
・アイアンスイングを上達!ダウンブローの打ち方を小川泰弘プロが解説